ルナーコンストリクター|女性のうつくしさとは、肉体を酷使し、引き出されるもの

セルジュ・ルタンス
セルジュ・ルタンス
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ルナーコンストリクター

原名:Renard Constrictor
種類:パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/55,000円

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女性のうつくしさとは、肉体を酷使し、引き出されるもの

その記憶は束の間のもので、私の意識の中に留まることを拒む。まるで臆病な毛むくじゃらの生き物のように、優しく撫でると身を引いてしまう。それは英雄を窒息させる恐怖なのだ。

セルジュ・ルタンス公式ホームページより

2014年10月1日にセルジュ・ルタンスが、50ml/600ドルする最高級コレクションを発表しました。その名も『セクションドール』です。フランス語で〝黄金比率〟を意味するこのコレクションから第一弾の香りとして発売されたのが「ランソンディエール」(放火魔)でした。

そして翌2015年に一挙5作品が発売されました。そのうちのひとつである「ルナーコンストリクター」の名前の意味はすごく複雑です。〝ルナール〟とはフランス語で〝キツネ〟であり、〝コンストリクター〟とは〝絞め殺す者〟の意味です。それは、ボアコンストリクターという胴体で獲物に巻き付いて絞め殺す大蛇の意味と掛け合わせた造語です。

つまりは「女性の首を締め付けるキツネ」の意味なのです。リアルファーこそが、富と美の象徴と思い込んでいる女性達が首元に巻いているキツネの襟巻きが、実は彼女の人間味溢れる魅力を絞り取っているという意地悪な意味もあるのです。

しかしよく考えてみると女性のうつくしさとは、ハイヒールにしても、メイクアップにしても、コルセットにしても、ミニスカートにしても、ある意味、肉体を酷使することにより引き出されるものなのです。女性美を生み出すためのマゾヒズムも投影している香りなのです。

「セクションドール」の中でも、最も挑発的なビューティアイテムであるこの香りは、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。

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香りについて一切語るな!ただ感じるんだ!

1950年代の優雅なファッション・モデルがそのまま21世紀に素肌の上で蘇るようなこの香りは、インドールの効いたジャスミン、オレンジ・ブロッサム、チューベローズのフローラルブーケに、濃厚なグレープの果汁が振りかけられていくような、妖しくグラマラスなムードからはじまります。

すぐにスティラックスや松の樹液(ジュニパーベリーのような)といったひんやりとスパイシーなドライジンのような香りが、温かいファーに包まれた肉体のまわりに漂う冷気のように、クールビューティなひりひり感を生み出してくれます。

やがて(キャラメルのような)アンバーグリスとムスクが、自分の姿を大きな鏡越しに見て陶酔するような、甘くてリッチな余韻で満たしてくれます。それはまるでとぐろを巻いた大蛇に、肉体が絞められていくような、たくさんの犠牲者の上に、贅沢な生活を送っている女性へと脱皮するような『悪女転生の儀式』のようでもあります。

時代を遡る美を楽しむことが出来る女性のために作られた〝悪の華〟フレグランス。

ファッションというものが、悪魔の魔法であることを知り尽くしている二人の男が生み出した〝究極の魔性の香り〟です。この香りが2025年に復活しなかったのは、世界中の著名な女性が愛用しているにもかかわらず、ほとんど公言していないように、あまりにも本物だったからでしょう。

一言で言うと、「香りについて一切語るな!ただ感じるんだ!」という言葉が相応しい香りです。

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香水データ

香水名:ルナーコンストリクター
原名:Renard Constrictor
種類:パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/55,000円


シングルノート:松の樹液、スティラックス、ムスク、ガーデニア、チューベローズ、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、アンバーグリス