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【ゲラン】ジャルダン バガテール(ジャン=ポール・ゲラン)

ゲラン
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ジャルダン バガテール

原名:Jardins de Bagatelle
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン、アン・マリー・サジェ
発表年:1983年
対象性別:女性
価格:75ml/18,590円

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価格:9980円
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ゲランのマリー・アントワネットの香り

©GUERLAIN

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それは1775年のことでした。女王になったばかりのマリー・アントワネット(1755-1793)が、夫ルイ16世の弟アルトワ伯爵(のちのシャルル10世)と、100日以内に、ブローニュの森にバガテル城を建設することが出来るかという賭けをしました。

そして、伯爵は、僅か64日で、建築家フランソワ=ジョゼフ・ベランジェ(1744-1818)により、バガテル城を建設させたのでした。それは新古典主義様式の粋を極めたものであり、同時にバカテル庭園も建設されました。

この庭園は、20世紀はじめに造園家ジャン=クロード・ニコラ・フォレスティエにより、バラ園が作られ、今では1200種類ものローズが咲く、世界有数の規模を誇るローズガーデンとなり、パリ市民の憩いの場となっています。

マリー・アントワネットの肖像画。1775年。

「ジャルダン バガテール=バカテル庭園」。それは1983年にゲランの四代目調香師ジャン=ポール・ゲランアン・マリー・サジェにより調香された(エルメスの庭園の香りよりも20年前に作られた)世界ではじめての庭園の香りであり、無邪気に自然と戯れることが許された時代のマリー・アントワネットの香りなのです。

国王になったばかりの20歳のルイ16世に甘やかされ、好き勝手に放蕩三昧が許されていた19歳のマリー・アントワネットの香りなのです。

一方、この香りは、ゲランにとってひとつの新しい試みの果てに生み出された香りでした。それは、拡大する香水市場に対応するため、ゲランは、史上初めて外部の調香師を招くことを視野に入れ、ジボダンとフィルメニッヒの調香師にも試作品を作らせ、ジャン=ポールと競い合わせたのでした。

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マリー・アントワネットに翻弄される香り

©GUERLAIN

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さぁ、ブローニュの森の中にあるというこのゲランの香りに触れてみましょう。まず最初に、アルデハイドと共にレモンとベルガモットが現れます。と同時に、ヴァイオレットが絡み合いまだ花の蕾が開花する寸前の朝露をふくんだ鋭い草の香りに包まれていきます。

すぐにチューベローズの香りを身に纏うマリー・アントワネットが登場します。彼女は髪のポマード等でチューベローズを愛用していました。夜明かしでパーティーを楽しんだマリー・アントワネットが、シャンパンの入ったクープグラス片手にバカテル庭園に飛び出した瞬間をイメージした香りがここからはじまります。

自由奔放に香る甘やかされたジャスミン、ローズ、ガーデニア、マグノリア、ネロリが、それぞれのオンタイムで優雅に花咲くのです。そして、どういう訳か少し遅れて香り立つスズランと水仙がこの香りの〝秘密の花園〟なのです。

最も花が魅力的に香る時間帯に、マリー・アントワネットの魅力もまた開花するのです。

日は昇り、太陽の温かみによりマリーの肉体に塗りこめられたチューベローズは更に濃い甘さを発し、その甘さに、他の花々も反応します。どこまでも優雅なる18世紀の庭園の香りです。

ただし、ひとつだけ問題があります。この香りは、本当に気まぐれで甘やかされたマリー・アントワネットの香りなのです。だから、日によって、機嫌を損ねている可能性もあります。特にドライダウンにおいて、フローラルが消え去り、シダー、ムスク、ベチバーのソーピィな三重奏で終わる可能性があります。

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ゲランの香りとクラシック音楽は切り離せない。

©GUERLAIN

ちなみにジャン=ポール・ゲランはこの香りを創造するにあたり、スペインの作曲家エンリケ・グラナドスが作曲した「ゴイェスカス」(1911)から強い影響を受けました。

バガテルという言葉には、クラシック音楽において、「ちょっとしたもの」=軽やかな内容のピアノ小品という意味もあります。

ロベール・グラネによりデザインされたボトル・デザインは、80年代のパワーショルダーを意識したボトルデザインです。

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エマニュエル・ベアールが愛する香り




ちなみに、エマニュエル・ベアール(1963-)はインタビューを受けると好きな香水について、「私の肌の香り」とこの香りの名をいつも挙げています。だから、フランスでは、この香り=エマニュエル・ベアールという印象があります。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「この香りは、LVMHグループの傘下に入ってから「マホラ」「シャンゼリゼ」が出現するまで、私の最も嫌いなゲランの香水だった。酸味の効いたメタリックなフローラル系が復調しつつあるおかしな世の中にあって、今やアンドロイドに囲まれた誇り高き貴婦人である。傑作ではない。だがB級品の最高峰である。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ジャルダン バガテール
原名:Jardins de Bagatelle
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン、アン・マリー・サジェ
発表年:1983年
対象性別:女性
価格:75ml/18,590円



トップノート:ジャスミン、アルデハイド、ヴァイオレット、レモン、ベルガモット
ミドルノート:チューベローズ、水仙、ガーデニア、イランイラン、オレンジ・ブロッサム、スズラン、マグノリア、ローズ、オーキッド
ラストノート:チューベローズ、ベチバー、ネロリ、ムスク、シダー、パチョリ

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