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【ゲラン】オンソン ミティック ドリオン(ティエリー・ワッサー)

ゲラン
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オンソン ミティック ドリオン

原名:Encens Mythique D’Orient
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/34,500円

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僅か17回の試作で生み出された〝奇跡のお香〟


2012年に発表された、ゲランのエクスクルーシブ・フレグランス「レ デゼール ドリオン」コレクション=〝オリエンタルの砂漠〟の3種類のうちの一本です。

「オンソン ミティック ドリオン」とは、フランス語で〝東洋の神話のお香〟という意味です。古代エジプト及びバビロニアから宗教儀式に使われてきた樹脂から水蒸気蒸留されたフランキンセンス(乳香)の精油が主役の香りです。

ゲランの五代目調香師ティエリー・ワッサーが厳選したニュージーランド産のアンバーグリス(マッコウクジラの腸内に発生する結石。商業捕鯨が禁止になった1986年以降は、希少な香料。7世紀のアラビアから使用がはじまったと考えられている。香りを持続させる効果もある)が使用されています。

そして、この香りは、僅か17回の試作で生み出された香りでした。それはゲランの文化遺産管理部門の責任者エリザベス・シロが、ティエリーのオフィスで見つけた試作品に興味を持ち、サンプルを貰った事がきっかけになりました。

数週間後、その香りがたいそう気に入ったエリザベスは、無くなったのでもう一本くださいとティエリーのオフィスを訪ねました。そこでティエリーは気を利かせて、更に試作を重ねたヴァージョンを渡したのですが、彼女はすぐに香りを吹きかけると「これはひどい!私が欲しいのは前のものなのよ」と言ったのでした。そして、この前のものこそが、17回目の試作品だったのです。

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最高級の天然アンバーグリスを堪能する香り


アルデハイドにより華やかなダマスクローズに棘が生まれ、ほのかに香るサフランがかすかにグリーンを感じさせるトップノートからはじまります。

やがて香りは、神の啓示であるかのように、天空から降り注がれる黄金のフランキンセンス・シャワーに満たされます。何よりも素晴らしいのはこのシャワーの背景で奏でられるベチバーとパチョリの土と木のシンフォニーです。

実に恐ろしい表現になるのですが、ドライダウンにかけて、天然のアンバーグリスに想像を絶する大量のホワイトムスクが溶け合い、そこにフランキンセンスが交わっていくのですが、それはもはや香りの領域を飛び越え、「私は神の子である」と神の恩恵を一身に感じるような、善悪の甘さが広がる彼岸の領域に到達します。

ドライダウンこそが、この香りの〝至福のひと時〟です。アルデハイドとローズ、パチョリによるソーピィーな一面が出る場合もあれば、フランキンセンスとアンバーグリスによるスモーキーな一面が出る場合もあるという多面性に満ちています。

ゲランは、恐ろしいものを作ってしまったとしか言いようがありません。香りが作る迷宮です。そして、もしあなたが本物のアンバーグリスというものが生み出す香りの力を感じたいのなら、この香りこそ最も相応しいものです。

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香水データ

香水名:オンソン ミティック ドリオン
原名:Encens Mythique D’Orient
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/34,500円


トップノート:ダマスクローズ、アルデハイド、サフラン、ネロリ
ミドルノート:ピンク・ペッパー、ベチバー、パチョリ
ラストノート:ウッディ・ノーツ、アンバーグリス、フランキンセンス、ホワイトムスク