作品名:ブレックファスト・クラブ The Breakfast Club (1985)
監督:ジョン・ヒューズ
衣装:マリリン・ヴァンス
出演者:モリー・リングウォルド/アリー・シーディ/エミリオ・エステベス/アンソニー・マイケル・ホール/ジャド・ネルソン
ラルフ・ローレンを着たモリー・リングウォルド
1984年3月24日土曜日の休日に懲罰登校を命じられた5人の高校生。普段は全く接点のないスクールカーストに属する女子2人と男子3人の交流によって生み出された覚醒の瞬間を描いた青春ドラマです。そして、恐らく来週の月曜日からは、再び同じ月曜日が繰り返されるのでしょうが、この土曜日は間違いなく〝永遠の土曜日〟だったと(たとえもう二度とお互いに会話を交わさなくても)5人それぞれが回想するであろう、思春期における奇跡の一日の物語なのです。
ところで、アパレルやファッション業界に従事する人々の高校時代のスクールカーストは上位である人よりも、下位である人が圧倒的に多いのですが、それはスクールカースト最下層(=バスケットケースと呼ばれる)のアリソン(アリー・シーディ)を見ていると良く分かることでしょう。この作品において、ファッション感度の高い人々が気になってしょうがないのがこのアリソンちゃんなのです。それはまるで「彼女は私だ!」という共感に近いものなのです。
さて、アパレルカーストというものをご存知でしょうか?アパレルの販売員から見た若いお客様に対するクラス分けのことです。上から、不思議ちゃん、不良、体育会系、プリンセス、ガリ勉の順となるのですが、不思議ちゃんは、こういった場においてはとにかく個性的に輝き、プリンセスは、こういった場においては、ツンとするか、愛想よく自慢するかのどちらかに転んでしまい、「とっとと買うか買わないか決めて、消えてください」という気持ちにさせるのです。
一方で、ラグジュアリーブランドカーストというものも存在します。その順番は、スクールカーストと全く同じです。プリンセス、不良、体育会系、ガリ勉、不思議ちゃんの順番です。
さて、1980年代半ばの世界は、ボディコン前夜であり、ミディ&ロングスカートが全盛の時代でした。日本においても、中山美穂や「スケバン刑事」達によるロングスカートが主流のスタイルでした。そして、この作品の大ヒットにより生まれたリングレッツ旋風により、そういったスタイルは沸点に達したのでした。ちなみに、この作品のモリー・リングウォルド(1968-)のファッションは、全身をラルフ・ローレンで固めています。
シンプル・マインズの主題歌
全米No.1ヒット・ソングとなった本作の主題歌「Don’t You(Forget About Me)」は、シンプル・マインズによって歌われました。
元々最初から、シンプル・マインズに主題歌は依頼されたのですが、「映画のために書かれた他人の曲なんか歌いたくない」と考えたヴォーカルのジム・カーにより拒絶されました。そして、ビリー・アイドル、ブライアン・フェリーにも断わられた果てに、当時のジム・カーの妻クリッシー・ハインド(プリテンダーズのヴォーカル)の説得により、歌うことになったといういわくつきの一曲でした。
ちなみにシンプル・マイルズにとって唯一の全米No.1ヒットとなったこの曲の前に全米No.1に君臨していた曲はマドンナの「クレイジー・フォー・ユー」でした。以後映画とMTVは益々深く結びつき、そこからファッションの流行は生まれていくようになりました。
当初モリーは、アリソンを演じる予定でした。
クレア・ルック1-1 カーフレザージャケット
- ブラウンのボリューミーなカーフレザージャケット
- 黒の鉤編み手袋、所々にレザーを使用
- 白のレースのスカーフ
- バーガンディのセーター
この作品によって、全米にリングレッツ旋風が吹き荒れることになりました。当初、ジョン・ヒューズは、クレア役をジョディ・フォスター、アリソン役をブルック・シールズで考えていました。しかし、予算的に実現せず、アリソンをモリー・リングウォルドで撮影することになったのですが、モリーの主張により、彼女がクレアを演じる事になりました。