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カイエデモード香水図鑑を応援する|2025年4月8日終日

2025年夏に9年目を迎えるカイエデモード香水図鑑。今年一年で、9年かけて作り上げてきた香水図鑑の完成を目指しております。2025年4月7日に、念願の『ルイ ヴィトン香水聖典』が完成しました。このようなカイエデモードの香水聖典の制作活動をはじめとする香水文化を豊かにする活動に対するご支援を、4月8日終日募らせて頂きます。

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【ディオール】ミス ディオール パルファン(フランシス・クルジャン)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
クリスチャン・ディオール
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ミス ディオール パルファン

原名:Miss Dior Parfum
種類:パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2024年
対象性別:女性
価格:35ml/13,200円、50ml/18,040円、80ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール

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クルジャンがはじめて生み出す「ミス ディオール」

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ミス ディオールが生まれたのは、ホタルが舞う、プロヴァンスらしい晩のことでした。夜と大地が奏でるメロディーにのせて、グリーンのジャスミンが美しく重なり合っていました。

クリスチャン・ディオール

ディオールの記念すべきファースト・フレグランス「ミス ディオール」は、1947年に誕生しました。このシリーズの中で唯一のパルファムとして、2014年より「ミス ディオール エクストレ ドゥ パルファン」が発売されているのですが、この香りは継続販売しつつも、2024年5月17日に二代目調香師フランシス・クルジャンによる「ミス ディオール パルファン」が発売されました。

この香りは、マリア・グラツィア・キウリによるディオールの2024-2025年秋冬プレタポルテコレクションと連動したテーマを共有しています。

それは1967年、マルク・ボアンのアシスタントであるフィリップ・ギボージェにより、初めてのプレタポルテとして登場したウィメンズ・ライン「Miss Dior (ミス ディオール)」にオマージュを捧げています。

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1947年と2005年の「ミスディオール」の遺伝子を継ぐ香り

ナタリー・ポートマン ©DIORBEAUTY

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フランシス・クルジャン ©DIORBEAUTY

インダルト パリの「マナカラ」(2006)でライチとローズのロマンティックな甘い関係をボトルの中に永遠のものとすることに成功し、「ア ラ ローズ」(2014)でマリーアントワネットが愛したヴェルサイユのバラの一生をフルーティーローズの香りに投影することに成功した、花と果実の共犯関係を、素肌の上で、ロマンティックに生み出していく天才調香師フランシス・クルジャンによるはじめての「ミス ディオール」の香りです。

それは弾ける若さを武器に、栄光へのランウェイを闊歩する女性に対しても、女盛りを迎え、若返りと成熟の綱渡りを毎日たのしむ女性に対しても、円熟期の中、湖水に漂う夜の満月のような優美さを湛えている女性に対しても魅力的な、あらゆる「オンナの季節」を生きている女性たちにアプローチする〝女を咲かせるディオール〟の香りの恵みです。

かつてクルジャンが一人の女性調香師と共に、ナルシソ・ロドリゲスの香りを調香した後、彼女がディオールで生み出した奇跡の香りについて羨望していました。その香りとは、2005年にクリスティーヌ・ナジェルがミス・ディオールの復活の日を実現した「ミス ディオール シェリー」でした。

彼がはじめて手がけた「ミス ディオール」には、その「シェリー」の主役であるストロベリーが、蘇る金狼のごとく、香りの最初から最後まで存在感を放っています。

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ストロベリー・ダイキリに浸されるジャスミンの花びら

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私は1947年当時のジャスミンの香りを表現したいと強く思い、77年前のオリジナルのフォーミュラを分解しました。そして当時に近いジャスミンを探して欲しいと依頼しました。数あるジャスミンの中から、7月の夜明けに収穫されたグリーンの香りを放つジャスミンを選び、当時の抽出方法を調べ、30年ほど前まで使われていた昔ながらの特別な抽出法を採用しました。

フランシス・クルジャン

太陽がいっぱいにあなたの心を満たしてくれるように輝く、ジューシーなマンダリンが弾けていくようにしてこの香りははじまります。

すぐに太陽の向こうで輝く流星があなたの素肌の上に舞い降りるかのように、きらめくジャスミンが素肌の上に満開の花を咲かせてゆきます。と同時に、甘くて酸っぱく、フレッシュで温かい、酔わせるストロベリーダイキリのシャワーを全身で受け止めてゆきます。

この香りの最大の魅力は、この酔わせるストロベリーのシャワーを浴びているうちに、だんだんとリアルな摘み立てのストロベリーの果汁が広がり、ジャスミンが翻弄されるようにピーチとアプリコットの側面を解き放っていくところにあります。まさに花びらというよりは、ジャムのようなジャスミンです。

この〝よろめくジャスミン〟がまるで〝よろめく女心〟のように、いまだかつてなく生き生きとスパークリングして香りを広がらせていくのが、クルジャンのミスディオールの最大の魅力です。

この部分は「マナカラ」「ア ラ ローズ」で、彼のみが生み出しうる〝秘められた女の願望〟を甘い囁きと共に、リミッターを外して発散させてくれる、「恥ずかしがらないで、もっともっと自分を自由に曝け出してね」という、天使か悪魔か分からないエールのようです。クルジャンの香りの魅力は〝よろめき〟にあるのです。

やがて、パチョリとシダーとモスが、大自然のフレッシュな空気感によって、熱を帯びたグルマンな素肌と心に冷静さを取り戻させようと「どうか欲望を抑えて下さい」という静かなるシプレの警告信号を鳴らしてゆきます。しかし、止められれば止められるほど、もうどうにも止まらないのが、女としての性(さが)なのです。

「ミス ディオール パルファン」は、ナタリー・ポートマンのコマーシャル・フィルムが伝えてくれるように、リミッターを外し、新しい自分を謳歌する香りなのです。さあ、あなたの素肌に咲くジャスミンに、ストロベリーダイキリのシャワーをかけて〝よろめく心〟で、自分自身が知らなかった、新しい自分の感情に身を委ねてみましょう。

フルーツパチョリの香調ゆえに、シャネルの「ココ マドモアゼル」とよく比較される香りです。

今日、2010年代と2020年代を象徴する香りの流れを考えてみると、それはフルーティーさという概念です。柔らかさがあり、フルーティー、スパークリング、クリーミー、ヤミー、グルマンの間を行き来します。今の香水には、食べられるもの、何か味わい深いものがあります。

フランシス・クルジャン

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2025年1月1日に発売された「ミスディオール パルファン ミニミス」

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2025年1月1日には、新たにポータブルなスティック・フレグランス「ミス ディオール パルファン ミニ ミス」(11,660円、リフィル 9,900円)が発売されています。

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香水データ

香水名:ミス ディオール パルファン
原名:Miss Dior Parfum
種類:パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2024年
対象性別:女性
価格:35ml/13,200円、50ml/18,040円、80ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:アプリコット、ピーチ、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:ワイルド・ストロベリー、ジャスミン
ラストノート:パチョリ、アンバー、モス、アトラス・シダー