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【ゲラン】アンソレンス(モーリス・ルーセル)

ゲラン
ゲランブランドモーリス・ルーセル調香師香りの美学
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アンソレンス

原名:Insolence
種類:パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:7.5ml/14,000円

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つけ方次第で、負のスパイラルになる香り

©GUERLAIN

2002年にゲランの4代目調香師ジャン=ポール・ゲランが退任した後(以後、コンサルタントとして香りを不定期に調香)、ゲランにおいて、クリエイティブ・ディレクター制度が敷かれることになりました。そして、この席に就任したのが、1984年以降、ゲラン一筋で働いてきたシルヴェーヌ・ ドゥラクルトでした(メイクアップ&スキンケア・トレーナーとしてそのキャリアをスタートした)。

1992年からISIPCA(イジプカ)で2年間学び、マチルド・ローランと共にジャン=ポール・ゲランの下で学んだ彼女は、ディレクターに就任後、「ランスタン ド ゲラン」を成功に導いたモーリス・ルーセルを調香師として再度招聘し、はじめてのプロデュース作品に取り掛かります。

かくして2年半もの月日をかけて誕生した香り「アンソレンス」とはフランス語で「傲慢」の意味です。そして、この香りは、ランスタンをはるかに凌駕する大ヒット商品となりました。

ゲランの香水(パルファム)にまだ興味を持ち始めたばかりで、パルファムを購入した経験がない若い女性のための「最初のゲラン」というコンセプトで創造されたのがこの香りです。そのためシルヴェーヌが、モーリスに提案したのは、パルファムはつける場所と量によってその香り立ちも変わるということを、一番理解できる香りを創造しようということでした。

そのため、この香りは通常のピラミッド構造を放棄しており、スパイラル構造になっています。だからこの香りは、つけ方を失敗すると悪臭の負のスパイラルになり、成功するととんでもなく素敵な香りのスパイラルになります。

同じパルファムを使用して、こうも香り立ちが違うのか?ということを教えてくれる香りなのです。

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ヴァイオレット・ラバジュール

©GUERLAIN

ヴァイオレット(スミレ)とアイリスが主役のこの香りによりゲランははじめて香りの中にベリーを投入しました。中高年女性の古臭い香りを連想させる二つの香りに対して、アンチエイジング効果を生み出す役割を見事に果たしています。

通常ローズとブレンドされることの多いヴァイオレット(イヴ・サンローランの「パリ」のように)をアイリスとブレンドさせた所もモーリスの非凡さを感じさせます。

まず最初に、「傲慢」という名の香りは、ラズベリーとレッドベリーの甘酸っぱさを主役にベルガモットとレモンが絡み合うフルーツカクテルの香りからはじまります。

すぐにベルガモットとレモンが消えていくと同時にベリーの甘酸っぱさに、爽やかに甘いヴァイオレットとローズ、オレンジ・ブロッサムが絡み合い、パウダリーなアイリスが香り全体を上品に包み込んでくれます(かなり大量のヴァイオレットが使用されています)。

そして、サンダルウッドとトンカビーンがときどき顔を出し、官能的なムードを生み出してくれます。「傲慢」という名は、エレガントの根本にあるものこそが、「傲慢」であり、それを御することを知ることがエレガントを手にするはじまりであるという意味を持つネーミングです。

つまりは、傲慢な香りの変化(スパイラルするフルーツ、フローラル、ウッディの香り)をいかに御するかによって、真の香りのエレガントを手にすることが出来るということを教えてくれる香りなのです。

だからこそ、容易にエレガントの演出の手助けになる香料であるゲランの特製バニラは一切使用されていないのです。

三つの半球が重なり合う神秘的なボトルデザインはセルジュ・マンソーによるものです。キャンペーン・モデルは、『ボーイズ・ドント・クライ』(1999)と『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)で二度にわたりアカデミー主演女優賞を獲得したヒラリー・スワンク(1974-)です(コマーシャルに出演することなど大嫌いだったヒラリーが出演を決めたのは、彼女の母親がずっとゲランのシャリマーを愛用していたからでした)。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アンソレンス」を「フローラルオリエンタル」と呼び、「傲慢とは、ぴったりの名前をつけたものだ。この語から思い浮かぶのは、もともと人をひきつける魅力があるのに、作法をいっさい無視してみごとに一人残らず敵にまわすような人だ。」

「香りのほうは、我々が知る限り最も悲惨なトップノート(ヘアスプレーとヴィオレット・ド・トゥールーズの製品)で始まる。はかり知れない技巧がこらされているというのに、なんとも残念なことだ。」

「この香水にはモーリス・ルーセルの「ルール ブルー」への敬意がこめられている。それはルール ブルーの重さ、バランス、柔らかさを欠いたものに変貌した。スパンコールとネオンのぼんやりとした産物だ。オリジナルが好まれ、アンソレンスのけばけばしさが敬遠されるのは無理もない。だが香水の芸術は後戻りできないくらい進歩している。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:アンソレンス
原名:Insolence
種類:パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:7.5ml/14,000円


トップノート:ラズベリー、ベルガモット、レッドベリー、レモン
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、ヴァイオレット、ローズ
ラストノート:アイリス、サンダルウッド、トンカビーン、ムスク、樹脂

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