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トム・フォード

【トム フォード】フジェール プラティーヌ(オリビエ・ギロティン/リンダ・ソン)

トム・フォード
©Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
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フジェール プラティーヌ

原名:Fougère Platine
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン、リンダ・ソン
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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フゼアノートの興隆と凋落と復権の歴史

©TOM FORD

「プラチナ・フゼア」という名のこの香りは、トム・フォードプライベート ブレンド コレクションから2018年に発売され、日本には未上陸の香りです。オリビエ・ギロティンリンダ・ソンにより調香されました。

フゼアノートとは、1882年にウビガンの「フジェール ロワイヤル」がクマリンを使用して生み出した香調です。渋いモスと甘いクマリンのコントラストが生み出す爽やかでヒヤッとする香りが特徴です。

しかし、長らく男性にとって王道の香調だったフゼアノートは、1992年の「ロー ドゥ イッセイ」の登場により、男性はマリンノートのような透明感溢れる香りを好むようになり、凋落の一途を辿りました。

そして、21世紀に入り、ニッチ・フレグランスの興隆により、クラシカルな香調に対する人々の関心が蘇ることになり、フゼアは見事に復権を果たすことになるのでした。

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ジェームズ・ボンドの世界観そのものの香り

©Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

©Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.

この香りほど〝人を選ぶ香り〟はありません。恐らくトム・フォードが、一流品は何たるかを知り、それと対等につきあえる男性のために創造した〝究極のフゼア〟と言えます。

このフゼアの香りの素晴らしさは、端的に言うと、精神性や物語性を全く排除した、とにかく外面だけを重視した香りであるところにあります。そして、それはまるでジェームズ・ボンドの原作者であるイアン・フレミングが自分の小説について語った以下の言葉の精神そのものの香りと言えます。

わたしの小説には、悩める人類に対する呼びかけなどない。ただ熱い血をもった異性好きの人々に、汽車や飛行機やベッドの中で読んでもらえるように書かれたものである。

どうしてこのフゼアを日本のトム・フォード・ブティックで販売しなかったのでしょうか?この香りは、恐らく、間違いなく、トム・フォードが、ジェームズ・ボンドの世界観、またはボンドムービーのすべての登場人物にぴったりな〝徹底的に外見の洗練と誇示につとめた香り〟なのです。

この香りのはじまりは、ボンドムービーのガンバレルのように、ラベンダーのフローラルとハーバルな側面を共に生かすべく、(銃弾のようにメタリックな)クラリセージとバジルが折り重なりながら、フゼアノートが現れます。

背景に漂うタバコの香りが、この香りのフゼアノートが明らかに、超人的であることを予感させます。やがて、スモーキーラベンダーの香りに、蜂蜜によって粘着性を生み出されたラブダナムとオリバナムが絡み合います。

鋭さと甘ったるさの一歩手前に存在するハーバルなアルテミシアの存在が、この香りにクールネスとダンディズムの閃光を放たたせています。それはどんなに危機的な状況であろうとも、ネクタイの位置を整え、余裕綽々なジェームズ・ボンドの美学にぴったりフィットする香りなのです。

さぁ、今からでも遅くはない!ボンドムービーの世界観を愛する人はこの香りを補充しておきましょう。

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香水データ

香水名:フジェール プラティーヌ
原名:Fougère Platine
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン、リンダ・ソン
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:クラリセージ、ラベンダー、バジル、ベルガモット
ミドルノート:アルテミシア、蜂蜜、オリバナム、スパニッシュ・ラブダナム
ラストノート:タバコ、シダー