フェイ・ダナウェイ

フェイ・ダナウェイ4 『華麗なる賭け』4(2ページ)

    作品名:華麗なる賭け The Thomas Crown Affair (1968)
    監督:ノーマン・ジュイソン
    衣装:セオドア・ヴァン・ランクル/ダグラス・ヘイワード
    出演者:スティーブ・マックイーン/フェイ・ダナウェイ/アストリッド・ヒーレン


    映画史及びファッション史に残る〝360度キス〟

    華麗なる60年代ファッション・ショー。


    私はフェイをかじるようにキスすることになっていた。彼女もかじりかえしてきた。その間、キャメラは二人を真下から撮ったり、真上から撮ったり、ぐるりとなめまわしたりして、セクシーなムードつくりに懸命ってわけだ。あのキス・シーンを撮るだけで、途中に昼休みをはさんで、八時間かかったよ。おかげでわれわれの唇は一週間も腫れあがったままだった。

    スティーブ・マックイーン

    『華麗なる一族』『華麗なるギャツビー』といった『華麗なる』旋風の原点になった『華麗なる賭け』という名の本作が、女性のファッション・シーンに与え続けている影響は小さくありません。その最たるものとして挙げられるのが、ハイライト・シーンとも言えるチェス・ゲーム・シーンにおいてです。

    男性が女性のどの部分・どの仕草に魅了されていくのかと言うことを、伝説的な色盲のカメラマン・ハスケル・ウェクスラー(1922-2015)が360度とクローズアップを駆使することにより、見事に表現しています。ここには、ファッションとコスメが与える男女関係の全てが詰っているのです。

    それはまさに男性にとって実に恐ろしい〝魔の刻〟の再現です。チェスを〝ラブ・フィールド〟としてセックスの戦場に見たてています。そして、ある批評家はこのシーンを見て、ひとつの言葉を残しました。「マックイーンとダナウェイはスクリーンを湯気でくもらせた」と。



    ボニーが、ガルボハットをかぶって帰ってきた!

    ガルボハットに鼈甲のサングラス。

    ヌーディーなリップに、ゴールドリング・イヤリング。

    同じくヌーディーな付け爪。

    そして、ヌーディーカラーのジャケットに、

    最高級アクセサリーであるマックイーンを身に付ける。

    男をアクセサリー感覚であしらう女ヴィッキーの登場。

    クロコダイルバッグもパンプスもヌーディー。




    ヴィッキー・ルック1 ピンク・ジャケット
    • 鼈甲のサングラス
    • ゴールドリングイヤリング
    • 白のガルボハット
    • ピンクのジャケット、シングル、4つのクルミボタン
    • すみれ色のブラウス、ボウタイ
    • 白のAラインミニスカート
    • ホワイトタイツ
    • クリーム色のクロコダイル・ハンドバッグ
    • ベージュのローヒールパンプス
    • 白手袋

    セオドア・ヴァン・ランクル(1928-2011)とのタッグにより、『俺たちに明日はない』のボニー・ルックによって、60年代後半のファッション・アイコンになったフェイ・ダナウェイは、本作の衣裳デザイナーに再びセオドアを逆指名しました。

    オードリー・ヘプバーンの『おしゃれ泥棒』や『いつも二人で』に匹敵するほどに、時代性を感じさせる本作のヴィッキー・ルックは、同時代のカトリーヌ・ドヌーヴの『昼顔』とは、対極にある〝失われたファッション〟がてんこ盛りされた作品です。

    時代を超越することが出来なかったファッション・デザインが持つ違和感を知ることは、ファッションに関わる人々にとってとても重要です。なぜならばその違和感こそが、新たなる感性へのスイッチとなり、新しいファッションの流れを生み出すことになるからです。だからこそ、〝失われたファッション〟ムービーを沢山見ておくことは、新たなるファッション・シーンの創造のための〝明日のためのその一〟なのです。



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