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クラウディア・カルディナーレ3 『ウエスタン』3(2ページ)

クラウディア・カルディナーレ
クラウディア・カルディナーレ
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作品名:ウエスタン Once Upon a Time in the West (1968)
監督:セルジオ・レオーネ
衣装:カルロ・シーミ
出演者:クラウディア・カルディナーレ/チャールズ・ブロンソン/ヘンリー・フォンダ/ジェイソン・ロバーズ

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一番最初にクレジットされるのは〝CC〟の名前です。

『ウエスタン』の主役は、紛れもなくクラウディア・カルディナーレでした。

オープニング・ドレスを着たバラを持つクラウディア。70年代少女漫画レベルのうつくしさです。

1960年代にマリリン・モンロー=MM、ブリジット・バルドー=BBと並び、二文字のイニシャルで呼ばれたのが、クラウディア・カルディナーレ(1938-)=CCでした。そんな彼女の代表作のひとつが『ウエスタン』でした。21世紀において、女性が一番最初に観るべき西部劇と言われている作品です。

この作品は、西部劇史上はじめて拳銃使いではない女性が主人公を演じた西部劇でした。そこには、ニューオーリンズのバーボン・ストリートの高級娼婦として生きてきた女の魂の再生の物語が存在します。

アメリカの歴史の持つ偉大なる力<アメリカの偉大なるサクセス・ストーリーの一部>は、いわゆるキンタマを持った女から生まれたものだ。ロックフェラーの祖母はニューオリンズの娼館にいたことがあるに違いないと私はにらんでいるんだよ。

セルジオ・レオーネ

そうなのです、この作品の主人公ジル・マクベインは、キンタマを持った女性なのです。そして、彼女のような女性の存在によって、西部開拓史ははじまり、アメリカの近代化が加速していくのでした。

そんなセルジオ・レオーネにとって唯一の女性が主人公の作品の原案を生み出したのが、のちに『ラストエンペラー』で1987年度のアカデミー賞を9部門獲得したベルナルド・ベルトルッチと、『サスペリア』(1977)を監督したダリオ・アルジェントでした。当時二人は20代でした。

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エンニオ・モリコーネによるジルのテーマ曲。

モニュメント・バレーをバックに佇むクラウディア。

当初、ジル役候補にソフィア・ローレンの名も挙がっていました。

町を作るのに25万ドルかける。それは『荒野の用心棒』の全製作費よりも高かった。

レオーネは、ジル役に気高い心を持つ娼婦を演じることが出来る女優を望みました。

とても印象深い柄のクラウディアのストール。

後ろから見たストール。

そして、可愛さとクールネスが同居した麦藁帽子。

ウエスタン・ルック1 ブラックドレス
  • 麦藁帽子
  • ブラックドレス、長袖、首元に白のレース
  • ワインレッド色のストール
  • 黒レースの指あき手袋
  • 黒のハイヒールパンプス


物語が24分過ぎてようやく主人公のジル=クラウディア・カルディナーレがブラックドレスと共に登場します。都会(ニューオーリンズ)から単身西部にやってきたジルは、誰も迎えに来ていないことに不安を感じ、表情を曇らせます。この時のクラウディアの表情が絶妙です。彼女の目のタレ具合が、半開きの唇も含めて、実に魅力的なのです。

そんな彼女が、駅舎を越えていく俯瞰ショットと同時に流れるのが、エンニオ・モリコーネによるジルのテーマ曲です。エッダ・デッロルソの素晴らしいスキャットが流れ、モニュメント・バレーが、映し出された瞬間、私たちは、実に容易に西部開拓時代にタイムスリップすることが出来るのです。これだけ、映像と音楽がマッチしている西部劇はなかなかありません。

レオーネの映像哲学は、「映画の40%は音楽だ」でした。だからこそ、レオーネは、撮影前に、先に音楽をモリコーネに作曲してもらい、撮影現場で大音響で流しながら、撮影に臨んだのでした。

ちなみに、当初、ジル役候補にソフィア・ローレン(1934-)の名も挙がっていました。しかし、レオーネは、彼女の気まぐれでわがままな性格を考え、「ソフィア・ローレンじゃ、どうしたってニューオーリンズから来た娼婦には見えないからな」と呟きながら、イタリア映画界において、誠実で真面目な女優として知られているクラウディア・カルディナーレの起用を決定したのでした。