ボア エ フリュイ
原名:Bois et Fruits
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:1992年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
森の中の小さなケーキ屋さん
セルジュ・ルタンスは、1992年に元々書店があった場所に、レ・サロン・デュ・パレロワイヤル・シセイドーをオープンしました。
そのオープンに合わせピエール・ブルドンが構想し、クリストファー・シェルドレイクが調香した「フェミニテ デュ ボワ」から、4つのバリエーションが生み出されました。「ボア エ ムスク」「ボワ オリエンタル」「ボア ドゥ ヴィオレット」、そして、この作品「ボア エ フリュイ」です。
「ボア エ フリュイ」とは、フランス語で〝森とフルーツ〟の意味です。オリエンタル・ウッディの香りは、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
セルジュ・ルタンスは、この香りを「フェミニテ デュ ボワ」に、若々しさと官能を与えた〝砂糖漬けの果実〟の香りとして生み出しました。
現在この香りは、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
ストーリーが香水瓶を飛び越えて、ファンタジーへと昇華した香り
クリスマスシーズンがやって来ました。人々だけでなく、自然の木々もまた心なしかソワソワしているようです。一晩降り続いた雪により、一面白銀に覆われた森に、温かい日差しが降り注いでいます。
森が目覚めます。森の呼吸を感じさせるようにシダーウッドの芳香が広がってゆきます。すぐに、砂糖漬けされたイチジク、プラム、ピーチで、味つけ彩られたクリスマスケーキの口当たりの良い甘美な香りが鼻先に到達します。
フレッシュなフルーツの感触はそこにはありません。あくまでもドライな森が、フルーツケーキの甘ったるさを抑え、酔わせるような空気で包み込んでゆきます。抑制された感情を香りの中から、感じる瞬間ほどドキドキする瞬間はありません。
それは森の中に一軒だけ存在するパティスリーから漂ってくるようです。スパイシーなクミンとクローブ、シナモンがケーキを焼いている人の気配と、ケーキの誕生を待ちわびる、ウキウキする子供たちのパウダリーな心を感じさせます。そして、甘酸っぱさが、失われし日々に対する憧憬の心をも蘇らせてゆきます。
この香りの名は〝森のフルーツ〟。それは非現実的な非現実の香りではなく、非現実的な現実の香りなのです。だからこそ、この香りの中のフルーツは木々のささやきの中で生きているのです。ストーリーが香水瓶を飛び越えて、ファンタジーへと昇華した、かなり稀有な香りです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ボア エ フリュイ」を「プラム調ウッド」と呼び、「フルーティなシダーの香りのバリエーション。立ち込めるようなスパイスの香りのリキュール、ラム酒漬けプラムが詰まったクリスマスのフルーツケーキを思わせる。」
「ディオールの「ドルチェ ヴィータ」を抑えたような感じ。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ボア エ フリュイ
原名:Bois et Fruits
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:1992年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
シングルノート:シダーウッド、プラム、フィグ、ピーチ、アプリコット