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クリスチャン・ディオール

【ディオール】アンブル ニュイ(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
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アンブル ニュイ

原名:Ambre Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:125ml/39,600円、250ml/55,880円
公式ホームページ:ディオール

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『美女と野獣』が惹かれ合う香り

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ディオールの高級フレグランス・コレクションは、2004年に「ディオール・ラ・コレクシオン・プリヴェ」というコレクション名の下で発表された3本の香りからはじまりました。「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」です。そのうちの2作品は、2021年10月に二代目調香師に就任したフランシス・クルジャンの若き日の作品でした。

現在のメゾン クリスチャン ディオールの源流であるコレクションを創造したのは、当時ディオールオムのクリエイテブ・ディレクターだったエディ・スリマンでした。

やがてエディが2007年に退任し、2006年にディオールの初代専属調香師に就任していたフランソワ・ドゥマシーにより「ディオールオム・コレクション」の名で4作目として、2009年に「アンブル ニュイ」が生み出されました。

〝夜のアンバー〟と名づけられたこの香りは、燃えるようなローズと抱擁するように温かいアンバーグリスが織り成す《18世紀の仮面舞踏会=ブルボン王朝の舞踏会》です。それは静粛な夜に潜む官能を表現したミステリアスな香りです。

アンバーグリス(=龍涎香とは、マッコウクジラの腸内に発生する結石である)とターキッシュ・ローズという対極の香料が交わり合い生み出される世界観は、フランソワ・デュマシーの以下の言葉が如実に示しています。

ふたつの究極が出会う香り。ある意味、美女と野獣を表現したようなアンバーの深く動物的な強さとターキッシュローズのベルベットのような繊細さが対話し、対立する二者が惹かれ合う」。つまりは、ロマンティックでドラマティックでファンタジックな香りなのです。

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〝クラシカルなディオール・エレガンス〟が素肌の上で踊る。

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〝夜のアンバー〟は、太陽の最後のきらめきからはじまります。それは爽快に弾けるベルガモットとグレープフルーツのフルーティな苦みに、アンバーグリスが温かにクリーミーな甘やかさと塩気を注ぎ込んでいくような、華やかな夕陽の情景を素肌に投影していきます。背後にミステリアスなフランキンセンスが最初から最後まで流れています。

すぐに透き通るように凛と美しいターキッシュ・ローズが、しづやかな夜の星々のようにキラキラと輝くピンクペッパーと共に香りを広がらせてゆきます。やがて夕陽と夜の星々の間を、ガイアックウッドとシダー、そしてパチョリがリズミカルに駆け抜けてゆきます。

それはまるでアンバーグリスとローズが素肌の上で踊るダンスナンバーの伴奏のように滑らかに二つの香りを、木の音色で満たしていくようです。そして、温かく柔らかいアンバーグリスと酔わせるワインのようなスモーキーローズがひとまとめになり、うっとりとろけるような余韻に包み込まれてゆくのです。

まさに50年代のハリウッドの黄金時代に、フレッド・アステアとシド・チャリシーが踊るような、〝クラシカルなディオール・エレガンス〟が素肌の上で踊るような、洗練された妖艶さが気だるくとろけて匂い立つようです。

『バンドワゴン』のシド・チャリシーとフレッド・アステア。

『バンドワゴン』のシド・チャリシーとフレッド・アステア。

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香水データ

香水名:アンブル ニュイ
原名:Ambre Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:125ml/39,600円、250ml/55,880円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:カラブリア産ベルガモット、グレープフルーツ
ミドルノート:ターキッシュ・ローズ、ピンクペッパー
ラストノート:ラブダナム、シダー、アンバーグリス、パチョリ、ガイアックウッド