アラン・ドロン

アラン・ドロン1 『サムライ』(4ページ)



    そして、トレンチコートが、サムライの装いになった。

    アラン・ドロンが最も気に入っている作品のひとつです。

    トレンチコートにジタンを吸うドロン。トレンチには煙草が似合う。

    1963年にメルヴィル監督から出演オファーがあった時、ドロンはハリウッド進出のため断っていました。しかし、帰国後、ドロン宅を訪れたメルヴィルは『サムライ』の脚本を彼に見せました。ドロンは、ぱらっと読んでから「タイトルは?」と尋ねました。メルヴィルはただ一言「サムライ」と答えました。ドロンは無言で、メルヴィルにベッドルームを見せました。そこにはただミニマルに、レザーのカウチと、壁にはサムライの刀がかかっていました。ただそれだけで、2人は無言で理解しあったのです。この作品は俺たちのための作品だと・・・

    サムライの部屋には、ベッドと鳥籠があるだけでした。そこは何かひんやりとした武家屋敷のような静謐な空気が漂っています。質素な生活の中にこそサムライの精神は宿ると言わんばかりです。この作品におけるアラン・ドロンの服装はシンプルに、2パターンのみです。トレンチコートチェスターフィールドコートです。

    特にトレンチコートの着こなしが印象的です。ベルトをバックルを通してきちりと締め、襟を立て、ボタンも最後のひとつ以外はしっかり留めて、フェドーラ帽のつばもきちんと真っ直ぐに整えます。それでいて、雨であっても傘をささずに、濡れたまま佇むその姿。トレンチコートで傘はささぬもの。そのシルエットは、大人のオトコのシルエットです。大人のオトコのシルエットとは?それは必要以上に話さず、動かず、笑わずに、静寂を支配することなのです。

    サムライ・スタイル1
    • グレーの2つボタンのノッチドラペルスーツ。シングル
    • 細身のタイ
    • 白のボタンダウンシャツ
    • アクアスキュータム(クラブチェック柄)のベージュのトレンチコート
    • グレーのフェドーラ帽
    • ボーム&メルシエの腕時計




    サムライとその相棒。

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    ナタリー・ドロンと。1964年に結婚して、1969年に離婚した。

    ナタリー・ドロン。デビュー作にして、雰囲気のある芝居をしていました。

    印象的なブラウンのレザーコートと、白のローゲージのタートルネック。

    彼(修理工役のアンドレ・サルグ)は重病だというのに、私を喜ばせようと『サムライ』であの影のような男を演じるのを承諾してくれたんだ。撮影が終わり、病院に戻って亡くなったが、その前に彼にはかろうじて吹き替えをする時間があった。「言っておくがこれが最後だ」と言いながら、彼は自らの死期が近いことを知っていたんだよ。ドロンはその言葉に応じる台詞を入れにやって来た日に彼の死を知り、あの「わかった」を別れの言葉のように言っている。あれが永遠の別れだったんだよ!

    ジャン=ピエール・メルヴィル ルイ・ノゲイラ著「サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生」

    サムライが盗んだ車のナンバープレートを交換し、拳銃を売る相棒のような親爺さん。どこか(あしたのジョーの)丹下段平のような雰囲気の漂うこの男のぶっきらぼうさがとても良い。あくまでもサムライは、指をパチンと鳴らしたり、かなりキザな対応をします。この親爺さんは、明らかにそんなサムライにイラついており、しょうがなしに一緒にビジネスしているやさぐれ感をごく自然に出しています。

    唯一サムライと接点を持つ2人。親爺さんと愛人(ナタリー・ドロン)。この2人の存在のバランスがとても良く、その狭いサムライの世界に、黒人歌手ヴァレリーが現れ、彼のサムライ道は、死に場所を見つけることになります。



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