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ジェームズ・ボンド

『007/ロシアより愛をこめて』Vol.3|ショーン・コネリーとロバート・ショウ

ジェームズ・ボンド
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腕時計のリューズを引っ張ると絞殺用のワイヤーが!

ロバート・ショウ(1927-1978)の冷酷なブロンドヘアの殺し屋像(どこかナチスドイツを連想させる=『バルジ大作戦』)が、この作品の成功を決定的なものにしたと言っても過言ではないでしょう。

良いアクションムービーには良い悪役が必要不可欠です。そして、この作品の中のロバート・ショウは、全ボンドムービーの中でも、最高の悪役のひとりであると言われています(最もジェームズ・ボンドに似た殺し屋でもある)。

こんな秘密の武器が欲しい!と思ってしまいます。

どこか必殺仕事人チック。

それはロバート・ショウという俳優自身の存在感による部分も大きいのですが、それ以上に腕時計が殺し屋の暗殺道具になるという、少年が見てもワクワクする秘密兵器の存在が大きかったのでした。ファッションと小道具の関係。ボンド・ムービーとは、男性にとって、小道具がいかに大切かを伝えてくれる福音書でもあるのです。それはハットにしても、バッグにしても同じです。

なぜその人はその小道具をチョイスしたのだろうか?そのこだわりを感じさせる男性になりたい。そんな男性を見ていると私は退屈しない。男性とは永遠の子供であるべきなのです。小道具が生み出す色々な要因こそが、その男性の個性に直結するのです。

ジェームズ・ボンドの魅力とは、まさしくそんな永遠の子供らしさにあるのではないでしょうか?

二人の格闘シーンも実にスピーディーでした。僅か数分のために三週間かけて、ほとんど本人が格闘し撮影されました。

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レッド・グラントのファッション1

グレースーツ=尾行ルック
  • グレーのガンクラブチェックウールスーツ、3つボタン、シングル、ナローラペル、センターベント
  • 白のポケットチーフ
  • フランク・フォスターのペールブルーシャツ
  • 光沢のあるロイヤルブルーのサテンタイ
  • ブラックレザー・スリッポン
  • ブラックレザーグローブ

物語の前半で、少しだけ登場するロバート・ショウのチェックのグレースーツ。スタイリッシュでありながら目立つことのない尾行に最適なルック。

ロバート・ショウは当初、この役柄がつまらないものと感じ、断っていました。しかし、妻に説得され出演を決めました。

この役柄のためにブロンドに染めたのでした。

タチアナ・ロマノヴァを尾行するレッド。

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レッド・グラントのファッション2

グレースーツ=殺し屋ルック
  • グレー×ブラウン・ピンストライプ、ウールスーツ、3つボタン、センターベント
  • 白のポケットチーフ
  • フランク・フォスターのクリームシャツ
  • ソリッド・ブラック・タイ
  • ブラックレザー・スリッポン
  • ダークグレー・フェドラ

ロバート・ショウは、ロンドンの王立演劇学校出の本格派俳優です。

彼はこの作品で、殺し屋レッド・グラントを好演し、スターへの道を登りつめていく事になりました。

ボンドとはまったく違うスタイルのグレースーツ(例:三つボタン)。

スティーブン・スピルバーグは、このロバート・ショウを見て『ジョーズ』(1975)のキャスティングを決めました。

グラントのシューズはとても変わった形状のスリッポン。

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ジェームズ・ボンドのファッション8

オリエンタル急行のグレースーツ
  • テーラー:アンソニー・シンクレア
  • グレーピックアンドピック(シャークスキン)ウールスーツ、シングル、2つボタン、スリムノッチラペル、ベントレス
  • ターンブル&アッサー、ペールブルー・ポプリン・シャツ、ターンバック・カクテル・カフス
  • ネイビーブルーのシルクネクタイ
  • 白のリネンのポケットチーフ
  • ブラックレザー・3アイレット・プレイントウ・ダービー、ブラッチャー
  • ロレックス・サブマリーナー6538
  • ジェームス・ロック & カンパニーのオリーブブラウン・フェルト
  • アーマライトAR‐7、『狼の挽歌』でチャールズ・ブロンソンが使っていたライフル

刺客レッド・グラントとボンド。共に、グレースーツ。グラントは、なんと魚料理に赤ワインをオーダーした。

ジェームズ・ボンド=スーツ。それはボンドガールを輝かせる宝石。

ブラウンのローファー姿のショーン・コネリー。

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『北北西に進路を取れ』にオマージュを捧げたシーン

アーマライトAR-7で射撃するボンド。このシーンでヘリコプターはあやうくコネリーに向かって突っ込みかけました。

映画史に残るアクションシーン。ヘリに追跡されるJB。このシーンのためにベントレスのジャケットが選ばれました。

元々数年前に、モナコ王妃になっていたグレース・ケリーを再び映画界に誘い出すために、アルフレッド・ヒッチコックは、この作品の原作を映画化して、ジェームズ・ボンドをケーリー・グラントが演じ、タチアナ・ロマノヴァをグレースが演じるという構想を描いていました。しかし、これらのアイデアは、『めまい』(1958)が興行的に失敗したため破棄されたのでした。

本作のヘリコプターの追跡シーンは、そんなヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』(1959)へのオマージュでした。ちなみに本作の多くのシーンは実際にロケ撮影された1963年当時としては極めて珍しいリアリズムを追及したアクションムービーでした。

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ジェームズ・ボンドのファッション9

ヴェニス・スーツ
  • テーラー:アンソニー・シンクレア
  • チャコールグレー・チョークストライプ・フランネルスーツ、シングル、2つボタン、スリムノッチラペル、センターベント
  • ターンブル&アッサー、ライト・エクリュ・ポプリン・シャツ、ターンバック・カクテル・カフス
  • ネイビーブルーのシルクネクタイ
  • 白のリネンのポケットチーフ
  • ブラックレザー・3アイレット・プレイントウ・ダービー、ブラッチャー

ダニエラ・ビアンキが本当に美しい。

このスーツのみホワイトシャツで合わせています。

ストライプがよく分かる写真。

ショーン・コネリはこの作品までウィッグをつけていません。

スーツの全体が分かる写真。

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ボンドのアタッシュ・ケース

このシーンでQが初登場しました。


アタッシュケースはスウェイン・アドニー・ブリッグ。内装のレッドレザーが特徴。

1750年にロンドンでジョン・ロスによって創業された主に傘、ステッキ、狩猟用の鞭などを製造していた英国王室御用達のブランド。英国産のブライドルレザーを使用したアタッシュケースは英国紳士の定番。

本作により、日本でアタッシュ・ケースが流行するきっかけになりました。

作品データ

作品名:007/ロシアより愛をこめて From Russia with Love (1963)
監督:テレンス・ヤング
衣装:ジョセリン・リカーズ
出演者:ショーン・コネリー/ダニエラ・ビアンキ/ロバート・ショウ/ロッテ・レーニャ