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【レバンゲルボワ】1992 パープルナイト(ドミニク・ロピオン)

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1992 パープルナイト

原名:1992 Purple Night
種類:オード・パルファム
ブランド:レバンゲルボワ
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/19,800円、100ml/42,900円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP

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レバンゲルボワについて

デヴィッド・ボウイと妻のイマン ©Fok Kan

レ バン ドーシュに集まる有名人たち。左からジャック・ニコルソン、カトリーヌ・ドヌーヴ、カール・ラガーフェルド、リンダ・エヴァンジェリスタ

©LES BAINS PARIS

レバンゲルボワ(Les Bains Guerbois)。どこかエヴァンゲリオンを連想させる響きを持つこのブランドは、5つ星ホテル「レ バン パリ」のフレグランス・ラインとして2016年にスタートしました。

はじまりは、1885年に、印象派の画家たちが集まる「カフェ・ゲルボワ」を経営していた貴族のフランソワ・オーギュスト・ゲルボワが、「レ バン ゲルボワ」というパリ初の高級スパをオープンしたことでした。

この高級スパには、日本風の温泉、トルコ風の蒸気風呂、ロシア風のサウナがあり、マッサージサロン、美容室、レストランも併設していました。そして、瞬く間にパリの美と健康の殿堂となり、マネ、モネ、ゾラ、ルノワール、プルーストなどの芸術家や上流階級の人々が集まるパリの文化交流の中心となりました。

しかし、やがて人々が自宅にバスルームを持つようになり、衰退していきました。そして、1960年代にゲルボワ家から、医学部の教授モーリス・マロワがこの物件を買い取り、二人の才気溢れる青年たちに貸し出されました。

かくして、1978年に、若き日のフィリップ・スタルクがインテリア・デザインを手がけ、「レ バン ドゥーシュ」という名で、80年代から90年代にかけて世界で最も有名なナイトクラブとして、生まれ変わったのでした。ニューヨークのナイトクラブ「スタジオ54」は、数カ月前(1977年4月26日)にオープンしていました。

デヴィッド・ボウイ、アンディ・ウォーホル(ウォーホルが弟子のジャン=ミシェル・バスキアやキース・ヘリングを披露したのもここでした)、セックス・ピストルズ、ローリング・ストーンズ、カール・ラガーフェルドなど数々の著名人から愛されました。

ちなみにエディ・スリマンが10代の頃このクラブで遊んでいた想い出を投影した香りが、セリーヌの「ナイトクラビング」です。人類最強のDJと呼ばれたデヴィッド・ゲッタのキャリアもここで築き上げられました。

その後、1998年に建物の改修のため閉鎖され、2015年に父モーリスからオーナー権を引き継いだ、映画プロデューサーのジャン=ピエール・マロワ(1963-)の手によって、39のゲストルームを持つ5つ星ホテルとして、再び生まれ変わりました。そして、この時、ナイトクラブと高級スパも復活させたのでした。

ちなみにマロワがプロデュースした映画で有名なものとして、ジュリエット・ビノシュ、マリオン・コティヤールが出演した2004年の『マリー ~もうひとりのマリア~』やジョシュ・ハートネット、木村拓哉が出演した2008年の『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』があります。

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1992年7月12日、プリンスが真夜中に即興コンサートを開催。

©LES BAINS PARIS

©LES BAINS PARIS

彼はリムジンでレ バン ドゥーシュにやって来る。噂は先行する。外も中も同じように混雑している。彼は急がずに夕食をとり、それからクラブに下りて行く。強烈な香水の痕跡を残しながら。

チューベローズ、パチョリ、マンダリン。彼はステージに上がる。楽しむために、無料で。たまたまそこに居合わせた人たちは、この完全な魔法のようなコンサートに歓喜する。音、色、香りの雨。あの年、レ バン ドゥーシュでどれだけのアーティストが、どれだけの夢のような瞬間を生みだしていたのだろうか?

公式ホームページ

1885年の高級スパ「レ バン ゲルボワ」から、1978年の伝説のナイトクラブ「レ バン ドゥーシュ」を経て、2015年の5つ星ホテル「レ バン パリ」へと到達した130年の時を越える水として生み出されたのが、「レバンゲルボワ」の香水達です。

そのうちのひとつ「2015 ル フェニックス|不死鳥」がフレグランス・ファウンデーション・アワードを受賞し、この式典でジャン=ピエール・マロワはドミニク・ロピオンと出会い意気投合し、二つの香りが生み出されることになりました。そのうちのひとつとして2021年に生み出されたのが〝Collection Une date, Une histoire(ある日、ある物語)〟のひとつ「1992 パープルナイト」でした。

ドミニク・ロピオンと共同で作ったもうひとつのフレグランスも音楽がテーマです。歌手のプリンスは、レ バン ドゥーシュが大好きで、パリに来ると必ずここでディナーを楽しんでいました。キャリアの絶頂期にあった1992年のある週、彼は、ダイアモンズ・アンド・パールズ・ツアーのためパリ最大のスタジアムで満員の観客の前で演奏しました。

そして彼はレ バン ドゥーシュの経営者に、コンサートの後、毎晩そこでディナーをとりたいと告げ、彼のためにテーブルを予約してくれるように頼んだ。さらに彼は、そのうちの一晩、プライベートで、ディナーの後に、ゲリラコンサートを開きたいと考えていました。

そこでレ バン ドゥーシュの経営者に、ナイトクラブのステージにドラムキット、エレキギター、マイクなどを置いてくれるように頼んだ。保証はしませんでしたが、置いてくれれば、いつか夜に1時間は演奏できるかもしれないと言った。そして、彼はまさにそれをやってのけたのでした。

それは7月11日の出来事だった。スタジアムで4万人の観客の前で演奏した後、レ バン ドゥーシュで夕食をとり、12日夜中の1時半にクラブに移り、彼は300人の観客の前で、無料で、楽しみながら2時間半演奏しました。観客は皆驚いていた。これが「1992 パープルナイト」のテーマなのだ。

ジャン=ピエール・マロワ

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キミの心の悪魔が目を覚ます、最も危険なチューベローズの香り

1992年7月にレ バン ドゥーシュを訪問したプリンスを報じる記事。

この香りのアイデアは、コントラストと矛盾に満ちた、傑出したアーティストの個性を捉えることでした。プリンスはとても小柄でひ弱そうな男性でしたが、ステージに立つと野獣のようでした。彼は非常に中性的な人物で、女装が一般的になるずっと前から女装をしていて、スカート、ハイヒール、レースを身につけていました。

彼はとても中性的で、ほとんど女性的だったが、大変な女好きでした。毎晩レ バン ドゥーシュに通っていた理由のひとつは、パリで最も美しい女性がそこにいたからだ。

ドミニク・ロピオンにとって、〝プリンス〟はとても興味深い存在でした。これは私たちのベストセラーの1つでもあります。ドミニクはアンドロギュヌス性とその力強さと豊かさをうまくとらえ、チューベローズのフレグランスをユニークに解釈しました。

ちなみに私たちのフレグランスのほとんど全てがそうであるように、ベースノートはウッディでスパイシー、インセンスとサンダルウッド、パピルスです。

ジャン=ピエール・マロワ

小柄でひ弱な男性が、最も危険な獣に変わる瞬間をチューベローズに託したこの香りは、男性にとっては愛する人を会わせたくない男の香りになります。こんな危険な男に、彼女を会わせてしまったら、何が起こるか分からない……そんな男に、あなた自身がなる香りです。

そして、女性がこの香りを身に纏うと、タカラヅカの男役(もしくは「ベルサイユのばら」のオスカル)のような魔性のしなやかさを手に入れてしまうことになるでしょう。

はじまりからおわりまで気高きチューベローズの官能的な香りが、中枢神経まで支配していくようなこの香りは、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のように、この香りを身にまとうと、とんでもなく踊りが上手くなりそうな潜在能力を覚醒させるように、刺激的な甘くもフルーティな花の蜜で満たしてくれます。

1992年に公開され一世風靡した『氷の微笑』で白いボディコンドレスを着たシャロン・ストーンが艶やかに輝く生脚を組み替える魔性の瞬間を、全身で受け止めていくような、世界でいちばんチューベローズの危険な魅力を知りつくしている男・ドミニク・ロピオンが、その危険水域を超えていくのです。

だからこそ、チューベローズの絶対領域を生み出すべく、ピリっとスパークリングするオレンジと、悪魔を召喚するような妖気を立ち上らせるけばけばしいジャスミンが惜しみなく加えられているのです。

やがて、感じ取ることが出来るタバコを吸った生温かいリップスティックの香りの混じった息づかいの匂いと汗ばんだ生脚を思わせるスエード×パチョリの匂いが、ピーチとハニーとプラムの側面をマックスパワーで解き放つチューベローズとひとまとめになり、くらっとするほどの恍惚感に身も心も溺れさせてくれるのです。

夢のような夜を期待させる獣になる香り。そして、誰かからこの香りを嗅ぎ取ってしまうと、もう引き返すことは出来ない、あなたの心の中に悪魔を招いてしまう香り。

最も嫌悪していたものに、身も心も虜になってしまう香りとも言えます。チューベローズを嫌悪する人が、一番中毒になってしまうであろう〝あなたの中に眠る獣の血を掻き立てる〟スモーキーなチューベローズの香りです。

プリンスがアーティストとして表現するパラドックス、つまり活力に満ちていることと繊細さを反映したフレグランスを作ろうと考えました。

クリエイションの中心にあるのはチューベローズで、この花は非常に多くの面を持っています。そして、この花に妖艶なレザーのニュアンスを与え、マンダリンで極めてフレッシュなスタートを切ることにしました。

この香りを3つの言葉で定義するとしたら: 熱狂的、繊細、そしてアヴァンギャルド!

ドミニク・ロピオン

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香水データ

香水名:1992 パープルナイト
原名:1992 Purple Night
種類:オード・パルファム
ブランド:レバンゲルボワ
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/19,800円、100ml/42,900円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP


トップノート:マンダリン
ミドルノート:インド産チューベローズ、エジプト産ジャスミン
ラストノート:タバコ、スエード、インドネシア産パチョリ