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ジョー・マローン・ロンドン

【ジョー マローン】ワイルド ブルーベル コロン(クリスティーヌ・ナジェル)

ジョー・マローン・ロンドン
©Jo Malone London
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ワイルド ブルーベル コロン

原名:Wild Bluebell Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:30ml/11,880円、50ml/16,940円、100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン

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英国を象徴する〝野生のブルーベルの森〟の香り

©Jo Malone London

左から。セリーヌ・ルーとクリスティーヌ・ナジェル。©Jo Malone London

サセックスの森で、私は野生のブルーベルの絨毯を初めて目にしました。それはルネサンス期の宗教画のように、木漏れ日が枝の間から射し込む早朝のことでした。

私はしゃがんで、冷たい花の露を吸い込み、日が暖まるにつれ、香りがスパイシーでより官能的になることに気づきました。そしてシェフのように、どの香料がこのような感覚を与えてくれるのかを考え、調香してゆきました。

クリスティーヌ・ナジェル

2011年にロンドンでジョー・マローン・ロンドンは新作コロンの発表にあたり、新機軸を打ち出しました。それはセリーヌ・ルー×クリスティーヌ・ナジェル路線による〝ブランドの革新〟でした。そして、発表されたのが「ワイルド ブルーベル コロン」でした(2011年9月1日に発売されました)。

英国で4月から5月にかけ開花するイングリッシュ・ブルーベルに捧げられたこの香りは、クリスティーヌ・ナジェルにより調香されました。2009年から18ヵ月かけて作り上げられた力作です。

ちなみに、2010年の試作品の時点で、「イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン」と共に市場テストが行われ、共に好評を頂いていた、ジョー・マローンにとって最初から期待されていた香りでした。

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香料が採れないブルーベルという植物について

©Jo Malone London

ここでブルーベルについておさらいしましょう。ブルーベルは大まかに二つに分類されます。ひとつはスパニッシュ・ブルーベルです。この花は、華やかな形のベル型で直立しており、外来種であり繁殖力は強いのですが、香りはほとんどありません。

一方、イングリッシュ・ブルーベルは、花が筒状で下垂していてルックスがとても良いです。そしてしっかりと心地よい香りを放ちます。その70%は英国に自生しており、野生のものは、絶滅する可能性があるので英国政府により保護されています。

JMLは、この香りの売り上げの一部を、イングリッシュ・ブルーベルの保護のために、英国の環境保護団体「ウッドランド・トラスト」に寄付しています。

ちなみにブルーベルからは香料が抽出できないため、イングリッシュ・ブルーベルの香りは、ジャスミン、エグランティン(強い芳香を放つノバラ)、スズラン、グリーンリーフ、クローブなどの天然香料とオゾンノートをブレンドして作られます。

天然香料だけで作られていますというセールストークがありますが、それは別にすごいことでも何でもありません。香水を作るにあたり、天然香料だけを使用すると、香りの幅、展開、持続性、肌馴染みに制限をかけてしまいます。つまり、ただの匂いがそこにある、ものがたりのない香りが生まれるだけなのです。

さらに言うと、天然香料が高くて、合成香料が安いという知識は、100%間違った知識です。私たちが使う合成香料は、天然香料より高いものがたくさんあります。

そんな合成香料を天然香料の中に混ぜ合わせることにより、驚くほど新しい香りの世界が広がってゆくのです。私はファッションに例えるのが好きです。シルクやコットン、リネンだけでは、デザインに限界があります。しかし、これらの素材に大胆で柔軟な生地や、さまざまな染料やテクスチャーを組み合わせると、最終的に素晴らしいものができあがるのです。

クリスティーヌ・ナジェル

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濡れて華やぐブルーベルの鈴の音。

©Jo Malone London

©Jo Malone London

トップノートに朝露を含んだフローラルとクローブをブレンドし、スパイシーさと濡れた大地の対比を誇張してみました。そこから少しピリッとした何かを感じることが出来るでしょう。

そして、オレンジフラワーを中心に置き、酸味のあるフルーティなパーシモン(柿)を感じさせるジャスミンとエグランティンをブレンドし、ワイルドなフローラルのハートノートを生み出しました。

ベースノートには、〝ディオールのニュールックのように香りを支えるペチコート〟であるホワイトムスクと、〝肌の上で官能的に溶ける〟ごく少量のアンバーを配しました。

このブルーベルはベルベットではなくサテンであり、温室育ちではなく、野生の花なのです。

クリスティーヌ・ナジェル

ある特定の場所で、ある特定の時期にだけ自生する、まるで神秘に包まれたような花ブルーベルが咲く森に降る雨はあがりました。まだ空気の中に細かい水滴が混じっているのが感じられます。そんな濡れて華やぐブルーベルの鈴の音からこの香りははじまります。

柑橘系を一切使用せず、新鮮なグリーン(若葉)と咲いたばかりの花々(シャープなスズランを中心にジャスミン、エグランティンなどなど)の軽やかなブーケが解き放たれ、ブルーベルは透き通るように清らかなミネラルを広がらせてゆくのです。

それはまるでサファイア色のやわらかな光に包まれていくようです。そこにはスパイシーなクローブと瓜のようなオゾンノート(キュウリではなくスイカ)がちょこんと添えられています。

そして、より透き通るような鈴の音の中に、パーシモン(柿)が加わり、瓜はメロンとピーチのような円やかな甘さを加えてゆきます。

やがて、ホワイトムスクとヘリオトロープ、サンダルウッドが〝神秘のヴェール〟で素肌を覆いつくし、その肌の上に吸い寄せられるようにブルーベルの花々が着地し香りは限りなく透明に近いブルーになるのです。

グリーンの表現で使われるガルバナムも、激しいスパイスも存在しないブルーベル。つまりは蜃気楼のようにサファイアの絨毯がきらめく、心地よい高揚感を与えてくれる風通しのよいブルーベルが肌の上に広がっていくのです。

他ブランドの香りであろうとも、手当たり次第にコンバイニングしたくなるほどに、澄み渡る生命力に満ちた万能コロンと言えます。

MACのクリエイティブ・ディレクターだったジェイムズ・ゲイジャーが、2010年よりエスティー・ローダー社のシニア・バイスプ・レジデント兼グループ・クリエイティブ・ディレクターに就任しました。

このことにより、この香りから広告戦略も180度変わり、フォトグラファーにティム・ウォーカーを迎え、広告に初めて女性モデルが登場することになりました。

かくして、ジョー・マローン・ロンドンはより隆盛を極めることになるのでした。

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香水データ

香水名:ワイルド ブルーベル コロン
原名:Wild Bluebell Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2011年
対象性別:女性
価格:30ml/11,880円、50ml/16,940円、100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン


トップノート:ブルーベル、クローブ、青葉
ミドルノート:パーシモン(柿)、ピーチ、ジャスミン、スズラン、ローズヒップ
ラストノート:ホワイトムスク、アンバー