パラッツォ
原名:Palazzo
種類:オード・パルファム
ブランド:フェンディ
調香師:ティエリー・ワッサー、アニック・メナード、フランソワ・ドゥマシー
発表年:2007年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:日本未発売
今世紀最高のフェンディの幻の名香
フレグランスの展開においてぱっとしなかったフェンディは、今まで発売していたフェンディのすべての香りを2005年に廃盤にしました。そして、クリエイティブ・デザイナーのシルヴィア・フェンディの陣頭指揮の下、たったひとつの香りだけを2007年にローンチしたのでした。
その香りの名を「パラッツォ」と申します。それはイタリア語で「宮廷」や「邸宅」を意味します。フィルメニッヒのアニック・メナードとティエリー・ワッサー、そして、フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。
「パーティーで彼女が部屋に入ると同時に、人々の視線は釘付けになり、<この素敵な香りはどこの香りですか?>と思わず尋ねたくなる」ような香りを創造して欲しいと、シルヴィアは調香師たちにリクエストしたのでした。
つまりはフェンディの毛皮を着た貴婦人、もしくは、真夏の夜のリトルブラック(またはホワイト)ドレスとスティレットヒール姿にもマッチしそうな香水というコンセプトで生み出されたのがこの香りなのです。
一言でいうと、この香りは、「香りのドン・ペリニヨンP2」です。つまりはかなりクラシーな香りです。そんな「パラッツォ」は、ジューシーなマンダリン(タンジェリン)が、ベルガモットとアマルフィ・レモンの煌きと輝きを加えながら、新鮮な地中海の風のように流れるような香りからはじまります。
すぐにピンクペッパーが微量のアルデハイドと混ざり合いながらシャンパンのように香り全体を満たしてゆきます。この香りの素敵なところは、フルーティーからフローラルの移行の優雅さにあります。
つまりは、ロマンティックにキラキラと輝くオレンジ・ブロッサムを中心に、華やかに甘いジャスミンと、厳かな二種類のローズによるフローラルブーケが、パチョリにより深みを増しながら、シャンパンの泡立ちの中に、見事に溶け込んでゆくのです。
そして、劇的なまでの最後の瞬間は、静けさをもってやって来ます。シャンパンの泡立ちがおさまるのと入れ替わるように、クリーミーなサンダルウッドとスモーキーなガイアックウッドが肌の表皮から昇華するように、香りを放つのです。
芸術性を追求した香りではないのですが、ラグジュアリーを身に纏うという感覚を徹底的に追求した、どこからどう嗅いでも一分の隙もない上流階級の貴婦人の香りです。何よりも素晴らしいのは、妖艶さも漂わせる官能性も兼ね備えているところにあります。
フェンディを愛する女性のマストハブ香水
発売当時全く売れなかったために2009年に廃盤になったこの香りは、香りを生み出すことが出来なくなった現在のフェンディにおいて、今ではかなり再評価されており、フェンディを愛する女性にとって、何としても手に入れるべきマストハブ香水とまで言われています。
キャンペーン・モデルとして、スーパーモデルのラケル・ジマーマンが起用され、クリエイティブ・ディレクターのカール・ラガーフェルド自身により撮影されました。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「パラッツォ」を「ライチ風ウッディ」と呼び、「2007年、どういうわけかLVMHはフェンディがそれまでに作ったすべてのフレグランスを葬って、たったひとつの作品で出直すという、ずいぶんむちゃくちゃな決断をくだした。幸運にもその作品はよい仕上がりだけれど。」
「パラッツォは、「アルマーニ コード」のような我慢ができないほど甘ったるいフローラル・オリエンタル構成のフレグランスを、一時は風変わりな新鮮さと豊かさを含んだ、おいしそうでふしぎなものに変えてしまうという奇跡を起こす。これには秘密兵器があって、それはクラシックでパウダリーな、男性的な香りのするフゼア(ブリュを思い浮かべてみて)の大量使用。この「ザ・サン・ボー」と「チャイナタウン」のかけ合わせは、ピンク色のリップスティックとストライプ柄のネクタイを同時に身をつけている感じ。すごくいい。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:パラッツォ
原名:Palazzo
種類:オード・パルファム
ブランド:フェンディ
調香師:ティエリー・ワッサー、アニック・メナード、フランソワ・ドゥマシー
発表年:2007年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:日本未発売
トップノート:ベルガモット、アマルフィ・レモン、タンジェリン、ピンクペッパー
ミドルノート:ジャスミン、アフリカン・オレンジ・フラワー、ターキッシュ・ローズ、ブルガリアン・ローズ
ラストノート:サンダルウッド、パチョリ、ガイアックウッド