1960年代、ダイビング・ルックに人々はときめいた!
オープニングで空を飛んだジェームズ・ボンドは、前3作の制作費の合計を上回る制作費をかけた本作において、カリブ海を潜ります。神秘的な熱帯魚や獰猛なサメが登場するエメラルド・ブルーの海をダイビングする姿に、人々はときめきました。
1960年代とは、陸海空においての大冒険時代だったとも言えます。そして、そのことがこの時代のファッションにも大いなる影響を与えることになりました。
それは冒険家スタイル。宇宙服、飛行服、潜水服が、ファッションに大いなる影響を与えたのです。
絶対に欠かせないモノ。
ボンド・ムービーで必ず登場するファッションの一つが、タキシードです。これは日本人にとって、最も縁の薄いファッションです。多くの男性にとって一生のうち一回着るか着ないかのこのスタイルの格好良さは、「非日常の日常」につきます。
それはまさに、着るだけで、洗練の二文字を肉体に叩き込んでくれる<大人の男>を教えてくれる「着る教材」なのです。
男性が男性のグレードを上げていく旅の地が、京都であるとするならば、それをファッションに当てはめると、それはタキシードなのです。
旅もファッションも、端的に言うなら、全く同じです。「どの道行きで、どんな人たちと交流し、何を見て、何を味わうか?」なのです。それにしても、この作品のボンドのスーツ・スタイルには、前3作から一つの変化が生まれています。
それはこの作品以降、ショーン・コネリーの演じるボンドは、決してポケットチーフを使用しなくなったのでした。
ジェームズ・ボンド・スタイル7
タキシード・スタイル
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ミッドナイトブルー・モヘア/ウール混合ディナージャケット。シングル、スリム・ショールカラー、1ボタン、ノーベント、同色のトラウザー
- 黒サテン・シルク・ボウタイ
- 白ストライプ・ドレスシャツ
ラルゴ・スタイル2
ホワイトタキシード
- ホワイトダブル・ディナージャケット、ショールカラー、4つボタン、ノーベント
- ブラックトラウザー
- ホワイト・プリーツ・ドレスシャツ、コットン、2スタッズシャツ
- ホワイトサスペンダー
- ブラック・サテンボウタイ
- ブラックレザーシューズ
ラルゴ・スタイル3
ブロンズストライプシャツ
- 白地にブロンズストライプ・コットンシャツ、イタリアンカラー(クーパーカラー)、サイドベンツ
- ベージュのリネンパンツ
- ブルーのダービーシューズ
ジェームズ・ボンド・スタイル8
リゾート・スタイル
- ロイヤルブルー・ショートスリーブ・スポーツシャツ
- 同色のトラウザー
- ブラックレザーのスリッポン・ローファー
- ショートブリムのポークパイ・ハット
Qのアロハシャツ
Q(デスモンド・リュウェリン)がバハマにまで救援で駆けつけてきてくれます。このQとボンドのやり取りがなければボンド・ムービーを見た気にならないのです。パイナップ柄のアロハシャツに半ズボン姿のQがとてもキュートです。
ジェームズ・ボンド・スタイル9
ダイビングウェットスーツ
- 赤のダイビングウェットスーツ
- ジャンセンの白のショートパンツ
- フレッド・ペリーのネイビーポロシャツ
- ブルーゴーグル
作品データ
作品名:007/サンダーボール作戦 Thunderball(1965)
監督:テレンス・ヤング
衣装:ジョン・ブレイディ
出演者:ショーン・コネリー/クローディーヌ・オージェ/アドルフォ・チェリ/ルチアナ・パルッツィ/マルティーヌ・ベズウィック
- 【007/サンダーボール作戦】最初から最後まで空飛ぶジェームズ・ボンド
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.1|空を飛ぶショーン・コネリー
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.2|ショーン・コネリーとケン・アダム
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.3|ショーン・コネリーとダイビングウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.4|ショーン・コネリーとラグジュアリー・リゾート
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.5|クローディーヌ・オージェという絶世の美女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.6|クローディーヌ・オージェ=水中銃を持つ女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.7|クローディーヌ・オージェとウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.8|元祖・峰不二子 ルチアナ・パルッツィ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.9|ルチアナ・パルッツィとレーシングスーツ