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2016年AWファッション・ガイド京都編<レディース>3(2ページ)

ファッション・ルート
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西日本最高の「香水の神様」がいる百貨店

さぁ、藤井大丸の次は、京都タカシマヤに向かいましょう。ここに向かう理由はただひとつです。そうです京都伊勢丹で二箇所訪れたフレグランスの旅の最終地点がここにあるのです。私は断言します。ここが、西日本のフレグランスの「地上の楽園」であると。

check-c12 オススメ店その10。ラトリエ・デ・パルファム

カフェ・デ・パルファム公式ページ

私が、西日本でも最高峰のフレグランスのプロフェッショナルがいると考えているのが、ここです。ここのキャプテンに率いられるこの店舗こそは、ブルーベルの中でも有数の精鋭部隊と言えます。とにかく、素晴らしいのが店長の方です。フレグランスを語るその語り口上は、『男はつらいよ』の寅さんのテキヤ口上並に表現が豊かであり、フレグランス販売の人間国宝とも言える人です。西日本のラグジュアリー・ブランドの販売員の皆様。もしあなたの店舗にフレグランスがあるならば、京都タカシマヤまで足を運び、彼女にお会いください。そして、一本フレグランスを購入するために、彼女からアドバイスを仰いでください。あなたのショップの片隅に眠るとてつもない宝物に気づかされるはずです。

ジャック・キャバリエフランシス・クルジャン等のスター調香師の香りがそこには満ち溢れています。以下取り扱いブランドのごく一部を列挙。

  1. メゾン・フランシス・クルジャン。その天然香料の調合の巧みさは、「香水界のヨハン・シュトラウス2世」と呼ぶに相応しいです。
  2. ジャン・パトゥ。「ジョイ」とゲランの香りを知らずしてフレグランスを語るなかれ。
  3. アニック・グタール。日本女子がときめく軽やかな香り。
  4. クリード。フレグランスの中のフレグランス。「皇帝」のみならぬ「香帝」。
  5. ナルシソ・ロドリゲス。これがフィットする男女は、モテキです。
  6. カルヴェン。クルジャン入門編。
  7. ステラ・マッカートニー。ジャック・キャバリエのステラを嗅いでみましょう。

フレグランスとは、香りの感性を磨き上げる喜びです。そして、コーヒー豆なくしては、フレグランスを匂うという行為を拒絶させる儀式なのです。さぁ、エルメスよ。そろそろコーヒー豆を置きましょう。そして、カウンターチェアをそこに置きましょう。フレグランスを購入して頂くための基本姿勢は、まずはボトルの前に座って頂くことから始まります。

ところで、タカシマヤのラグジュアリー・シューズ・コーナーの販売員の方々の多くは、シューズに対する知識が壊滅的に真っ白です。そこには、クリスチャン・ルブタン、ペリーコ、マノロ・ブラニク、ステラ・マッカートニーといったプレステージ・シューズがありますが、その知識はドゥロワーの販売員の1/10にも達していません。何も説明できず、ブランドの歴史などはもう涙が出るくらいに知りません。帰宅するときに履いているシューズが何か想像が付きそうな人々です。

完全にしまむらに置かれているルブタンというイメージの陳列方法です。ここでルブタンを購入するのなら、大阪まで出ることをお勧めします。プレステージ・シューズの販売ほど、販売員の資質が求められるものはありません。最近、バッグを売る感覚で、シューズを売ろうとする販売員が増えています。本皮のフィット感について認識していない販売員が実に多く、それは中年層に多く、むしろ若い人はそこはしっかりしていたりします。

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番外編:エルメス祇園店

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エルメス・オフィシャル・ホームページ

2016年11月3日~ 2017年7月31日にかけて臨時オープンしたエルメスの祇園店。京都の祇園にラグジュアリー・ブランドのショップを出店するという快挙。これこそが実はこれから日本が目指すべきファッション・タウンの最終形態なのです。ファッション文化は成熟しております。もはやどうあがこうとも世界に向けて、銀座や表参道、南青山はファッションタウンにはなり得ません。フランスにはパリ、イタリアには、ローマ、日本には京都なのです。ファッションとは、伝統の宿る都市からのみ、その伝統と創造性の融合の説得力が生まれます。

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今の日本人のデザイナーズ・ブランドの多くにないのが、そこです(素晴らしきジョン・ローレンス・サリバン!)。東京発信のファッションに足りないのが、日本を本能で捉えた感覚です。能楽に見られる、大切なものを見せずに最も大切なものを表現する深遠さ。日本庭園に見られる左右非対称の美(器にも共通する日本独特の美)。仏像に見られる男女の存在を超えた不思議な存在感。そして、日本人にとっての仏像を、ヨーロッパ人は彫刻として捉える感性の鋭さ・・・列挙すればキリがないほど、京都(そして奈良)には、日本の本質が、静かに、決してEDMで浮かれ騒ぐ人々のように声高にではなく、静かに躍動し、そこには西洋にはない美が明確に存在しているのです。

日本を日本たらしめているものに触れ合わずに、何がファッション・デザイナーなのでしょうか?日本人のライフスタイルの根本を見つめずしてなにが、衣服の創作者なのだろうか?そこに暮らしてこそ、物の本質は見えてきます。その国の本質をつかむと言うことは一日にしてならずなのです。

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このエルメスの祇園店は、日本のファッションの歴史の新たな幕開けの起爆剤になるでしょう。日本のファッションは東京コレクションを捨てて、上洛する必要に迫られつつあります。京都でコレクションが開催されるならば、海外のラグジュアリー・ブランドも参加を臨むことでしょう。クリエイターのクリエイト・スピリッツを刺激してやまない、京都の四季、町並み、歴史的建造物、京料理、芸者・・・日本人がデザインした服は、それがたとえリトル・ブラック・ドレスであろうとも、和服と呼ぶべき時代の到来はもう目の前なのです。

俺は9番。9の次はゼロ=零なのさ

「太陽を盗んだ男」より

ナンバーナインの次は、ゼロ。さぁ、ポスト・ナンバーナイン時代を京都から作っていきましょう。

※ファッション・ルートの開拓とは、日本のファッション文化を充実させるための神学者達による実践の発表です。それは独断と偏見に満ちた意見を発表する姿勢ではなく、現在の日本のラグジュアリー・ブランド及びセレクト・ショップが抱えるファッション文化の危機から目を背けない記事の記載を心がけております。アパレル及び美容を含むファッション業界において、販売員は、そのブランドの外交官であり、そのブランド・イメージを映し出す鏡なのです。