アストンマーティンDB5
『ゴールドフィンガー』からボンドムービーにおいてボンド・カーが定番となり、車に搭載される秘密兵器が注目されるようになりました。ボンドムービー人気の根底にあるのは、少年の心を失わないオトコたちの浪漫であり、少年たちが「スーツやタキシードを着てバリバリとミッションをこなすオトナになりたい」という願望を抱かせるところにあります。
さらに、大人になると良く分かるのですが、オフ・スタイルにおいても、大人の男性のオフの過ごし方の聖典のようであり、オトコのヴァカンスとはなんぞやという〝永遠のファイナル・アンサー〟が詰まっています。
ファッションが洗練されているからこそ、オトコは輝くのだという絶対真理。そんなオトナのオトコの魅力を演出するために必要なものが、このシリーズを見れば全てわかるという、「オトコのバイブル」の揺ぎ無い地位を勝ち取ったのは本作からでした。
ジェームズ・ボンドと言えばアストンマーティンです。本作ではじめて登場しました(原作は、アストン・マーティンDB3だった)。当初、車をボンドムービーに出演させることに会社は及び腰だったため、2台とも購入されました(本作以降、無償で提供されることになった)。
ちなみにこの2台のうちの1台は、1986年にコレクターが25万ドルで購入したのですが、1997年6月に、警備の厳しいフロリダ州ボカラトンの空港に駐車していたときに盗まれ、現在は中東のどこかにあると言われています。
失敗したスタイリングから学ぶものも大きい。
ボンド・ムービーの面白さは、一つの作品の中に、とんでもない(公開当時であってもNGな)スタイリングがひとつ存在することです。
本作におけるとんでもないスタイリングは、このスーツスタイルです。この明らかに失敗しているスタイリングを見ていると、どれほど魅力的な男性であっても、スーツの着こなしひとつで、こうも見るに耐えない負のオーラを解き放ってしまうことを教えられます。
なぜかチェンジポケットだけがフラップポケットではないところに、とても違和感を感じます。
ジェームズ・ボンド・スタイル3
カントリースーツ(とんでもないスーツスタイル)
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ダークブラウンの千鳥格子柄のスーツ、ナチュラル・ショルダー、シングルベント、サイドアジャスター・トラウザー
- 白のリネンのポケットチーフ
- アンバランスなベージュ・ウールのベスト
- フランク・フォスター、グレーストライプ入りの白のドレスシャツ
- ダークブラウン・シルクニットタイ
ジェームズ・ボンド・スタイル4
ミッドナイトブルー・ディナージャケット
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ミッドナイトブルー・ディナージャケット、ノッチラペル
- フロントプリーツシャツ、サテン(オープニングのもの)
- ブラック・サテンシルク・ボウタイ
- 白のリネンのポケットチーフ
ジェームズ・ボンド・スタイル5
ダークスーツ
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ダークブルー・ヘリンボーン・フランネル・スーツ、2つボタン、ナローノッチラペル、ダブルベンツ、サイドアジャスター・トラウザー
- 白のリネンのポケットチーフ
- グレー・ストライプ入りの白シルク・ドレスシャツ
- ダークネイビー・ニットタイ
- ブラックレザー・チェルシーブーツ
- ロレックスのオイスター・パーペチュアル
ジェームズ・ボンド・スタイル6
ゴルフ・スタイル
- ダークワインレッド〝スラセンジャー(ゴールドパンサー・ロゴ)〟Vネック・セーター、アクリル生地
- ライトグレー・ポロシャツ
- ダークグレーのストローフェドラ。マッチしたストライプ・リボン
- 白×赤のゴルフグローブ
- 黒のウールフランネルパンツ
- ダークブラウン・ゴルフ・ダービーシューズ
作品データ
作品名:007/ゴールドフィンガー Goldfinger (1964)
監督:ガイ・ハミルトン
衣装:エルサ・フェネル
出演者:ショーン・コネリー/オナー・ブラックマン/ゲルト・フレーベ/シャーリー・イートン/タニア・マレット
- 【007/ゴールドフィンガー】空飛ぶギロチンハットと黄金美女
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.1|ショーン・コネリーとロレックスとワルサーPKK
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.2|ショーン・コネリーとアストンマーティンDB5
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.3|ショーン・コネリーとハロルド坂田
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.4|ショーン・コネリーとアンソニー・シンクレア
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.5|黄金美女シャーリー・イートン
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.6|元祖・美魔女オナー・ブラックマン
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.7|オナー・ブラックマンのパンツ・ルック
- 『007/ゴールドフィンガー』Vol.8|タニア・マレットと黄金美女たち