サラザン
原名:Sarrasins
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

漆黒のインクに包まれた、息を呑むほど美しいジャスミンの香り


「サラザン」は、中世フランスを恐怖に陥れた恐るべきサラセン人へのオマージュである。セルジュ・ルタンスは、言葉が時の霧に囚われ、恐怖と欲望に基づく危険な関係が築かれていた時代へとタイムスリップした。この香りは嵐を巻き起こしながらも、我々の秘密を守り続ける。
「ムーアの静寂に包まれた夜、肌に塗られたこの香りは、金箔に包まれた空間で執り行われる儀式のように、肌に触れた途端に響き渡り始める。私は白いジャスミンを選び、それを黒豹のように、夜のように黒く仕立て上げた。それがこの香りに宿っているのだ」
セルジュ・ルタンス公式サイトより
セルジュ・ルタンスより、パレ・ロワイヤル本店限定の「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとして発売されている「サラザン」は2007年に誕生しました。「サラザン」とは、フランス語で「サラセン人」を意味します。
それは中世のヨーロッパ世界におけるイスラム教徒を指す呼称でした。漆黒のインクに包まれた、息を呑むほど美しいジャスミンの香りは、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
ジャスミンの野生と人工と野獣の三段階変化により構成される香り

サラセン人とは、中世のフランスにとってとても脅威的な存在でした。そのサラセン人への怖れをボトルに封印したこの香りは、満月の夜、美しい乳白色のジャスミンの花々が、野性のパワーを解き放つように、華やかにグリーンの輝きを漂わせながら香り立つ情景からはじまります。
すぐに夜のニュアンスを生み出すようにスパイシーなカーネーション(サリチル酸ベンジルとオイゲノール)とレザーのようなラブダナムが加わり、ジャスミンのインドールが増し、スモーキーでメタリックな側面を見せてゆきます。隠し味は間違いなくフルーティーレザーのようなオスマンサスとバターのようなチューベローズでしょう。
そうです。この香りは、ジャスミンの野生と人工と野獣の三段階変化により構成されている香りなのです。ラストにおいてムスクを中心にパチョリ、カストリウムとクリーミーなジャスミンが絡み合い野獣の側面を見せながらも、より柔らかくしずやかに、酔わせるような幽玄さを湛えながら、官能的な香りへと昇華してゆくのです。
天国にいちばん近い夜の香り

この香りの包み込むような夜の気配、それはまさに天国にいちばん近い夜の香りと言っても過言ではないでしょう。または闇の世界へと誘いこまれるような、リアルではなく、夢のように危険なジャスミンの香りと言えます。
別名として「ジャスミン・アッバース」と名付けたくなる香り。アッバースとは、過去最大のイスラム国家アッバース朝(首都バグダッド)であり、サラセン人によるイスラム帝国でした。
そして、この王朝を滅ぼしたのが、モンゴル帝国のクビライ・カンだったのです(=「ムスククビライカーン」へとつづく)。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「レザー・フローラル」と呼ばれ、「適切にインドールが配合されたジャスミンの香りが突風のように吹き抜けて、サラザンは始まる」
「そして、「とてもいい香りだ」といい終わって、ちょうど「このホワイトフローラルの香りは次にどうなるのだろう?」と思い始めた頃に、暗い短調のようなレザーノートにさっと姿を変え、その後すぐに、アプリコットの香りが燦然と輝く風となって人々を驚かせる。レザーアプリコットのアコードはオスマンサスに似ているように思う。そしてジャスミンとのデュエットは数時間にわたって十分に持続する」
「私は最初からルタンスのファンなのだが、最近のフレグランスのうちのいくつかは、変にけばけばしく下品ですらあり、あまり好きになれなかった。しかし、この香水は趣旨においてもできばえにおいてもまったく違う。野心的で抽象的、雄大かつ豊か、大胆な美しさで、肌につけるとすばらしく香りたつ」「シャネルのニューコレクションといっても通用しただろう」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:サラザン
原名:Sarrasins
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

トップノート:ベルガモット
ミドルノート:カーネーション、ジャスミン、ラブダナム
ラストノート:ムスク、パチョリ、カストリウム

