ルメール
原名:Rumeur
種類:オード・パルファム
ブランド:ランバン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:30ml/6,000円、50ml/8,000円、100ml/12,000円
ブラックチュールドレスを着た魔性の女の香り
2001年から2015年にかけてランバンのクリエイティブ・ディレクターをつとめたアルベール・エルバス(1961-2021)によりプロデュースされた「ルメール」は、インターパルファムと共同で作られ、2006年9月に発売されました。
元々1934年に発売されていた「ルメール」というフレグランスをフランシス・クルジャンが新解釈したものです(オリジナルは1971年に廃盤になり、79年にリニューアルするも、82年に再び廃盤になった)。
1927年に発売された「アルページュ」のフランカーとして2002年に発売された「エクラ ドゥ アルページュ」が爆発的ヒットを飛ばす中、「顧客の多くは、ランバンというブランドではなく、アルページュという名が独り歩きしている」と考え、フレグランス・ブランドとしてランバンの名声を高めることを意図して生み出した香りです。
フランス語で〝噂〟を意味するこの香りは、エルバスがクルジャンに「若者向けではなく、30歳から80歳までの女性のための独創的なフローラルの香り」というイメージを伝えていました。
黒いウエディングドレスを着た女に、白い花束を。
私はこの香りの背後にあるアイデアとして、ファッションにもっと近づけること、つまりフレグランスがファッションの延長となるように、リボン付きのチュールドレスなどランバンのコレクションからインスピレーションを得ました。
フランシス・クルジャン
凛とした美女のツンと澄ました横顔のような、キリリと煌めくマグノリアとアルデハイドのホワイトワンピースの甘い輝きからはじまるこの香りは、すぐにパウダリーなムスクの風に乗り、華やかなローズと濃厚なジャスミン、清らかなスズラン、スパイシーな花々の香りに、パチョリが魔性のブラックチュールドレスのイメージを刷り込んでゆきます。
やがて、酔わせるリキュールのような夜を運ぶプラムとアンバーに満たされ、愛する男性の腕に抱かれているような、メンズライクな艶やかな甘やかさに身も心も浸されてゆきます。でありながら、クールビューティな黒いドレスの女がそこに静かに佇んでいるのです。
さらに、非常に興味深いことは、陶酔させるダークな花々の香りの中から、しっかりと最初から最後まで香り続ける、ひんやりとソーピィーな、清廉たるスズランの輝きです。このアンバランスなバランスこそが、この香りの真骨頂なのでしょう。
まさにチュールドレスの裾のチュールのスリットから磨き上げられた脚が露わになるように、翻弄するように、花々を咲かせ、揺らめかせ、とろけて匂い立つオーラに包まれていくようです。
ボトル・デザインは、パリのクリニャンクールの蚤の市で見つけたアンティークのボトルからインスピレーションを得ています。ランバンの伝統的な球形のボトルに敬意を表して、ボトルは四角形ですが、角は曲線になっています。ボトルのキャップの周りには黒いリボンが巻かれています。
キャンペーン・フォトは、ニック・ナイトに長年師事してきたノルウェー人ファッション・フォトグラファー、ソルヴァ・スンツボが、ランバンのオートクチュールドレスを着て、ファンキーなパンク・ヘアのファッション・モデル、アマンダ・ムーアを撮影したものです。「大胆で、反抗的でありながらエレガントで、強い個性を持った女性」を万華鏡のような鏡の世界の中で映し出しています。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ルメール」を「ホワイトフローラル」と呼び、「ベースノートがない。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ルメール
原名:Rumeur
種類:オード・パルファム
ブランド:ランバン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:30ml/6,000円、50ml/8,000円、100ml/12,000円
トップノート:マグノリア
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、プラム、ローズ、ジャスミン、スズラン、セリンガ
ラストノート:アンバー、パチョリ、ムスク