仕事が出来る女のパンツルック
アメイジング・エイミー・ルック4 パンツスーツ
- アースカラーのジャケット、ピークドラペル、2つボタン
- 白のカットソー
- スリムジーンズ
ここまでエイミーのファッションを細かく見ていて実感するのは、デヴィッド・フィンチャーという監督の、映画の中の衣装に対する位置づけの明確さです。彼にとって、衣装は、あくまでも主役でなく脇役であり、どれほどセンスのよい主人公を創造しようとも、それを殊更強調するようなファッション的な演出を嫌います。
本作でも1シーンのために平均50テイクを撮るほどの完全主義者フィンチャーの恐ろしい所(100日間の撮影で500時間のフィルムを回した!)は、登場人物のファッションにかなり気を配っているたにも関わらず、それらの衣装が、絶対、主人公やストーリーの邪魔をさせないように徹底的に気を配っていた所にあります。
だからこそ彼の映画の衣装は、目立たずに、現実社会におけるハイセンスのヒントを与えてくれる〝最上級者へのファッションムービー〟なのです。
グリーンのニットとブルージーンズ
アメイジング・エイミー・ルック5 グリーンニット
- グリーンのニット
- ブルージーンズ
- トッズのDスタイリング・トートバッグ
果たしてエイミーという女性は、サイコパスなのでしょうか?二人とも定職についていた時には、その関係は素晴らしい関係でした。しかし、夫が失業し、夜な夜な遊び歩き、若い女性と浮気をするようになってから、その関係が崩壊していったのは、当然の成り行きに過ぎず、ただこの作品が特別なのは、エイミーが泣き寝入りせずに、徹底的に夫に対して復讐する〝反逆心〟の爽快さからでした。
だからこそ、後味が悪いと言われるこの作品が、エイミーが人殺しまでしているにも関わらず、私にはとても爽快な物語に感じられるのです。
この作品こそは、女性が自分自身の自尊心を守ることの大切さの極論を描いた作品であり、この浮気男は、もう決して妻からは独立して生きていくことは出来ないという、背筋の凍る〝男の弱さ〟の本質を描いた作品なのです。男から仕事を奪ったならば、後に残るものは、浮気心と不誠実しかない。だからこそ、妻は夫を徹底的に支配するのだ!そう、それを〝結婚〟と呼ぶのだ!という〝成功する結婚生活〟の本質をスリラーサスペンスとして描いた作品、それが『ゴーン・ガール』なのです。