第五章 ハンギング・オン・ザ・テレフォン
Hanging on the Telephone 全く売れなかったパワーポップバンド・ナーヴスの1976年の同名曲をカバーしたこの曲は、ブロンディのニューウェイブバンドとしての実力を見るのにうってつけです。
とにかく、もう、デボラ・ハリーの表情がすごい事になってます。基本ベースはカーラ・デルヴィーニュで、時に研ナオコやミック・ジャガー、スティーブン・タイラーばりにフルスロットルで顔面芸を見せます。特に「テ~レフォ~ン」とシャウトするチカラの入り方が、もう惚れ惚れするくらい男前です。しかも、めっちゃロックしているのに、可愛いのです。
概要

曲名:ハンギング・オン・ザ・テレフォン
原名:Hanging on the Telephone
リリース:1978年
最高順位:全英5位
ニューウェイヴ界のマリリン・モンロー
見よ!この曲こそ、現代のファッションシーンに最も影響を与えている一曲である。
億単位の保険(本当に?)をかけたというデボラの美しい唇が、ここでは、変幻自在に動きます。「高校生の時、私はマリリン・モンローの生まれ変わりだと気付いたの」と言うだけあり、その姿は「ニューウェイヴ界のマリリン・モンロー」そのものです。
さすが、元プレイボーイのバニーガール(たまに雑誌などでプレイメイトと間違った経歴が記載されている)だけあります。男の誘惑のセオリーを知り尽くしています。ああ・・・「テ~レフォ~ン」の表情が脳裏から離れそうにないです(これを同時期に和田アキ子にカバーしてもらいたかった!)。
「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」ライブ映像集
ブロンディ・ルック8 女王様ルック

『スカーフェイス』のミシェル・ファイファー
1980年代にデボラ・ハリーは「もし映画で自分を演じる女優を選べるとしたら、ミシェル・ファイファーを選ぶだろう」と答えていました。実はミシェルは、20代の頃、見知らぬ人がよくデボラ・ハリーと間違えて話しかけてきたと語っていました。
そのミシェル・ファイファーが『スカーフェイス』の役作りで影響を受けたという、デボラ・ハリーの元祖ヘロイン・シックなメイクアップが本当に魅力的です。ブルーのアイシャドーと退廃的な頬のチークの濃さがポイントです。
少年のような胸元をさらけ出すネックラインの黒のカットソーに、ゴールドのロッカーパンツと(踏みつけられたくてウズウズする)黒のロングブーツによるミストレス(=女王様)ルックです。鋲付きのブラウンレザーチョーカーとロックンロールベルトのコントラストがすばらしい(実際はここに黒のベレー帽を組み合わせていた)!
ちなみにこの写真は1977年に撮影されたものです。



ブロンディ・ルック9 ロッカースタイル
ジョーン・ジェットのようなロッカースタイルです。21世紀のエディ・スリマンのスタイル・メンターとも言えるスタイルです。
黒のブラジャーが透けて見えるスケスケブラウスに黒のレザーパンツとロックンロールベルトの王道アンサンブル。ワンポイントは、このブラウスのネックラインがジップになっているところです。足もとに、サンローランやセリーヌでエディ・スリマンが発表するショートブーツの原型を見ることが出来ます。
この写真は1977年2月5日に撮影されたものです。






デボラ・ハリーとナンシー・スパンゲン

ナンシー・スパンゲンとシド・ヴィシャス

1977年

1976年
彼女は本当に注目されたがっていたのよ。ナンシーは賢かったわ。ナンシーは本当に頭が良くて、とても聡明だったの。頭の良い子だったけど、精神的に不安定だったのよ。彼女は本当に素敵な人だったわ。
デボラ・ハリー
1976年から1977年にかけて、デボラ・ハリーは、ナンシー・スパンゲン(1958-1978)と親交を結んでいました。丁度ナンシーが渡英し、シド・ヴィシャスと出会う前の何物でもない、ラモーンズやニューヨーク・ドールズのグルーピーだった時代です。
この頃のナンシーは売春宿やストリップバーで働いていました。
ブロンディ・ルック10 ミニワンピ
ファッション・デザイナーのスティーブン・スプラウスによりデザインされたシルクジャージー生地のサイドオープン・ミニワンピを着ているデボラ。足もとは、もちろんロングブーツです。このスタイルもブロンディのアイコニック・スタイルでした。のちにファッションモデルたちが同じようなファッションでデボラへの敬愛の念を示すのですが、スタイルが良すぎると、ただの嫌味にしかならないファッションです。
デボラ・ハリーの最大の武器は、コンプレックスでしかないこの体型にあるのです。顔はえらが張り、背は低く、足も短く、胸もちっちゃいこの武器にならない肉体を、30代を過ぎて露出する天真爛漫さに、世界中の女性は、ファッションは男性のためにあるのではなく、自分自身のためにあるのだと目覚めさせられたのでした。
この写真は、1978年1月に東京のシンコーミュージックを訪問したときの写真です。







デボラ・ハリーのブーツルック
ちなみにデボラのブラック・ブーツは、スティーブン・スプラウスがホルストンから持ってきたものでした。




【ブロンディ伝説】デボラ・ハリーのファッション史
- 【ブロンディ伝説】デボラ・ハリーのファッション史
- 第一章 デボラ・ハリーという女
- 第二章 愛してほしい|デボラ・ハリーのベレー帽
- 第三章 デニスに夢中|ダサいボーダー水着とレッドブーツ
- 第四章 恋のピクチャー|ディスコ・ドレスと元祖ボディコン
- 第五章 ハンギング・オン・ザ・テレフォン|リアル・ギズモ
- 第六章 ハート・オブ・グラス|デボラ・ハリーの覚醒
- 第七章 サンデー・ガール|トムボーイ・ルック
- 第八章 ドリーミン|カットアウトロンパース
- 第九章 涙のユニオン・シティ|デニムオンデニム
- 第十章 コール・ミー|アメリカン・ジゴロ
- 第十一章 銀河のアトミック|金髪核弾頭投下
- 第十二章 夢見るNo.1|革ジャンとミリタリールック
- 第十三章 ラプチュアー|世界初のホワイトラップ
- 第十四章 誘惑の楽園|ジェダイの騎士デボラ
- 第十五章 バックファイヤー|エイリアンの恋人
- 第十六章 フレンチ・キッス・イン・ザ・USA|ヴィデオドローム
- 第十七章 愛に魅せられて|スティーブン・スプラウス
- 第十八章 スウィート・アンド・ロウ|サヨナラ・シュガー
- 最終章 マリア|ルイ・ヴィトンになった女
