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モリー・リングウォルド

『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』2|モリー・リングウォルドとオリーブ少女

モリー・リングウォルド
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オリーブ少女のお手本

ファッションをファッションとして捉えないことがオシャレの基本だった80年代。

ルーズシルエットに包まれる張りのある若き肉体。

アンディ・ルック12 JKスタイル
  • ピンクのクローシュに黒のスカーフをリボンのように巻く
  • ブラックのロング・ジャケット
  • 黒地にグリーン×ブルー等の花柄ワンピース
  • 黒とピンクのバイカラーショルダーバッグ

同性から一躍オシャレだと絶賛されるファッション・アイテムが、ジャケット・スタイルなのです。とりあえず、ジャケットにハットさえ合わせてればオシャレだろ?という提案は、完膚なきまでに正しく王道なのです。オシャレな女子のクローゼットには必ず2着はジャケットが存在するというものなのです。




1982年に『Olive(オリーブ)』が創刊されました(2003年休刊)。フランス映画やオシャレ雑貨好きな女子高生から女子大生(専門学生)をターゲットにしたファッションを語りすぎずにファッション感度を高める少女たちの雑誌でした。オリーブ少女とは、モテることよりも、個性的であることを選んだ、女性が男性に媚びずに生きる先鋭的な女性像の誕生でした。そんなオリーブ少女にとってお手本となるファッションが本作において散りばめられています。

そして、そのアンディ・ルックは、男性に媚びない女性像を追い求める女性が増えた現代にこそ、引用すべきテイストなのではないでしょうか?

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悲しきサルタン・ルック

〝ほろ苦い〟という表現が流行した1980年代。

日本中の少女たちは、アメリカの高校生のライフスタイルに憧れた。そして、この作品に出てくる高校生は、どこまでもファッショナブルだった。

アンディ・ルック13 サルタン・ルック
  • 薄ピンクのフロントプリーツシャツ。ひじ下で3つ折
  • くすんだピンクのレース・ジレ
  • エメラルドカラーのロングスカート
  • レギンスに白のハイカットスニーカー
  • 襟下にブローチ
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プリティ・イン・ピンク

ベアショルダー・プロムドレス。モリー自身はこのドレスが大嫌いだった。

アンディ・ルック14 プロム・ピンク
  • お父さんが買ってくれたドレスと、イオナのドレスをリメイクした、そよ風に帆のようにふくらむピンクのプロムドレス
  • ピンク色のパンプス

最後のプロムシーンで流れる爽快なソング「イフ・ユー・リーブ」は、本作のサントラは、OMD(オーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダーク)によるものです。製作総指揮のジョン・ヒューズがイギリスのニューウェイヴ好きだったこともあり、選ばれた選曲です。以下、OMDの代表曲「エレクトリシティ」と「ドリーミング」。「ドリーミング」に至ってはザッツ・エイティーズなキャッチーさです。


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ハワード・ドゥイッチのキャッチーな選曲の源

ジョン・ヒューズだけでなく、この作品の選曲の素晴らしさは、本作が初監督作品となったハワード・ドゥイッチ自身が、元々ミュージックビデオを監督していたからでしょう。そして、この作品のタイトルは、モリー・リングウォルドが大好きな英国のニューウェイヴ・バンド、サイケデリック・ファーズの「プリティ・イン・ピンク」(1981)から取り、主題歌にしたのでした(ある意味ミスマッチな選曲の妙)。

ハワード・ドゥイッチが監督したビリー・アイドルの「フレッシュ・フォー・ファンタジー」です。この口のゆがめ方。しかも、「北斗の拳」のサウザーの原形となった抜群のルックス。どこまでもファッショナブルな映像。1980年代のファンタジーとでも言いましょうか?振り返れば、1980年代は、ルールなき色彩感覚に満ち溢れた時代でした。そして、芸術を破壊した時代でした。しかし、そんなアンチ・アートな時代が、2017年から見ると、実にアーティスティックな時代に見えるのです。

『プリティ・イン・ピンク』という映画。そして、モリー・リングウォルドという80年代のティーン・アイドル。再評価の時代は今なのでしょう。もうそれ以上の言葉は必要ありません。最後にモリーのファッション・センスを示す写真を何点か選びました。

これほどクールなトレンチコートの着こなしはあるのだろうか?

べっ甲メガネとロングジャケットが本当に似合う人です。

そして、ブラック・パテントレザー・ドレス。