ルウーブ(牝狼)|生き血を浴びながら、母乳を飲むような、甘い恐怖を身に纏う。

セルジュ・ルタンス
セルジュ・ルタンス
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ルウーブ(牝狼)

原名:Louve
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

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生き血を浴びながら、母乳を飲むような、甘い恐怖を身に纏う。

©Serge Lutens

悠久の昔から象徴的な存在であった狼は、ここになお神秘を保ち、アーモンドの苦味を帯びている。雪の城の頂に佇む、唯一無二の白い謎めいた存在。

「彼女の名は女、母、そして狼。その心は白いアーモンドである」

セルジュ・ルタンス公式サイトより

2007年にセルジュ・ルタンスより発売されたルウーブ」は、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。白い城のように見える雪に覆われた山の頂に立つ、孤高の牝狼をイメージして生み出されたチェリーアーモンドの香りです。

2018年11月からは、限られた店舗でのみ販売されていたプレミアムコレクション「グラットシエル コレクション」に組み込まれていました。そして現在は、再びパレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。

「ルウーブ」とはフランス語で〝牝狼(めろう)〟の意味です。紀元前753年4月21日に建設されたローマを作った双子の兄弟ロムルスとレムスが牝狼によって育てられたという伝説を基に生み出された香りです。

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赤いチェリーとオオカミは、グリム童話の赤ずきんを連想させます。

カピトリーノの牝狼

『ロムルスとレムスの発見』ルーベンス、1612~1613年

生き血を浴びながら、母乳を飲むような、ホラームービーを素肌で味わうように香るこの香りは、鮮血と甘いミルクの鎮魂歌からはじまります。さいしょは一心同体だった双子のロムルスとレムスが、やがて覇権を争い、血で血を洗う争いを起こしていく〝悲しい運命〟を予感させます。

古代ローマは、牝狼のミルクと双子の兄弟の血から生み出されたのだ!しかもたちが悪いことに、この香りは、癖になるほどドロドロの赤い甘さに包まれているのだ。

かなり濃厚なチェリーとアーモンドは、甘いミルクと溶け合うことは決してない。この香りの魅力は、素肌の上で最初から最後まで反発し合う、血とミルクにあります。すぐに血の香りは、ラズベリーのようなフルーツの香りと溶け合い、新たなる獲物を探す吸血鬼のような魔性のダークな輝きを放ちます。

そして、ゆっくりとローズとジャスミンが、冷たく氷のように微笑みながら、妖艶な甘い花粉をまき散らしてゆくのです。そこにアンバーとバニラ、ムスクが注ぎ込まれ、血とミルク(チェリー×アーモンド×ミルク)のかぎりなく透明にちかいうっとりするような杏仁豆腐/マジパンのようなパウダリーな余韻に満たされてゆきます。

真っ赤なチェリーとオオカミは、グリム童話の赤ずきんを連想させるのですが、セルジュ・ルタンスは、その世界観もこの香りの中に投影している可能性大です。この香りがする人に着いて行くべからず。食べられちゃいますよ。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ルウーブ」を「チェリーアーモンド」と呼び、「スタートは大胆にも強烈なモレロチェリーノート。これはどうしてもカクテルのチェリーコーク(こうしたものは思考を腐らせる)を思い出してしまう。次に現れるのは、濡れたおがくず系の香りをともなった奇妙な石鹸様ヘリオトロピンのアコード。密室のよどんだ香りに近い。褒められたものではないが、ひどく悪いわけでもない。どうにも判断に困る香りだ」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ルウーブ(牝狼)
原名:Louve
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2007年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)


トップノート:アーモンド、フルーツノート
ミドルノート:ムスク、ジャスミン、ローズ
ラストノート:アンバー、バニラ、樹脂