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【ゲラン】ジャスミン ボヌール(デルフィーヌ・ジェルク)

ゲラン
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ジャスミン ボヌール

原名:Jasmin Bonheur
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:50ml/34,650円、100ml/48,400円、200ml/69,300円
公式ホームページ:ゲラン

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ゲラン帝国のジャスミンは夜ひらく

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2005年、パリ・シャンゼリゼ通り68番地のゲラン本店のリニューアルオープンを記念して発売された「ラール エ ラ マティエール(芸術と貴重なる生の素材)」コレクション。

この〝世界で最も貴重な原料を使ってゲランのパッションを表現して欲しい〟というコンセプトにより生み出されるコレクションの最新作として、2023年1月10日に「ジャスミン ボヌール」が発売されました。〝幸せのジャスミン〟という意味があります。

フローラル・フルーティーの香りは、ゲラン帝国の香料確保のため世界中を飛び回っている五代目専属調香師ティエリー・ワッサーの代わりに、新作の調香を担当するようになったデルフィーヌ・ジェルクによって1年以上の年月を費やし調香されました。

全ての「ラール エ ラ マティエール」の香りは、ある貴重な1つの素材に絞り、それをいまだかつてない芸術的な側面から、新たな光を当て、素材の深みやコントラストを強調することにより生み出されています。

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マティスの『生きる喜び』を、ジャスミンで表現した香り

『生きる喜び(Le bonheur de vivre)』アンリ・マティス

現在六代目調香師としての王位継承のための試練を受けている状況とも言える〝美貌の調香師〟デルフィーヌ・ジェルクが、アンリ・マティス(1869-1954)が1905年から1906年にかけて創造した『生きる喜び(Le bonheur de vivre)』からインスパイアされ生み出されたのがこの香り「ジャスミン ボヌール」です。

パブロ・ピカソに衝撃を与えたと言われる『生きる喜び』は、鮮やかな色彩と、狂気に満ちた曲線で描かれた大胆な裸体図の交わりによって、(ギリシャのアルカディアの海岸で)〝本能の赴くままに生きる〟人々を描いています。その絵の中央には、のちの代表作『ダンス』(1909)の原風景が描かれています。

そんな色の世界に引き込まれるように、喜び溢れる明るい色彩でジャスミンを祝福する香りは、コレクションの中で、満を持してはじめて作られた〝ジャスミンの香り〟です。

ジャスミンは、ゲラン帝国にとって最も重要な6つの〝聖なる素材〟のうちのひとつです。それは二代目調香師エメ・ゲランが創造した、ゲランの一子相伝の秘密のレシピ〝ゲルリナーデ〟を生み出すベルガモット、ローズ、ジャスミン、トンカビーン、アイリス、バニラといった6つの素材を示します。

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いつも心に太陽を生み出してくれる〝ゲランの太陽〟

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幸せを芸術で見事に解釈した巨匠マティスに倣って、私はこの真っ白な花を喜びの色で染め上げ、エレガントなジャスミンを創作しました。

デルフィーヌ・ジェルク

オレンジ色に鮮やかなアプリコットと、閃光のようにグリーンに煌くベルガモットに祝福されるように、白いジャスミンの花びらがフレッシュに開花するようにしてこの香りははじまります。それは軽やかなジャスミンティーのようなものではなく、色めくジャスミンの歓喜の叫びのようなドラマティックなはじまりです。

ピーチのようにフルーティなジャスミンは、すぐにインドールを解き放つ野生の妖艶な香りを広がらせてゆきます。そして、そこに軽快なオレンジ・ブロッサムと柔らかに酔わせるピンクローズが加わることにより、ジャスミンは、抗いがたい官能性を広がらせてゆくのです。

ちなみにこの香りのために2種類のジャスミン・アブソリュートを4箇所の産地から取り寄せ使用しています。

フルーティかつグリーンな香りが特徴的なジャスミン グランディフローラムを、グラース(パウダリー)、カラブリア(ぴりっとした)、インド南部(スモーキー)から。そしてセンシュアルで温かみのあるオレンジブロッサムのような明るさとハニーの煌きを放つジャスミン サンバックをインドからです。それぞれ一滴の精油を生み出すために7700の花びらが必要となる貴重な原料です。

2010年、ティエリー・ワッサーの要請により、1990年代末に姿を消した貴重なカラブリア産ジャスミンが、ゲランのために、メゾンを象徴するベルガモットと同じ土地で収穫され、奇跡の復活を遂げました。

この4種類のジャスミンの花びらが輪になって踊るように、肌の上に叶えたい夢があることを伝えるように、香りを華やがせてゆきます。やがて、うつくしきパープル色のアイリスのパウダリーな余韻が、強さともろさ、美と壊れやすさを絶妙なバランスで保たせながら、感情豊かなジャスミンを肌の上により生き生きと蘇らせていくのです。

この香りには、モス、パチョリ、ベチバーのウッディなアクセントを持つ、クラシカルでエレガントな上質な温かみのあるシプレがベースノートとして横たわっています。

ティエリー・ワッサー

毛皮のコートのようなもので、この香りの中に存在するシプレはとてもシックですが、とても暖かく官能的で、かなりダークかもしれません。

デルフィーヌ・ジェルク

どうやらアプリコットのスモーキーレザーの側面が、モス・パチョリ・ベチバーのウッディな側面と混じり合い、アイリスと一緒になって、心に染み入る切ない歌声を聴かせてくれているようです。ただの歓喜ではないところが、〝ゲラン帝国のジャスミンは(色鮮やかに)夜ひらく〟芸の細やかさなのです。

ふとした所作にフワッと舞った「ジャスミン ボヌール」の柔らかな匂いを嗅いでしまうと、その香りに引き込まれ、その奥に潜むあなたのすべてを確かめたくなる〝禁断のジャスミン〟。

そして、この香りは、マティスの有名な言葉〝There are always flowers for those who want to see them.〟の精神を反映した香りともいえます。どんな真っ暗闇(コロナ)の状況であろうとも、あなたの心の中に、花が見たい気持ちがある限り、いつも美しい花は咲き続けるのです。

いつも心に太陽を生み出してくれる〝ゲランの太陽〟です。

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香水データ

香水名:ジャスミン ボヌール
原名:Jasmin Bonheur
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2023年
対象性別:女性
価格:50ml/34,650円、100ml/48,400円、200ml/69,300円
公式ホームページ:ゲラン


トップノート:アプリコット、ベルガモット
ミドルノート:ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、ローズ
ラストノート:アイリス