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【ディプティック】ジャルダン クロ(ダニエル・モリエール)

ディプティック
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ジャルダン クロ

原名:Jardin Clos
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:ダニエル・モリエール
発表年:2003年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/9,975円

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ディプティックの幻のヒヤシンス


ディプティックが2003年に発売した「ジャルダン クロ」は、きちんと手入れの行き届いた石壁に囲われた英国の庭(創業者の一人デスモンド・ノックス=リットはイギリス人)をテーマにした香りです。「ジャルダン クロ」とはフランス語で「箱庭、閉ざされた庭」の意味です。「タムダオ」を生み出したダニエル・モリエールにより調香されました。

このテーマの面白さは、華々しく春を謳歌する大規模な庭園ではなく、密やかに愛されている箱庭の持つ小鳥や虫に対して、匂ひと、歌と、温情を静かに撒き散らしている情景を香りで表現したところにあります。

春の女神の到来を知らせる軽雨を思わせるライラックとウォーターメロンの珍しい組み合わせから〝ディプティックの箱庭(=手入れの行き届いた庭)〟ははじまります。どこか雨上がりの湿った新緑の森を連想させるグリーンな香りもそこにあります。

ウォーターメロンが最初から最後まで儚げに存在するのがこの香りの特徴です。それは〝春の小川のせせらぎ〟を背景に感じさせてくれます。

すぐに雨は止み、曇り空のようなムスクに包み込まれてゆく中、雲間から差し込む太陽の下で、涼しげなブルーヒヤシンスが、フレッシュで透き通るようなグリーンな芳香を放ちはじめます。ミモザとゼラニウム、スズランもクリーミーグリーンなフローラルブーケの演出に一役買っています。

やがて、ミモザの花粉のようなパウダリーさによって、ヒヤシンスとライラックが浮遊感を与えられる中、オークモス、トルーバルサム、ホワイトシダーにより木と土の大地の温かさが添えられてゆきます。

丸の内の歩道を歩いている時、斜め前を歩く、ストレートの黒髪が魅力的なスカートスーツ姿の女性が、不意にヒヤシンスの花壇の前で足を止め、しゃがみ込み、その花の香りにうっとりとしています。そんな姿の横を何食わぬ顔で通り過ぎながらも、「大都会の中で、人目も気にせず、仕事の合間に、花の香りにうっとり出来る」彼女の凛とした存在感にジェラシーを感じてしまう・・・そんな情景と憧れをボトルの中に仕舞いこんだような香りです。

つまりは、美しい女性(そして、美しい男性)とは、花の美しさを見逃さない人であることを教えてくれる香りなのです。

2012年4月にオード・トワレ・コレクションをスクエアボトルからオーバルボトルへとリニューアルした時に、廃盤になりました。

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香水データ

香水名:ジャルダン クロ
原名:Jardin Clos
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:ダニエル・モリエール
発表年:2003年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/9,975円


トップノート:ライラック、ウォーターメロン
ミドルノート:ヒヤシンス、ムスク
ラストノート:オークモス、トルーバルサム、ホワイトシダー