作品データ
作品名:キャンディ Candy (1968)
監督:クリスチャン・マルカン
衣装:ミア・フォンサグリーブス/ビッキー・ティール
出演者:エヴァ・オーリン/リチャード・バートン/マーロン・ブランド/アニタ・パレンバーグ/エルザ・マルティネッリ
ダイアン・フォン・ファステンバーグに先立つラップドレス
キャンディ・ルック3 ラップドレス
- サテン・エメラルド・ラップドレス、フレア・バイアス・スカート、セットインスリーブ、上衿とカフスのみ白サテン
- 白のパテントレザー・ロングブーツ
- 白のファーのベレー帽
- 白のファーコート、ダブル
1967年に、本作のためにミア・フォンサグリーブスとビッキー・ティールがデザインしたラップドレスが、ブルーミングデールズで大量に販売されました。後に、1972年から73年にかけてラップドレスを大流行させるダイアン・フォン・ファステンバーグに先立つこと5年前の出来事です。
もともと、ラップドレスの原型は、1930年代のエルザ・スキャパレッリのドレスと、1942年のクレア・マッカーデルによるポップ・オーバー・ドレスです。
元々ツイッギーにオファーされたキャンディ役
キャンディ・ルック4 パステルミニドレス
- パステルブルーのミニドレス、こちらもラップドレス風
- 水色のサンダル
主役のキャンディを演じたエヴァ・オーリン(1950-)は当時17歳でした。1966年にハリウッドで開催されたミス・ティーン・インターナショナル(1966年から69年にかけて4回開催された。1993年から開催されている現在のものとは別物)に優勝したことがきっかけでした(2位は大橋巨泉の妻・浅野順子)。
しかし、本作は、肝心のアメリカにおいては、ヒットせず(ヨーロッパではスマッシュ・ヒットし、現在においては、カルト的な人気を誇る)、エヴァは、スターになれませんでした。しかし、21世紀においては、その夢見るようなとろ~んとした眼差しと、ぽかんと口を開けて、「どんなことでも受け入れてくれそうな」天使ルックが、若い女性にとっての永遠のスタイル・アイコンの地位に彼女を格上げしています。
18歳の時に、メキシコで極秘結婚したエヴァは、1972年に離婚し、翌年、映画界を引退しました。そして、大学進学し、教師の道を歩みます。
アニタ・パレンバーグ
ジェームズ・コバーン扮するドクター・クランカイトの看護婦役で登場するのが、アニタ・パレンバーグ(1944-2017)です。ドイツ系イタリア人のファッション・モデルとして活躍していた彼女は、1965年9月に、ローリング・ストーンズのリーダー・ブライアン・ジョーンズ(1942-1969)を逆ナンパし、付き合うことになります。
二人ともドラッグ大好きで、破天荒な性格だった為喧嘩が絶えず、1967年3月のモロッコ旅行中に、同行していたキース・リチャーズとの二股がバレ、大喧嘩の末、アニタとブライアンは別れることになります。この時以降、ブライアンは自暴自棄になり破滅への道を進んでいきました。そのため、アニタは後に「ブライアン・ジョーンズを殺した女」と言われるようになります。
そんな大変な時期にアニタ・パレンバーグは本作に出演しました。その看護婦のコスプレ姿は、1980年代のハードロックやヘビーメタルのMTVに現れるプレイメイト・スタイルの原型であり、どこかトランスジェンダー的なアンドロギュヌス的な悪の果実のような魅力に満ち溢れています。