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【ペンハリガン】イングリッシュ ファーン(ウィリアム・ペンハリガン・ジュニア)

ペンハリガン
©Penhaligon's
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イングリッシュ ファーン

原名:English Fern
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:ウィリアム・ペンハリガン・ジュニア
発表年:1910年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/12,600円

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19世紀の英国のシダフィーバーの香り

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ペンハリガンより1910年に発売された「イングリッシュ ファーン」は、創始者ウィリアム・ペンハリガンの息子ウィリアム・ペンハリガン・ジュニアにより調香された、英国の田園地帯をイメージした緑の香りです(一部、1890年とあるが、ペンハリガンの公式では1910年に創作されたとなっている)。

〝イングリッシュ ファーン=英国のシダ〟という名のこの香りは、ヴィクトリア朝時代(1837-1901)において英国で大流行したpteridomaniaと呼ばれるシダブームからインスパイアされた香りです。

このシダブームは、1851年のロンドン万国博覧会におけるウォーディアン・ケース(テラリウムの元祖)と、1855年に出版されたトーマス・ムーアの著書「イギリスとアイルランドのシダ」によって加速的に広がりました。

シダとはフランス語でフジェールと言います。つまり、この香りはフゼアです(ちなみに最初に誕生したフゼアは1882年に作られた「フジェール ロワイヤル」です)。ゼラニウム、ラベンダー、オークモスといった典型的なフゼアの特徴を持ちつつも、一般的なローズの香りがするローズゼラニウムではなく、ハーバルな香りがするペパーミントゼラニウムが使用されています。

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英国の田園地帯をイメージした緑の香り

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身に振り掛けると一瞬で、エドワード朝の英国の高級理髪店へとタイムスリップする感覚が味わえます。それはラベンダーとゼラニウムのかなりシャープなグリーンの咆哮からはじまります。心安らぐ森のシャワーではなく、心に突き刺さる薬草のシャワーのようです。

自然の甘さを放つラベンダーを、メントールの効いた清涼感たっぷりのゼラニウムが包み込んでいるようです。すぐに、心に向かって透き通るように進んでくるクローバーやアイビーリーフの、朝露にぬれた緑のきらめきが加わってゆきます。

そして、ゆっくりとオークモスとアーシィーなパチョリが存在感を増してゆき、フゼア=理髪店への到着を素肌に伝えてくれます。クリーミーなサンダルウッドが、甘くてなめらかな石鹸と森の息吹に愛撫されているような優しさで満たしてくれます。

残念ながら2020年に廃盤となりました。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「典型的フゼア」と呼び、「偉大なるクラシック「フジェール ロワイヤル」を手本にしている、クマリン、ラベンダー、オークモス、ムスクを配す。ただし仕上がりはお粗末だ。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:イングリッシュ ファーン
原名:English Fern
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:ウィリアム・ペンハリガン・ジュニア
発表年:1910年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/12,600円


トップノート:ラベンダー、ゼラニウム
ミドルノート:クローバー
ラストノート:サンダルウッド、パチョリ、オークモス