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ダイアン・キートン

『アニー・ホール』Vol.2|ダイアン・キートンとパンツルック

ダイアン・キートン
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ファッションセンスとは内面を写し出す鏡

アニー・ホール・ルックとは、そのルックの先鋭さゆえに知性と感性で武装しなければいけない「上級者」向けスタイルです。ファッションにおけるスタイリングで忘れられがちなのが、スタイリングを構成する三つの要素です。

  1. 容姿
  2. 内面からにじみ出る知性と感性=雰囲気
  3. 所作=スタイル

これが噛み合っていないスタイリングが見られるのは、日本のバラエティー番組です。多くの芸能人が凄く恥ずかしそうにお仕着せの服を着ている姿を見て、多くの日本人は、「日本人にはお洒落な洋服が似合わないなぁ」と勘違いしてしまいます。

実は、スタイリストに問題があるのですが、服を着るということは、「リラックスした着こなし」を提案することが重要なのです。ファッションは、内面を反映します。アニー・ホール・ルックがハイセンスに見えたのは、ダイアン・キートンが普段のスタイリングを披露したからなのです。

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アニーホール スタイル4

ワイドパンツ・ルック
  • キャップスリーブのスタンドカラー白シャツ
  • グレーのワイドパンツ
  • バイカラーのベルト
  • 黒のストール

色襟を立て、黒のストールを何重にも巻く。

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このアニーのスタイルもとても格好良いです。

少し前に流行したワイドパンツルックのはしり。

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アニーホール スタイル5

JKルック
  • ラルフ・ローレン
  • 黒ジャケット。タイトシルエット
  • ネイビーのタータンチェックのボタンダウンシャツ
  • 黒ベルト
  • オリーブ色のチノパンツ
  • ボストンスタイルの眼鏡

オリーブカラーのパンツが素敵です。

風呂場に蜘蛛が出るシーンで履いているカーゴパンツ。

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女性と男性の関係とは・・・

出会ったときは、女性から男性に惚れ、男性はそのことに満足し、やがて、女性はその熱も冷めてゆき、男性は逆に冷めていく女性に夢中になる姿。男性も女性もどれだけ他の異性と肉体関係を重ねようとも、「会話のかみ合う」相手を見つけることは楽ではない。

現代に生きる私達にも共通するテーマ。機械が、常に他人との間を繋ぎとめてくれているが、それだけ頻繁に繋がっていると、そこからは倦怠感が生まれる。機械に阻まれ前進できない人々。

自然の中で、自分の能力を見極める=孤独を楽しむ。人と人は、孤独の中で出会うからこそ、孤独で培ったものを重ね合わすことが出来るのです。もし、その培ったものが、その人にないならばその人に待ち構えているものは何なのでしょうか?

ファッションに関わる仕事をしている人々(アパレル販売員も含む)が、心してかかるべきこと。それは、暇つぶしのつもりが、いつのまにか機械に支配されてしまった人々が、ファッションとの関わり合い方を見失っているという点です。ファッションとは、デジタルではなくアナログです。私達が機械を着るようになった時、人間はロボットになります。そんな流れがこれからのファッション・ビジネスのあり方だと指南するコンサルタントまで存在します。

ファッションを実際に袖を通さずに選ぶようになったとき、その人から、ファッションIQは失われます。ファッションとは、対話と観察から生まれる感性の煌きなのです。

だからこそ、ファッションに関わる仕事をする人達は、日々、ファッションの歴史を探求する時間を持たなければなりません。インスタやまとめサイトに溢れるスタイリングの根底に流れる歴史を感じ取らないと、ただなんとなくファッションの仕事をしている人に成り果ててしまうのです。

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アニーホール スタイル6

アニー・ホール・ルック3
  • ラルフ・ローレン
  • ストライプのベスト
  • 黒のメンズシャツ
  • マルチドットの黒の大判スカーフ

ワンカットのみのシーンで登場したファッション。

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アニーホール スタイル7

ボーラーハット
  • ヘリンボーンのジャケット(スタイル2で着ていた)、エルボーパッチつき
  • ネイビーのロングスカート
  • ウエスタンブーツ
  • グレーのボーラーハット

ブルックリン橋を背景にしたシーン。

このファッションがこの作品のワーストルックだろうか?

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アニーホール スタイル8

ジャンプスーツルック
  • あずき色のストライプのジャンプスーツ。ボタンダウン。半そで
  • 黒の薄手のロングスリーブニット。タートルネック(スタイル1より)
  • 黒ベルト
  • 微生物柄のマフラー。フリンジ付き

相手の言葉を真に受け突然引越しするアニーと、そんな彼女に当惑するアルビー・シンガー(ウッディ・アレン)。

彼女のスタイリングのベースはタートルネックです。

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アニーホール スタイル9

アニー・ホール・ルック4
  • ラルフ・ロレーン
  • グレーのベスト
  • 白のストライプシャツ
  • ブラックタイ
  • ブラックロングスカート

ほんのちょっとしか登場しないファッションが盛りだくさんです。

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アニーホール スタイル10

カフタン・ルック
  • 黒のタートルネック(スタイル1のもの)
  • 麻のカフタン
  • 黒のパンツ
  • 微生物柄のマフラー。フリンジ付き

自殺願望のあるアニーの兄としてクリストファー・ウォーケンが登場します。

オフショット。ウッディ・アレンの着こなしがかなりアイコニックです。

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アニーホール スタイル11

ノースリーブ・ルック
  • ワインレッドのラウンドネック、ノースリーブカットソー。サイドにスリット
  • ラフな同色のスカート
  • ウエストにマルチドットの黒の大判スカーフを巻く(スタイル6と同じもの)
  • 籐編みのショルダーバッグ
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オン・オフの使い分けが素晴らしいアニー・ホール。

この作品には、隠れた名スタイリングが多いです。

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シェリー ハックとアーノラズロの黒石鹸

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チャーリーズ・エンジェル・シェリー・ハック登場。

1979年から「チャーリーズ・エンジェル」に出演することになるシェリー・ハック(1947-)の映画デビュー作が本作です。さすがファッション・モデル出身だけあって、シンプルなパンツルックが様になっています。

ペールネイビーのラインが交差する半そでの白ボタンダウンシャツを、白いベルボトムパンツシャツイン。とても清潔な感じで、バスケットバッグを肩がけにして歩く姿は、只者ならぬ存在感に満ち溢れています(となりの男性のディスコルックも如何にも!)。


アーノラズロのアイコニック・ソープである〝ブラックソープ(死海の泥石鹸)〟を手に取り、アルビーは言います。「私はアパートでアニーの愛用するコレを発見した。黒石鹸だ。彼女は一日に800回も洗顔しているんだ。なぜだかわからないけどね」。このブラックソープは、ジャクリーン・ケネディ・オナシスなどのセレブが愛用したステイタス・ソープなのです。

作品データ

作品名:アニー・ホール Annie Hall (1977)
監督:ウディ・アレン
衣装:ルース・モーリー
出演者:ウディ・アレン/ダイアン・キートン/クリストファー・ウォーケン