30代から40代にこそ男性が最も輝く季節
女性が最も惹きつけられる男性の年代は、30代から40代だと私は思います。そして、女性が最も嫌だなと感じる男性が多い年代もこの年代なのです。本来、30代から40代の男性にとって、ファッション誌は必要のない年代だと思います。そのファッション誌に載っていたからそのアイテムを購入しますというのは、20代で卒業しておいてほしいものです。
たまにラグジュアリー・ストアで、全身ブランドロゴづくめの人などがいるのですが、もうそういう人を見ると、「ユニクロを着ようよ」と言いたくなります。やりすぎとやらなさすぎだと、どう考えてもやらなさすぎの方がましなのです。ファッションセンスを磨くという事は、男女にとって、ファッション誌を卒業し、実店舗で、自分の感度に合うものを探し当てる能力を高めるために、過去のファッション・アイコンやコレクション、映画、絵画から独自のテイストを生み出す作業なのです。
これほど、インターネット社会になり、情報が氾濫している中で、もはや、流行はこれです。なんてものに流される人は、ファッション感度が高いというよりも、ファッション感度がゼロの人ということになってくるのです。もう、流行を追いかける時代ではなくなりました。そして、女性にとって最も嫌なのは、〝ムリしすぎ〟的に流行に敏感な男性なのです。
ジェームズ・ボンド・スタイル6
- マッチレスのスエードバイカージャケット。1878年英国のモーターサイクルメーカー。〝クレイグ・ブルゾン〟と呼ばれる
- トム・フォードのVネックポロシャツ。レーヨン
- ブルネロ・クチネリのベージュパンツ
- J.クルーのケントンのスエード・ブーツ
- トム・フォードのサングラス、ヘンリー・ヴィンテージ・ウェイファーラー
タキシードは殺しのライセンス
ジェームズ・ボンド・スタイル7 ホワイト・タキシード
- トム・フォードのウィンザー・ディナー・ジャケット。シルクブレンド。ピークド・ラペル。イタリア製56%シルク、44%レーヨン。シングルベント
- トム・フォードのブラック・トラウザー
- トム・フォードのホワイトイブニングシャツ。フロントプリーツ
- トム・フォードの黒ボウタイ
- クロケット&ジョーンズ「アレックス」。スカイフォールに引き続き登場
ブルネロ・クチネリを愛する男ダニエル・クレイグ
本当にダニエル・クレイグは何を着ても似合います。歴代ボンドの中では、肉体バランスがずば抜けて美しいです。まさに、トム・フォードを着るために生まれてきたような体格です。これはすごく不愉快な言い方かもしれませんが、中年男性に求められる最重要筋力は、僧帽筋から肩、腕にかけての筋肉と太ももからふくらはぎにかけての筋肉です。
その次に腹筋と胸筋でしょうか。本来は、肉体の弱点をフォローしてくれるスーツというファッションから、その要素を削ぎ取ったデザインが、今回のトム・フォードによるボンドスーツです。つまり男性のボディコンドレスのようなスーツなのです。だから、このスーツを着る男性は、頭の先からつま先まで洗練されていなければ、クールに見えないのです。一方、このブルネロ・クチネリのジャケットとパンツスタイルは、それほど敷居は高くないので、誰が着てもかなりオシャレに見える優れものファッションです。
ジェームズ・ボンド・スタイル8 ブルネロ・クチネリ・ジャケパン・スタイル
- ブルネロ・クチネリのライトブラウンのジャケット。ウール51%リネン41%シルク8%3ボタン段返り。フィッシュマウスラペル、本作唯一のダブルベント、右ラペルに裏ボタン、ノッチドラペル
- ブルネロ・クチネリのカーキーのトラウザー。裾はロールアップ
- トム・フォードのニットシルクのブラウン・ダービータイ(剣先が尖る)
- トム・フォードの白シャツ。ドクター・ノー・カフス。100%コットン
- J.クルーのケントンのスエード・ブーツ
- 珍しくブラウンベルト着用。ベルトの余った端を折り返してバックル部分に差し入れている
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