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チャールズ・ブロンソン

チャールズ・ブロンソン2 『ウエスタン』1(2ページ)

チャールズ・ブロンソン
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すべてはこの男のクローズショットからはじまった。

隣の掃除婦役の女性は、ウディ・ストロードの実の奥さんです。

ユル・ブリンナーを髣髴とさせるスキンヘッド・カウボーイ。

ブーツのアップ。

全身ショット。

3人の選者ルック ウディ・ストロード
  • 黒のテンガロンハット
  • ブラウンスエードのトレンチコート、エポレットなし、くるみボタン
  • 紫色のニットシャツ、立て襟、スプリットヨーク
  • 白のアンダーシャツ
  • ブラックデニム
  • ダークブラウンのベルト
  • ブラウンのブーツ

私は彼らが退屈をどう紛らわすかを描くことで、彼らのキャラクターを描こうとしたんだ。だから、蝿や拳やしたたり落ちる水が使われたんだよ。

セルジオ・レオーネ

最初にダスターコートが登場するのは、この男のクローズショットからです。全身を舐め回すように撮ってみせ。一瞬にして世界中の男性の心をロングコートの虜にしたのでした。

印象的なのが、暗殺目標が乗る蒸気機関車が2時間遅れることを知り、ダスターコートを脱いだ後、待っているこの男=ウディ・ストロード(1914-1994)のテンガロンハットのひさしにしたたり落ちる錆混じりの水をゴクリと飲むシーンです。レオーネという人は、ファッション・ディテールの生かし方を知る人でした。

男の魅力とは、自身のファッションの一部を生かす心意気から生まれるということをよく知っていたのです。

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ジャック・イーラム=第三の男。

顔面にハエをたからせ、銃身で捕獲する男。

この男のダスターコートもまたクールだった。

3人の選者ルック ジャック・イーラム
  • 黒のテンガロンハット
  • ブラウンスエードのダスターコート(ステンカラー)、コットンベルベットの襟
  • 黒シャツ
  • 黒のネッカチーフ
  • ベージュのアンダーシャツ
  • ベージュ・デニム
  • ブラウンのブーツ
  • ブラウンのベルト

元々、このオープニング・シーンの配役として、『続・夕陽のガンマン』(原題:善玉、悪玉、卑劣漢)の3人(クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック)をレオーネは希望していました。しかし、結果的に、ダスターコートが魅力的に輝いたのは、それほど有名ではない俳優を、とてつもなく輝かせる効果を生み出したところにありました。

3人の聖者のリーダー格を演じたジャック・イーラム(1920-2003)は、西部劇の名悪役であり、左目は義眼でした。

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世界一赤シャツが似合う男。

ハーモニカ片手にブロンソンは登場する。

見よ!ブロンソンのウエスタン・ルックを!

ロングコートには、スニーカーではなく、ブーツで合わせてみたい。

赤シャツとリングベルト。劇中のブロンソンの衣裳は一着のみ。

ブロンソン・ルック
  • 個性的な柄のベージュのステンカラーコート、ミドル丈
  • 赤のポロシャツ
  • ブラウンのリングベルト
  • ベージュのデニム
  • グレーのテンガロンハット
  • ベージュのブーツ

オープニングから11分過ぎにチャールズ・ブロンソン(1921-2003)が登場します。46歳の撮影時までブロンソンは、主役を演じたことがありませんでした。そんな彼が、ヘンリー・フォンダを相手に主役を張ることになったのです。まさに40男の一世一代のチャンス到来でした。

孤独を愛する人だったわ。誰の姿も見えず、誰にも挨拶しなくてすむように、帽子を目深に下ろして、いつも隅っこに座っていたわ。手にはいつもゴム・ボールを持っていて、しじゅう壁にボールを投げていたの。本当に物静かな人で、誰とも話さないミステリアスな人だったわ。彼から笑顔を引き出すのは難しかったけど、私たちはうまくつきあえたの。私も内向的な人間だからでしょうね。

クラウディア・カルディナーレ

ブロンソンは、黙々とこのチャンスに賭けていたのでした。自分の年齢とこのチャンスを天秤にかけ、全神経を集中して、名もなきハーモニカという役柄に、入り込んでいったのでした。ブロンソンイズム。それは、高倉健とよく似た、「寡黙な男の美学」なのです。

そして、40過ぎの男が無骨な表情で、その皺を武器に、クールに佇む。どこかサムライを連想させるその様子に、赤いシャツをスタイリングしたカルロ・シーミとセルジオ・レオーネという男は、アメリカ人には、思いもつかないダンディズムの究極を知る人だったのでしょう。