第三のボンドガール 弱冠18歳のアリソン・ドゥーディ
ボンド・ムービー最年少のボンドガールを演じたアリソン・ドゥーディ(1966-)は、撮影当時まだ18歳でした。
後にグレース・ケリーの再来とまで呼ばれるようになる彼女は、本作においてまるでタカラヅカから抜け出てきたかのようなショートカットと乗馬ルックで、ほとんどピントが合っていないカメラフレームの中でさえも類稀なる存在感を示していました。
そして、僅か4年後に『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)に出演し、間違いなく世紀末のクールビューティーを代表する女優になるだろうと誰もが確信していました。
しかし、裕福なアイルランド人である彼女は、女優の仕事にそれほど欲はなく、1994年にアイルランドのメディア王の御曹司と結婚し、引退するのでした。こうして、世紀末のクールビューティーの座は、彼女が出演依頼を断った作品に出演したシャロン・ストーンとニコール・キッドマンが座ることになるのでした。
氷山型潜水艦を操縦する美女
主題歌の前に登場するボンドガールは、毎回極めつけの美女が登場する傾向があります。今回登場する氷山型潜水艦の美人操縦士キンバリー・ジョーンズを演じるメアリー・スタビン(1957-)は、1977年にミス・ワールドに輝いたスウェーデン出身の女優です。
ちなみに前作の『007 オクトパシー』にも彼女は出演していました。ボンドのオールホワイトルックに対して少し黄色味がかったナイロン製のスキーウェアの下には何も着てません。フロントジップがかなりセクシーです。
蝶使いの女=キャロル・アシュビー
蝶使いに扮したキャロル・アシュビー(1955-)も、『007 オクトパシー』に出演していました。
ジェニー・フレックス スタイル1
乗馬ルック
- ブラックジャケット、3つボタン
- 白のボウタイブラウス
- 白の乗馬パンツ
- 黒のロングブーツ
ジェニー・フレックス スタイル2
ブルードレス
- ブルーストラップレスドレス
キミは取貝麻也子を知っているか?
『007 オクトパシー』が日本公開される3日前の1983年6月29日にテレビ朝日系で放送された「水曜スペシャル/007危機100発! 娯楽巨編一挙大公開!!」の中で公募された日本ミス・ボンドガールコンテストは、来日していたロジャー・ムーアを審査員長にして開催されました。
そして、選ばれた人が、取貝麻也子という京都出身の神戸山手女子短期大学を出た、昭和57年にミス日本に選ばれたという女性でした(どうやらこのミス日本は、この年に優勝したわけではないらしい)。フランスのシャンティイ城で行われた撮影に2日間参加し、30万円のギャランティを手にした彼女のインタビューは、とても低次元なものでした。
ここにその一部を引用してみよう。「セリフも4つくらいあった」(実際はひとつもない)「ロジャー・ムーアってNGが多くて疲れたわ。ワンカット撮影するのに最低12回は出すの。あんな老人にジェームズ・ボンドなんて無理なのよ」そんな彼女がデュラン・デュランのカバー曲を出しました。
ちなみに、この御方は21世紀に入り、結婚詐欺で捕まりました。この作品でチャンスを掴んだ彼女は、芸能界では成功できなかったようです。
ボンドムービーに出演した端役の女性たちのその後の人生を追跡してみると、ジェームズ・ボンド以上に激動の人生を歩んでいる人が多いのかもしれません。兎にも角にも、取貝麻也子という日本人女性は、ボンドガールではないけれど、ボンドムービーに出演した数少ない日本人女性だったことだけは事実なのです。
バーバラ・バックが出演したかもしれないKGB役
1972年に『不思議の国のアリス』でアリスを演じたフィオナ・フラートン(1956-)が、今までと全く違った役柄で出演しています。
ちなみにこのKGBの工作員ポーラ・イワノヴァの役柄は当初、『007 私を愛したスパイ』のバーバラ・バックに出演依頼されていました。しかし、断られ、オーディションが行われました。その中には、次回作『007 リビング・デイライツ』のボンドガールになるマリアム・ダボもいました。
ジェニー・フレックス スタイル3
パンツルック
- ブルーブラウス、ワイドスリーブ
- ブラックパンツ
- ブーティ
ジェニー・フレックス スタイル4
カバーオール
- ブルーカバーオール
作品データ
作品名:007 美しき獲物たち A View to a Kill (1985)
監督:ジョン・グレン
衣装:エマ・ ポーテウス
出演者:ロジャー・ムーア/クリストファー・ウォーケン/グレイス・ジョーンズ/タニア・ロバーツ/アリソン・ドゥーディ
- 【007 美しき獲物たち】三代目ボンド=ロジャー・ムーアの最終作
- 『007 美しき獲物たち』Vol.1|ロジャー・ムーアとデュラン・デュラン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.2|ロジャー・ムーアとルイ・ヴィトン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.3|ロジャー・ムーアとレザーブルゾン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.4|クリストファー・ウォーケンとカルティエ
- 『007 美しき獲物たち』Vol.5|クリストファー・ウォーケンとドルフ・ラングレン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.6|グレイス・ジョーンズとアズディン・アライア
- 『007 美しき獲物たち』Vol.7|グレイス・ジョーンズとジャン=ポール・グード
- 『007 美しき獲物たち』Vol.8|タニア・ロバーツという悲劇のボンドガール
- 『007 美しき獲物たち』Vol.9|タニア・ロバーツの80年代プレイメイトルック
- 『007 美しき獲物たち』Vol.10|アリソン・ドゥーディと取貝麻也子