エクスクラメーション
原名:Ex’cla.ma’tion
種類:オード・トワレ
ブランド:コティ
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:1988年
対象性別:女性
価格:不明
ボンドガール=ファムケ・ヤンセン現る!
コティは、1904年にフランソワ・コティ(1874-1934)により創業されました。フランソワは、19世紀末から20世紀はじめにかけて、香水を芸術の域にまで高めた三大調香師の一人といわれる人です(他の二人は、エメ・ゲランとウビガンのポール・ パルケ)。ロリガン(1905)、シプレ(1917)、エメロード(1921)といった香りを創りだした人です。
偉大なるフレグランス・ブランドであるコティは、フランソワの没後、1963年にファイザーの傘下に入ります(90年代はじめまで)。この時期に発売されたのが「エクスクラメーション」です。「(突然発する)感嘆の声」という意味を持つこの香りは、1988年にソフィア・グロスマンにより調香されました。
別名、「クイーン・オブ・ドラッグストア」とも呼ばれるこの香りは、1990年代において、アメリカのティーンエイジャーの少女たちに最も売れた香りのひとつでした。
「さぁ、言葉を使わずにあなたの感情を私に伝えて!」というキャッチコピーと共に、ファッションモデル時代のボンドガール=ファムケ・ヤンセンが登場するCFが、もうストック・エイトキン・ウォーターマン臭たっぷりでとんでもなくバブリーで素敵です!
女帝ソフィア・グロスマンを知る入門編
1990年代当時のアメリカのティーネイジャーのハートを鷲掴みにした「エクスクラメーション」の香りは、ラクトニックなピーチとアプリコットが、クリーミーなバニラとムスクの風に乗ってやって来ます。ピーチとアプリコットは、この香りのゆりかごから墓場までです。
やがて、ヘリオトロープ、オリスルート、ローズによるアメリカ製コスメまたはヘアスプレーのようなパウダリーな芳香が襲来してきます。10代の少女の洗練されていない厚化粧のような香りです。そこに、みずみずしいリリーとジャスミンが、シレっと現れるのが、この香りの憎らしいところです。
それはまるで、放課後に厚化粧した若々しく、楽観的で、明るく、陽気なティーンエイジャーが、すごく知性的な会話をしているようなびっくりするようなギャップを生み出しています。
90年代にアメリカのティーンエージャーが愛した香りを、現在日本のティーンエイジャーの人々が嗅ぐと、別の惑星から来た香りのように感じることでしょう。しかし、90年代にティーンエイジャーだった日本人がこの香りを嗅ぐと、たちまちタイムマシーンの役割を果たすことになるでしょう。
そして、そういった体感が出来るのも、フレグランスという文化の楽しみ方の一つだと思います。
エクスクラメーションのマーク=!(ビックリマーク)をモチーフにしたボトルデザインが遊び心満点です。
この香りは女帝ソフィアによるランコムの「トレゾァ」を髣髴とさせ、遥かかなたにキリアンの「フローラル オブ イモータリティ」を感じることが出来る香りでもあります。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「エクスクラメーション」を「パウダリーローズ」と呼び、「これはソフィア・グロスマン特有の香り ――甘いウッディ・フルーツ調のヴァイオレット(イオノン)をたっぷり使って飾り立てたローズの香り、イヴ・サンローランの「パリ」から使われ出した―― を低予算で仕上げたもの。派手だし、粗さが魅力。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:エクスクラメーション
原名:Ex’cla.ma’tion
種類:オード・トワレ
ブランド:コティ
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:1988年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:ピーチ、アプリコット、ベルガモット、グリーンノート
ミドルノート:ヘリオトロープ、オリスルート、ローズ、ジャスミン、スズラン
ラストノート:バニラ、ムスク、サンダルウッド、アンバー、シナモン、シダー