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セルジュ・ルタンス

【セルジュ ルタンス】サンタルマジュスキュル(夢物語のサンダルウッド)(クリストファー・シェルドレイク)

セルジュ・ルタンス
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サンタルマジュスキュル(夢物語のサンダルウッド)

原名:Santal Majuscule
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/19,800円、100ml/30,140円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス

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甘やかな薔薇の花びらが、チョコレートの湖上に舞う。

©Serge Lutens

キミ、ピカソにその絵のために使用した絵の具の色や種類をいちいち尋ねるのかね?

セルジュ・ルタンス

セルジュ・ルタンスの「ブラック&ベージュ コレクション」より、2012年に発売された「サンタルマジュスキュル」は、フランス語で〝大文字のサンダルウッド〟の意味を持ちます。

オリエンタル・ウッディの香りは、クリストファー・シェルドレイクにより調香されました(2018年3月21日からは「コレクションノワール」のひとつとなる)。

サンタル ドゥ ミゾール」「サンタルブラン」に次ぐセルジュ・ルタンスの3つ目のサンダルウッド・フレグランスです。

甘やかな薔薇の花びらが、スパイスと蜜の世界を通り抜け、サンダルウッドの樹に囲まれたチョコレートの湖上に到達します。そして、ミルキーな薔薇の花びらに抱擁されるような、人肌に溶け込む香りを生み出してゆくのです。

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さぁ、今宵は283日目の夜だ!


別名千夜一夜物語の香り。282夜までしか存在しないこの物語の舞台は、サーサーン朝ペルシャ(226年-651年)です。奴隷との間に不貞を起こした妻の首を刎ねた王は、毎晩、街の娘を宮殿に呼び、一夜を過ごした翌朝、首を刎ねていました。

そんな王の悪癖を止めるために、大臣の娘シェヘラザードが名乗りを上げたのでした。そして、妹のドゥンヤザードが盛り上げ役をつとめながら、毎晩、王が夢中になる物語を話しました。結末を明日に延ばしながら、毎晩物語を話すことによって、街の娘たちの命は救われたのでした。

さぁ!283夜のはじまりはじまり。今宵も宮殿にサンダルウッドの香りは振り撒かれた。古代ペルシャにおいて、王の寝室を担当する奴隷たちは、物語に合わせて、サンダルウッドの香りにさまざまな香りをブレンドする役目を仰せつかっているのです。あなたは王であり、シェヘラザードなのです。

王の寝室の隣には、薔薇庭園が在ります。奴隷たちは、水をあげることを禁じられています。蜂蜜を含んだ水で育てないといけないのです。そして、この甘やかな薔薇が、静謐なるサンダルウッドから神秘的なスパイシーさ(シナモン、クローブ、ジンジャー)を引き出し、華やかなるものに変えてくれるのです。

しばらくすると滑らかなるビターカカオが現れます。さらにそこにブランデーをほんのひとさじ加えてゆきます。それはまるでシェヘラザードの話を盛り上げるドゥンヤザードの合いの手の様に、サンダルウッドとローズの甘さと凛々しさの境界線にクリーミーさとパウダリーさの見事なバランスを生み出しています。

ロマンティックな気分さえも生み出してくれる独特な香ばしさを放つ(グリューワインのような)チョコレートの香り。最初から最後までほのかに香るオレンジピールとイモーテルのスパイシーな余韻が、この香りをまた次の日もまといたくなる魔法を生み出しているのです。

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本当はこの香りは、「のび太」の香りだった。

©Serge Lutens

少年の魂は、いつも教室の天窓を通り抜け、夢の国を漂う。 やがて先生の厳しい声が、彼をこの世界へと引き戻す―「ルタンス!」 ノートに流麗な飾り文字で綴られた、空、花、狼、お姫様…。 白檀の香りは甘くほろ苦く、遠い日の情景のように。

セルジュ・ルタンス公式サイトより

この香りのイメージをつらつらと書いた後にこのようなお話をするのは申し訳ないのですが、セルジュ・ルタンス自身がイメージしたこの香りは、上記のようなストーリーではありません。それは「のび太」の香りでした。

時は、1952年の冬。少年セルジュは、夜中の吹雪によって生まれた一面の雪景色に心躍らせていました。幸いなことにまだ雪は激しく降っているという事実が、少年に、遅刻をしてもうまい言い訳が出来ると安心させるのでした。

20分遅れて到着した少年の釈明はまんまと受け入れられ、席に着席しました。先生は、フランスの地図を黒板に貼り、モン ジェルビエ ド ジョンをポインターで指しながら、チーズ片手に、説明しています。ストーブの温かさが、少年の安堵感を強め、フランスの地図に対する説明に倦怠を覚えさせます。

教室の窓から見える、雪景色を眺めながら、空想を張り巡らせ、退屈しのぎをしていました。そして、空想が最高潮に達し、さぁ、ここからが本番なんだ!と感じた瞬間に、「ルタンス君!スタンダップ!」という先生の叱り声が教室内にこだまするのでした。

グルマンよりもウッディなビターチョコレートの香りは、このほろ苦い想い出から生み出されたと、ルタンス自身語っています。

ローズとサンダルウッドの組み合わせは、果てしなく使い古されてきたものだった。人々は、同じことを繰り返すことによってその習慣に安心を覚える。それを私たちはスタイルと呼ぶ。私はこのスタイルというやつが、とてつもなく嫌いだ。だから、ここにココア・パウダーを投入したのです。

セルジュ・ルタンス

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香水データ

香水名:サンタルマジュスキュル(夢物語のサンダルウッド)
原名:Santal Majuscule
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/19,800円、100ml/30,140円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス


トップノート:ターキッシュローズ
ミドルノート:トンカビーン、ローズウッド
ラストノート:オーストラリア産サンダルウッド、ココア