アン フルール ド シャネル
原名:Une Fleur de Chanel
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:35ml/不明
シャネルのまぼろしの花園の香り

©CHANEL

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1998年のチェルシー・フラワー・ショー(1862年から開催されている世界最大のフラワーショー)にカメリアが咲き乱れる「ル・ボスケ・デ・シャネル」を、カール・ラガーフェルドがデザインしたことを記念して、同年、35ml限定で「アン フルール ド シャネル」が販売されました。
フレッシュフローラル・グリーンの香りは、シャネルの三代目専属調香師ジャック・ポルジュにより調香されました。フランス語で〝シャネルの一輪の花〟という意味を持つこの香りは、ホワイト・カメリア(白椿)をイメージして調香されました(正確には「ユヌ フルール ドゥ シャネル」が正しい)。
この香りは、一言で言うと、シャネルが生み出した〝白い花々の楽園〟です。
夢のようにはじまり、夢のように終わる香り

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やさしいもの憂いゆるやかなリズムに乗って、ピーチのような果実の香りとマグノリアのような甘くクリーミーな花の香りがグリーンノートに溶け合い、肌の上に庭園を作り上げるようにして、この香りははじまります。
あくまでも本物の庭園ではなく、土の存在を排除した理想の庭園を作り出そうという、自然が生み出す不快な香りを一切排除した香りです。ジャック・ポルジュという調香師の恐ろしさは、〝人工的な自然の香りではなく、あり得ないほどに心地よい自然の香り〟を、自然を再現することなく生み出せるところにあります。つまり彼の調香は、写実的ではなく、詩的であり、人工が自然を凌駕するシャネル的なのです。
すぐにほのかにきらめくアルデハイドと軽やかなアクアティックな雰囲気が加わりながら、ジャスミンとローズ、スズランのフローラルブーケが、やさしく甘く囁くように広がってゆきます。
やがてスパイスにより永遠の命を手にした花々の香りは、クリーミーなサンダルウッドと見事な調和を見せながら爽やかに花の香りを最後の瞬間まで失わずに消えていくのです。
夢のようにはじまり、夢のように終わる香りです。
「ガーデニア」に似た爽やかなフローラルの香りであり、抽象的な香りが主流であるシャネルにおいて、〝大自然の中のシャネル〟というムードは、かなり珍しく、日本でも根強いファンを持つ香りです。
世界中で、再販の声が止まず、2004年クリスマスに、シャネルのニューヨーク5番街のブティックで限定販売されました。
香水データ
香水名:アンフルールドシャネル
原名:Une Fleur de Chanel
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:1998年
対象性別:女性
価格:35ml/不明
トップノート:グリーンノート、柑橘系
ミドルノート:カメリア、ジャスミン
ラストノート:サンダルウッド