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ジバンシィ

【ジバンシィ】アマリージュ(ドミニク・ロピオン)

ジバンシィ
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アマリージュ

原名:Amarige
種類:オード・トワレ
ブランド:ジバンシィ
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:1991年
対象性別:女性
価格:100ml/21,450円
公式ホームページ:ジバンシィ

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LVMHグループに入った、新生ジバンシィの最初の香り

©Givenchy Beauty

©Givenchy Beauty

1977年にイヴ・サンローランが巻き起こした「オピウム」旋風は、ラグジュアリー・ファッション・ブランドが販売するフレグランスの概念を一変させました。

この香りにより、はじめて女性が自分のために購入する香水の数が、贈り物として贈られる数を上回りました。それは女性の社会進出に比例した流れであり、高級香水よりも、手の届くハイセンスな香水が爆発的に売れる時代の到来を意味しました。

一方、ジバンシィは、1957年に「ランテルディ」と1970年に「ジバンシィⅢ」を成功させたものの、新しい市場に対応出来るフレグランスを生み出せていませんでした。1980年に発売された「オードジバンシィ」も革新的なオーフレッシュでしたが、ヨーロッパ以外ではほとんどインパクトを与えていませんでした。

そんな中、1982年に、ジバンシィのパルファン部門がヴーヴ クリコ ポンサルダンに売却され、ユベール・ド・ジバンシィの弟ジャン=クロード・ド・ジバンシィから、ジャン・クティエールが社長を引き継ぐことになりました。そして彼は、ルール・ベルトラン・デュポンの社長であったジャン・アミックの協力を得て、1984年に、若き日のドミニク・ロピオンに「イザティス」を調香させたのでした。

1986年にヴーヴ クリコ ポンサルダンは、ルイ・ヴィトンに買収され、1987年にルイ・ヴィトンはモエ・ヘネシーと合併してLVMHが誕生しました。

LVMHグループ傘下になったすぐ後のジバンシィから、1991年に発売された「アマリージュ」は、ドミニク・ロピオンにより調香されました。この香りは、発売と同時に爆発的に売れ、今も絶大なる人気を誇っています。

一目惚れの感情を、熟れごろの白桃を祝福する白と黄の花のブーケ=フラワーカクテルで表現した香りです。〝Amarige〟という名の意味は、〝Mariage〟のアナグラムです(日本の市場向けに作られた、フランス語の〝愛(Amour)〟と〝結婚(Mariage)〟を組み合わせた造語という解釈も、とてもロマンティックで素晴らしいです)。

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世界中の花々に祝福される、ウエディングベルの香り

©Givenchy Beauty

©Givenchy Beauty

朝日を思わせるサニーノート、〝昇りたての太陽はなんと美しいことか。太陽は爆発するように朝の挨拶を投げかける〟とボードレールがロマンチックに読んだように、私は、日の出とともに開くガーデニアのような花を創造した。私はこの抽象的な再構築に、光と喜びを反映させたかった。太陽が花に変わり、ゴッホの注目に値する黄色い花が咲いた。

ドミニク・ロピオン

パイプオルガンの音色が静かに流れ出すように、明るく華やかなオレンジとレモンのフレッシュな香りからはじまります。すぐに、熟したピーチと温かみのあるプラムが軽やかなヴァイオレットの風に乗り、ふんわりと神父様の柔らかな声のように到来します。

そして清らかなカシュメラン・ムスクのウエディングベルが鳴り響くのです。スパイシーでフルーティでシプレ、バルサミコ、バニラといったリッチな甘さに心躍るようです。

(1/3を占めるヘディオンが爆発し、サリチル酸ベンジルとひとまとめになり)華やかなガーデニア、ジャスミン、ローズといったソフトでピュアな花々の祝福の拍手の中、ミモザの輝きに包まれながら、ウエディングドレスを着て歩くように、インドールを解き放つチューベローズが、バナナのようなイランイランをアクセントに、幸せいっぱいに開花していくのです。

そしてどんどん新郎へと近づいていくのです。ゆっくりとスモーキーなタバコのムーディーさと共に、サンダルウッドとシダー、トンカビーンの甘い新郎の朗らかな優しさに心まで温かくなるようです。

未来への希望と不安を感じさせる新緑の苦みと、世界は二人のためにあると錯覚させるとろけて匂い立つ花蜜が広がる中、最後まで色々な花々の祝福を受け止めていく、ワイン片手に、陽気な微笑みのシャワーの余韻に包まれていくのです。

プレシャスウッドのアコードを生み出すためにシャネルの「アリュール」でも使われているIFFのトリモフィックス(Trimofix)が使用されています。パワフルで拡散性のあるアンバーウッディノートに、ベチバーとスモーキーなタバコのニュアンスとわずかにムスクの香りを生み出してくれます。

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ピーチとチューベローズを中心にあなたの世界はまわる。

©Givenchy Beauty

「アマリージュ」は、欧米において、幸せを図る測定フレグランスだと言われています。今、幸せの絶頂にいる女性が身に纏うと、うっとりと夢見る心地よさを感じることが出来る一方で、幸せの中で、不安を予感している女性が身に纏うと、すべてが強く感じてしまうのです。

つまりは、あなたが〝歌姫〟になる香り、人生の主役に立つ香り。だからこそ、自分に自信が持てないときには、受け止めることが出来ない、歌声であり、花束であり、〝誤った賞賛〟となる香りなのです。

そしてこの香りが80年代的ではなく、90年代的なのは、美しく燃え上がる戦闘的なメイクアップを施した〝歌姫〟でありながら、メイクをナチュラルにした後、微笑みを絶やさない理想の奥様でもあるところからです。だからこそ「アマリージュ」は、どちらが本当の姿か混乱させる香りなのです。

私は「過剰摂取」という言葉が好きではありません。というのも、フォーミュラの美しさは、バランスを失うことなく素材を大量に摂取するアンバランスなバランスにあるからです。たとえば「アマリージュ」は、配合の50%が2つの主要なノート(恐らくヘディオンとイソEスーパー)で構成されており、一見アンバランスですが、実際のところ非常にバランスのとれた香水なのです。

ドミニク・ロピオン

ベッティーナ・ブラウス

ピエール・ディナンによるボトル・デザインは、ユベール・ド・ジバンシィのミューズでありファッション・モデルのベッティーナ・グラツィアーニのために、1952年にデザインした「ベッティーナ・ブラウス」からインスピレーションを得ています。そしてキャップとボトルの間にはウエディングリングがはめられています。

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ルカ・トゥリンが1つ星を付けた、本当の理由。

©Givenchy Beauty

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アマリージュ」を「命とりのチューベローズ」と呼び、「私たちはうっかり四つ星を献上しそうになった。かのドミニク・ロピオンがアマリージュのためにデザインした、石鹸風の青臭いタバコ・チューベローズの香調は間違えるはずも、忘れるはずもないものだ。しかしそれと同時に、胸が悪くなってしまうのも確かだ。たとえ何億分の一ほどのわずかな量でもわかる。まあ、他人の好みを受け入れるのは、いつでもむずかしい。食べ物、音楽、セックス、旅行などなど。もし大好きな香水だからという理由で、これを読んでいる方がいたら、家の中だけでお使いになる事をおすすめしたい。その場合、窓の桟にガムテープを貼るのを忘れずに。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。

『世界香水ガイド』で見逃されがちなのですが、トップ10リストというものが発表されており、『騒々しい香り』のトップ10に「アマリージュ」は入っています。

さらに冒頭のQ&Aページで、タニア・サンチェスが「アマリージュが1つ星なのはなぜ?巻末のトップ10リストに入っているのに?」という質問に対して、「アマリージュはすばらしい香水だし、技術的にもすぐれている。でも最高に騒がしい。それで私たちは気に入らなかったから1つ星にした。これが私たちなりの判断。」と回答しています。

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香水データ

香水名:アマリージュ
原名:Amarige
種類:オード・トワレ
ブランド:ジバンシィ
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:1991年
対象性別:女性
価格:100ml/21,450円
公式ホームページ:ジバンシィ


トップノート:オレンジ・ブロッサム、ピーチ、プラム、ネロリ、ブラジリアン・ローズウッド、マンダリン・オレンジ、ヴィオレット
ミドルノート:チューベローズ、ミモザ、ガーデニア、イランイラン、ジャスミン、ニセアカシア、カーネーション、レッド・ベリー、ブラックカラント、ローズ、オーキッド
ラストノート:サンダルウッド、アンバー、バニラ、ムスク、トンカビーン、シダー、プレシャスウッド