ラハトルクーム
原名:Rahat Loukoum
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:1998年
対象性別:ユニセックス
価格:不明
ディサローノ・アマレットとフォレノワールの香り
トルコ語で「味覚を愛撫する」と訳されるこのアーモンドの香りは、日暮れのボスポラス海峡のように甘く私たちの中に流れている。
ローズ、ミント、アーモンド、ピスタチオの繊細で透明感のあるパステル調の香りで、セルジュ・ルタンスは〝トルコの悦び〟の素晴らしさを再現しています。
官能的で滑らかなこのグルマンシルクは、粉砂糖(コンフェクショナーズシュガー)のヒントを含み、金刺繍を施したクッションにリクライニングして、白昼夢に没頭するよう誘います。
セルジュ・ルタンス公式サイトより
セルジュ・ルタンスは、1992年に元々書店があった場所に、レ・サロン・デュ・パレロワイヤル・シセイドーをオープンしました。この店舗限定の香りとして1998年に発売されたのが「ラハトルクーム」です(2014年に日本で限定発売されたこともあります)。
アーモンドとローズに絡み合う砂糖漬けされたチェリーを主役に据えた杏仁豆腐風グルマンの香りはクリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
現在この香りは、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
「ラハトルクーム」とは、〝ラハト〟がトルコ語で〝快適な〟を意味し、〝ルクーム=ロクム〟は、ローズウォーター・ミント・ナッツ(クルミ・ピスタチオ・アーモンド・ヘーゼルナッツ・ココナッツ等)で香りづけされたトルコの甘いお菓子ロクム=英語名ターキッシュ・ディライト〝トルコの悦び〟を意味します。
グルマン寄りの香りを作っているセルジュ・ルタンスが、徹頭徹尾、グルマンな香りを生み出したのが、この「ラハトルクーム」です。それは、フォレノワール(ブラックフォレストケーキ)とディサローノ・アマレットの香りです。
シェルドレイクがもっとも楽しんで生み出した香り
セルジュとの仕事は、マーケットを全く気にせず、ただ理想の香りを求める姿勢であり、その要求が本当に厳しく、とても遣り甲斐があります。シャネルの香りには、絶対的なひとつのテーマが存在します。それは人々に愛される香りを創造しようというテーマです。
一方、セルジュの香りには、そんなテーマは存在しません。彼は詩を作りたいのです。そして、彼の作品の中で最も遣り甲斐のある調香が出来たのは「ドゥース アメール」でした。
ちなみに、最も楽しんで調香出来た香りは、「ラハトルークム」です。
クリストファー・シェルドレイク
スプレーをひと吹きすると同時に、ワクシーなアルデハイドの中から、マラスキーノ・チェリーが弾けだすようにして、砂糖漬けされたチェリーの強烈な甘やかさが広がるようにしてこの香りははじまります。
すぐに、砕かれたアーモンドとバニラが粉雪のようにふりそそぎ、ディサローノ・アマレットが振りかけられたのようにチェリーをほろ酔い気分にさせ、メランコリーな物思いにふけさせるのです。このオープニングで活躍しているのは、アーモンドとチェリーの側面を持つパウダリーなヘリオトロープでしょう。
やがて目の前に豪奢なフォレノワールが現れる中、ウッディなバニラとタバコの風に包まれながら、ローズウォーターとムスク、そして、トンカビーンが注ぎ込まれ、杏仁豆腐というよりは、ゼリー状のロクムのミルキーな甘い余韻に満たされてゆくのです。
最初から最後まで薄っすらと背後に存在するサンザシが、消えていくような儚い爽やかな甘い余韻を倍加させてゆきます。
心が疲れているとき、少し悲しい気分、または壊れやすい気分のときに、振り掛けたくなる〝心を慰めてくれる香り〟です。セルジュ・ルタンスの「ルウーブ(牝狼)」ともよく比較される香りです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ラハトルクーム」を「パウダリー・キャンディ」と呼び、「セルジュ・ルタンスの香りの中で最も臆面もなくゴミのようなフレグランス。ベビーパウダーとチェリーシロップのような香りを漂わせたいのなら、これを身につけるのがいちばん。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ラハトルクーム
原名:Rahat Loukoum
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:1998年
対象性別:ユニセックス
価格:不明
シングルノート:ムスク、トンカビーン、バニラ、サンザシ、ヘリオトロープ、ローズ、アーモンド、アルデハイド、チェリー、ホワイトハニー、天然樹脂