ポートレイアル ウーマン
原名:Portrayal Woman
種類:オード・パルファム
ブランド:アムアージュ
調香師:アニック・メナード、ピエール・ネグリン
発表年:2019年
対象性別:女性
価格:不明
アムアージュを蘇らせた男クリストファー・チョンの最後の香り

©AMOUAGE

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クリストファー・チョン ©AMOUAGE
社会の規範に敢然と立ち向かう人、「ポートレイアル」は大胆な人のためのものです。劇的な社会変革の時代、そしてその時代に大衆文化の限界を超えて挑戦した人々からインスピレーションを得ています。新しい時代の到来と、それに伴う自由を反映しています。
クリストファー・チョン
オマーン帝国から誕生した高級香水ブランド・アムアージュが世界的なブランドになったのは、2007年にクリエイティブ・ディレクターに就任したクリストファー・チョン(元々バリトン歌手)の手腕によるものでした。
2019年4月に『ポートレイツ・オブ・ライフ』シリーズの第二部 第五章にあたる「ポートレイアル ウーマン」と「ポートレイアル マン」というペア・フレグランスをプロデュースしました。そして同年5月1日にクリストファー・チョンの辞任が発表されました。彼は13年間にわたり、50種類近くのフレグランスの創作に携わりました。
「ポートレイアル ウーマン」は、フロリエンタルの香りとしてアニック・メナードとピエール・ネグリンにより調香されました。ちなみに「ポートレイアル マン」はピエール・ネグリンが単独で調香しました。虹色に輝くパール仕上げのボトルには、ブルーのスワロフスキークリスタルがあしらわれています。
〝描写、役柄を演じること〟と名付けられたこの香りは、閉塞感に満ちた不毛の社会の檻から解き放たれ、それぞれの人々が持つ唯一無二の本質を追求する旅に出る、型破りなものにより、創造は成されることを描いています。
ちょうど、狂騒の1920年代のロンドンや、グルーヴィーな1980年代のニューヨークを連想させる〝自由への反抗〟へと浸ることができる香りです。
ボトルデザインに反射するボトルを選んだ理由は、SF、つまりサイエンスフィクションを表現したかったからです。まるでタイムトラベル、タイムトンネルに飛び込むような感覚です。同時に、この色合いは…まさに1920年代を感じさせます。また1980年代に流行した真珠も思い起こさせます。つまり、とてもアールデコ調なのです。
クリストファー・チョン
七色に輝くジャスミンの〝虹のファンタジア〟

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傲慢さ、パール、レース、そして喫煙。1920年代には喫煙が大きな文化でした。女性が公共の場で喫煙したのはこの頃が初めてでした。1980年代には、女性の喫煙文化が一気に広がりました。女性専用の特別なタバコもありました。バニラのような甘い味の、細くて長いタバコです。当時、喫煙はクールであること以上の何かを象徴していました。喫煙は解放の象徴だったと思います。
クリストファー・チョン
香水瓶にとって太陽は天敵である。しかしこの香りのボトルほど太陽と相性の良いボトルはありません。まるでボトルの中から虹が飛び出してゆきそうです。〝虹のファンタジア〟のはじまりです。
一切の制限のない、さまざまな色合いがきらめくジャスミンの輝きから〝虹の香り〟ははじまります。自然な植物の甘さと、野生のフレッシュな苦みと、艶めくインドール(糞尿臭)の中毒性など、繊細なジャスミンの七色の輝きに、身も心も翻弄されてゆきます。
すぐに、1920年代にヨーロッパを中心に大流行したイギリスのタバコ、クレイヴンAの香りが、ほのかなオマーン産フランキンセンスと混ざり合い、流れる水のように、退廃的な魅力を余すところなくジャスミンに注ぎ込まれてゆきます。そしてバニラリキュールも加わり、ほろ酔い気分にさせる、スモーキーな甘さに満たされてゆきます。
ジャスミンが持つ、美しく明るい白の貞淑さと、捉えどころのないダークな翻弄さが、香りの背景に、豊かに魅惑的に広がっています。
やがてジャスミンはエレミと遭遇し、滑らかなバターのようなチューベローズに転生します。インドでコブラさえも魅了し引き寄せてしまうこの魔性のクリーミーな煌めきが素肌にとろけて匂い立つのです。
ジャスミンを愛し、チューベローズを愛する人は、この香水について考えないようにしましょう。こんなに自由奔放なジャスミンとチューベローズの味を知ってしまったら、あなたは今まで知らなかった自分自身の一面を発見してしまうことになるでしょうから。
濃いメイクアップと露出度の多いファッションに身を包んでいて、妖艶で官能的でありながら、とてもエレガントで洗練されているのです。ミニスカートと脚の長さと絹のストッキングの色合いとスティレットヒールの高さ、メイクアップの濃さとジュエリーの存在の軽さのバランスが絶妙であり、美しい脚が、エレガントに女神級の輝きを生み出す、そんな〝ジャスミンとチューベローズの女神〟をトランプのクイーンの絵柄のように身に纏う香りなのです。
「ポートレイアル ウーマン」のタバコの香りが大好きです。時間がある時は「ポートレイアル マン」よりもこっちを付ける。男性の肌につけると非常に官能的で、タバコの香りがより際立つ。エレミが終盤から序盤へと導く流れが特に気に入っている。予想外の旅へと誘い、ベースノートでダークな香りを期待した瞬間に、エレミのおかげで再び爽やかな香りに戻るのだ。
クリストファー・チョン
香水データ
香水名:ポートレイアル ウーマン
原名:Portrayal Woman
種類:オード・パルファム
ブランド:アムアージュ
調香師:アニック・メナード、ピエール・ネグリン
発表年:2019年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:ジャスミン
ミドルノート:タバコ、バニラ、チューベローズ、オレンジ・ブロッサム
ラストノート:エレミ