リー・マーヴィン登場。
本作には、ジョニーのライバルのチノ役で、デビューしたばかりのリー・マーヴィン(1924-1987)が登場します。後にアメリカを代表するダンディズムを体現するスターになるのですが、当時の彼は、不良上がりの血の気の多い若手俳優でした。193cmの長身の海兵隊あがりのこの男は、撮影当時、実際に酔っており、カメラの外でもブランドへのに対抗心を剥き出しにしていました。
ちなみに、チノの率いるバイカー集団の名前ビートルズの名前からインスパイアされ、英国のロックバンド・ビートルズは名づけられたという伝説があるのですが、結成時には、まだ本作はイギリスでは上映禁止だったことも考えると信憑性はかなり薄いでしょう。
チノのファッションは、青と黄色のボーダーシャツ姿です。ボーダーシャツといえばフランスです。もともとは1858年3月27日にフランス政府により海軍の軍服として生産されたことからこのスタイルの歴史は始まります。ちなみにブルターニュ地方の漁師は、暖かくゆったりした3/4スリーブのボーダーシャツを長年着ていました。それは22本の青と白のストライプが、海に落ちても目立つという理由もありました。
1953年に結成されたヘルズ・エンジェルスのサンフランシスコ支部のリーダー・フランク・サジレク(エンジェルスのあの有名なデス・ヘッド・ロゴを考案した人)は、この時のリー・マーヴィンのボーダーシャツを購入して着ていました。
1960年のイヴ・サンローランのレザージャケット革命
当時クリスチャン・ディオールの主任デザイナーだったイヴ・サンローランは、1960年にハイブランドとして初めてレザージャケットを発表します。それはアリゲーターのレザーを使用したものでした。それはビート・ジェネレーションからインスパイアされたものでしたが、業界紙にも、顧客にも全く歓迎されないものでした。
しかし、後にカール・ラガーフェルドのシャネルや、ジャンニ・ヴェルサーチ、クロード・モンタナ、ジャン=ポール・ゴルチエが、レザージャケットをファッションショーで発表すると、たちまち、それはトレンド・ルックになりました。