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カイエデモード香水図鑑を応援する|2025年4月8日終日

2025年夏に9年目を迎えるカイエデモード香水図鑑。今年一年で、9年かけて作り上げてきた香水図鑑の完成を目指しております。2025年4月7日に、念願の『ルイ ヴィトン香水聖典』が完成しました。そんなカイエデモードの香水聖典の制作活動をはじめとする活動に対するご支援を、4月8日終日で募らせて頂きます。

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【ルイ ヴィトン】LV ラバーズ(ジャック・キャヴァリエ/カミーユ・キャヴァリエ)

ルイ・ヴィトン
©LOUIS VUITTON
ルイ・ヴィトン
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LV ラバーズ

原名:LVERS(LV Lovers)
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ、カミーユ・キャヴァリエ
発表年:2024年
対象性別:男性
価格:100ml/46,200円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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ファレル・ウィリアムスの幻のコムデギャルソンの香り

ファレル・ウィリアムス ©LOUIS VUITTON

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2018年3月にルイ・ヴィトンのメンズ部門のクリエイティブ・ディレクターに就任し、メゾン初の黒人デザイナーとして活躍していたヴァージル・アブローが、2021年11月28日に41歳の若さで逝去しました(2019年より心臓血管肉腫という癌と戦っていた)。

その遺志を継ぐものとして、2004年と2008年のコラボレーションを経験しているスーパースター、ファレル・ウィリアムス(1973-)が、2023年2月に迎えられました。

そんなファレルがルイ・ヴィトンの専属調香師ジャック・キャヴァリエカミーユ・キャヴァリエと共同で創造し、2024年6月19日に発売されたのが「LV ラバーズ」でした。

この香りはファレルにとって2014年にコムデギャルソンとコラボして創造した「GIRL」(調香師は「ワンダーウッド」のアントワン・リー)以来の香水プロジェクトとなります。

ちなみにファレルが最初に愛用していたのはラルフ・ローレンの「ポロ」でした。そんな彼がディオールの「ファーレンハイト」と出会い、その完全にオリジナルな香りに夢中になったのですが、暫く後に、フレグランスが嫌いになり、15年間一切付けなくなりました。

そんな彼が再びフレグランスを付けるようになったのは、2010年頃にパリのコレットの創立者兼クリエイティブ・ディレクターのサラ・アンデルマンと会ったことからでした。

挨拶と抱擁の最中に、彼女がつけていた香水の香りを嗅ぎ、その香りは何なのかと尋ねました。すると彼女は、コムデギャルソンの「ワンダーウッド」だと答えました。その瞬間から、ファレルはコムデギャルソンのフレグランスに夢中になりました。

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ファレルのデビューコレクションのテーマである〝太陽の光〟を香りに

©LOUIS VUITTON

©LOUIS VUITTON

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2023年6月にポンヌフをランウェイとして開催されたファレルのデビューショーのテーマとなった太陽の光は、私たちにインスピレーションを与え、そこからもたらされる光合成のイメージを香りで表現することにしました。光合成というと抽象的に聞こえるかもしれませんが、生命において光はすべての出発点なのです。

ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュード

はじめて公式に調香師としてルイ・ヴィトンのフレグランスの創造主として、ジャック・キャヴァリエの娘カミーユ・キャヴァリエがその名を連ねることになった「LV ラバーズ」は、〝太陽の光〟をイメージして生み出された香りです。

それは2023年6月にパリ最古の橋ポンヌフで行われたファレル・ウィリアムスのデビュー・コレクションのショーが終わった数時間後に、ショーに出席していた二人の調香師との4時間に渡る対話からはじまりました。

そしてショーのテーマであった〝太陽の光〟から〝光合成=太陽の光のしぶきから生まれる自然界のさまざまな光を使う〟というイメージで生み出されることになりました(対話の間中ファレルは「ステラータイムズ」を付けていた)。

まず最初に、ファレルは、ずっと惹きつけられていたフレッシュグリーンをもたらすガルバナムという香料の使用を提案しました。

かくして、ジャック・キャヴァリエは「クラシックな香水に使われてきた香料で、自然から切り離されたグリーンノートが特徴であり、私は長く使用を避けてきたが、ジンジャー・エキスをミックスすることにより、自然とのつながりが生まれていくことが分かった」と、1999年の「ブルガリ プールオム エクストレーム」以来、25年ぶりにガルバナムを主成分とする香りを生み出すことにしたのでした。

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ファレルの運命の香り「ワンダーウッド」を超える木の香り

©LOUIS VUITTON

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「LV ラバーズ」を香り最初に感じたのは、この香りの色がわかるということだった。ブルーとライトブルーで、パープルも少し入っている。レッドやバーガンディ、ブラウンは感じられない。甘さのあるカラーが感じられる。それは私にとって馴染みのあるものをエレガントに昇華させたような香りです。

ファレル・ウィリアムス

生き生きとした新緑の森を通り抜ける光と若草から滴る蜜を思わせる苦み走ったガルバナムと、フレッシュな果実の煌めきを思わせるベルガモットが、太陽に愛されるように温められ、ひとまとめになり、肌を包み込んでいくような、ボリュームのある感触からこの香りははじまります。

すぐに、躍動するジンジャーが注ぎ込まれ、光は生命における、すべての出発点であることを肉体に教えてくれるように、香りが、心と魂の中であらゆる感情を揺さぶらせるように、虹色のプリズムの輝きを放っていくのです。

最初から最後までこの香りに存在するムード、それは、大自然に隣接したラグジュアリー・リゾートに滞在するためにチェックインしているような優雅な高揚感です。

そして最後に、アーシィーでスパイシーなシダーウッドとミルキーなサンダルウッドに到達した光は、木漏れ日がきらめくよう、肌をやさしく照らす太陽の感触で満たしてくれます。この部分こそ、フレグランスから15年間距離を置いていたファレルが一瞬で、再びフレグランスに夢中になるきっかけとなった「ワンダーウッド」の感覚の再現部分なのです。

ファレルが、幼少期を過ごしたバージニア州のシダーウッドの精油が使用されています。

ルイ・ヴィトンのブティックを訪問する人々の中で、フレグランスに興味がない人に対して、さらに、スタッフの中でフレグランスが興味のない人に対して、〝新しいボトルの中の太陽の光〟で魅了していくれる香りとも言えます。

そういう部分においては、この香りは、ルイ・ヴィトンのフレグランス・コーナーを照らす太陽と言っても差し支えないでしょう。この香りから、ルイ・ヴィトンの香りの旅がはじまるのです。

マーク・ニューソンがデザインしたお馴染みのボトルも、ルイ14世時代のブルボン朝を思わせる、太陽神のようなプリズム仕上げにより、虹色の光を放つ唯一無二の輝きに満ちたものとなっています。

キャンペーン・フィルムで流れている曲はボビー・コールドウェルの「Open your eyes」です。

恐らくこの香りの裏テーマは、世界的な人気を誇るル ラボの「サンタル33」を打倒することなのでしょう。「サンタル33」を愛用している人が浮気したくなる要素を最低5つは上げることが出来る、サンダルウッドの傑作です。

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香水データ

香水名:LV ラバーズ
原名:LVERS(LV Lovers)
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ、カミーユ・キャヴァリエ
発表年:2024年
対象性別:男性
価格:100ml/46,200円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


トップノート:ガルバナム、ベルガモット
ミドルノート:ジンジャー
ラストノート:サンダルウッド、シダーウッド