究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
その他のブランド

【クリツィア】クレイジー クリツィア(ドミニク・ロピオン)

その他のブランド
©Krizia
この記事は約5分で読めます。
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

クレイジー クリツィア

原名:Krazy Krizia
種類:オード・トワレ
ブランド:クリツィア
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:1991年
対象性別:女性
価格:不明

スポンサーリンク

ホットパンツを発明したファッション・ブランドの香り

1971年に発表されたホットパンツ ©Krizia

アニマルシャツ、1974年 ©Krizia

1989年に発表されたラップミニ ©Krizia

©Krizia

戦後間もない1950年にイタリアでマリウッチア・マンデリ(1925-2015)が創業したファッション・ブランド、クリツィアから1991年に発売された「クレイジー クリツィア」は、ドミニク・ロピオンにより調香されました。

クリツィアというブランド名は、古代ギリシアの哲人プラトンの、アトランティス伝説のはじまりとして有名な未完の後期対話篇『クリティアス』から採られています。

1964年に、フィレンツェのピッティ宮殿で行われたアルタ・モーダ・プロンタで展示会を開催し、クリツィアはイタリアのファッション界で台頭してゆきました。

そして1971年1月にカプリ島で、誰もがロングスカートを履いていた時代に、〝世界でもっとも短いショートパンツ〟を発表し、「ホットパンツ」の発明者として世界的な脚光を浴びることとなります(当時、バーグドルフ・グッドマンはこのパンツを「クールパンツ」と呼んでいた)。

以後、ミラノを拠点とし、富裕なジェットセッターのアメリカ人女性をターゲットに、快楽主義に傾倒したセンセーションを狙う明るい色彩と自由度の高い作品で「クレイジー・クリツィア」と呼ばれるようになりました。

シーズンごとに異なる動物の空想的な絵が描かれたアニマルセーターをハイファッションに齎したことでも有名になりました(ダイアナ元妃も愛用していた)。マリウッチアは「とても短いか、とても長いか。タイトか、ルーズか。」といった極端さに惹かれるデザイナーでした。

1970年代にはミッソーニ、エミリオ・プッチ、フェンディ、フェラガモ、ヴァレンティノと並ぶイタリアン・ブランドの地位を確立しました。カール・ラガーフェルドアルベール・エルバスもキャリアの初期をここで過ごしました。絶頂期の1990年代には、年間5億ドルの売り上げを誇るブランドとなりました。

ちなみに80年代はじめに発表したプリーツ・ドレス『カーネーション・ドレス』のアイデアは、イッセイミヤケが1993年にスタートしたPLEATS PLEASE ISSEY MIYAKEに多大なる影響を与えました。

1981年から香水を発表しているクリツィアが、満を持して発表したのが「クレイジー クリツィア」でした(最初の香り「ケイ デ クリツィア」は、モーリス・ルーセルにより調香されました)。

スポンサーリンク

80年代の映画の中でよく登場していた「クリツィア」

『赤ちゃんはトップレディがお好き』(1987)のダイアン・キートン

『ウォール街』(1987)のダリル・ハンナ

スポンサーリンク

人々の視線を吸い寄せてしまう高嶺の花、かまきり夫人の香り

©Krizia

ルカ・トゥリンが「ある意味、イタリアのイヴ・サンローラン(YSLほど革新的ではないけれど)。その香水は80年代の前半に驚きの声で迎えられた」と言及しているクリツィアから1991年に発売された〝クレイジー〟な香りは、とてつもなく激しいガルバナムとアルデハイドの〝緑の爆発〟からはじまります。

まさにクリツィアというブランドを象徴する〝衝撃波〟に、心がさらわれそう(または折れそう)なそのすぐ後に、イタリアの太陽のようなオレンジ、ベルガモット、レモンの贅沢なシトラスシャワーが満ち広がってゆきます。

そして、あの娘はやって来たのです!ミルキーなピーチの香りに包まれた白いボディコンシャスドレスを着た、スティレットヒールと黄金とダイヤモンドのジュエリーと小麦色の肌で武装したスーパーモデル風80年代美女の登場です。

シトラスとピーチが交わり合いアップルのような爽やかさで包み込んでゆく中、スパイシーなカーネーションとチューベローズ、ローズ、ジャスミン、スズランといった花々が、華やかに甘やかに、素肌の上で、耽美的に花を咲かせてゆくのです。

やがて満ちるバニラと共に、アンバー、トンカビーン、(チョコレートのような)パチョリが溶け込み、小麦色の素肌に、フルーティで香ばしいアーモンドバニラに蜂蜜を垂らして引き延ばしていくようなオリエンタルの艶やかさと共に、シベットとラブダナムが、悪魔のような囁きを深紅の唇から解き放っていくのです。

まさに、夜にゴージャスなドレスに身を包んでいた女性が、次の日のお昼に、ホットパンツ姿で、リゾート地にあるイタリアンレストランに向かっているような、息をのむほど美しい、あざとさを超越した、人々の視線を吸い寄せてしまう高嶺の花、かまきり夫人の香りです。

ピエール・ディナンがデザインしたボトル・デザインが個性的です。よくカルバン・クラインの「オブセッション」やカルティエの「マスト ドゥ カルティエ」と比較される香りです。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:クレイジー クリツィア
原名:Krazy Krizia
種類:オード・トワレ
ブランド:クリツィア
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:1991年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:ガルバナム、マンダリン・オレンジ、ベルガモット、バジル、アルデハイド、レモン、ピーチ、グリーンノート
ミドルノート:カーネーション、ジャスミン、ローズ、スズラン、チューベローズ
ラストノート:アンバー、トンカビーン、サンダルウッド、バニラ、シダーウッド、パチョリ、シベット、ラブダナム