ジャドール イン ジョイ
原名:J`Adore In Joy
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:30ml/7,150円、50ml/11,000円、100ml/15,950円
大粒の涙を流した後の〝歓びのジャドール〟
1999年にディオールが、アン・ゴットリーブの指揮の下、カリス・ベッカーにより生み出した「ジャドール」は、ノストラダムスの大予言を覆しました。それは恐怖の大王ではなく、世紀末の世に、愛を生む〝愛の女神の降臨〟として、ディオールの世紀末救世主伝説と呼ばれるほどのセンセーショナルなデビューを飾りました。
そして時が経ち、メゾン創立60周年、ジョン・ガリアーノ就任10周年を記念して、2007年に作られた≪完全無欠の≫ジャドール「ジャドール アブソリュ」が、ディオールの初代専属調香師に就任したてのフランソワ・ドゥマシーにより調香されました。その名の〝アブソリュ〟の通り、チューベローズ、イランイラン、ダマスクローズ、サンバックジャスミンといった4つの花々のアブソリュートがふんだんに使用されている実に華やかな香りでした。
さらに2010年には、黄金の輝きを与えた「ジャドール ロー」が、オード・パルファムよりさらに濃厚なエッセンス・ドゥ・パルファムとして誕生しました。その3年後の2013年に登場したのが、「ジャドール ヴォワル ドゥ パルファン」でした。その名も〝ジャドールのヴェール〟。香りのヴェールを身に纏うようなパウダリーなジャドール。このジャドールのディーバはアイリスでした。
そして、4年後の2017年4月7日に発売されたのが「ジャドール イン ジョイ」です。〝歓びのジャドール〟と名付けられたこの香りの主人公は、塩気のあるマダガスカル沖の小さなノシベ島に咲くイランイランです。「イン ジョイ」のために、このイランイランを特別にグラースに空輸し、水蒸気蒸留法で抽出した最高級のグレードのものが使用されています。
魔法のピーチ=ファジーネーブルに溺れる香り
潮風と塩水に愛されるジャドール。それは荒波の海ではなく、太陽の煌めきを受け止めるエメラルドブルーの海と白い砂浜のゆらめきを思わせる非常に贅沢な〝天に愛された塩=天日塩〟を全身に浴びるような感触からはじまります。そこにはマリンノートとまではいかないのですが、少しキューカンバーなニュアンスも感じられます。
すぐに青々と色づくジャスミンと太陽に愛でられたイランイラン、溌剌としたネロリによるフローラルブーケが甘やかに広がってゆきます。ソルティーな甘さという繊細な花々の息吹を全身で受け止めながら、ピーチメルバを素肌で味わうように〝黄金桃〟の果蜜が、フルーティな華やかさを、溶かせて、匂い立たせてゆくのです。
〝JOY=ジョイ〟と名付けられた香りであるにもかかわらず、頬を伝う涙のような塩気を感じるのはなぜでしょうか?それは恐らく、哀しみの涙がメイクを洗い流した後、素顔に戻ったあなたは喜びの涙を手にすることになるという〝JOYを呼ぶ涙〟というロマンティックかつ官能的なテーマを秘めているからなのではないでしょうか。
ビジュアルのイメージのように、もぎたての桃が水で洗われ、食べ頃になるように、大人の女性が、海水に洗われ、10代から20代前半の頃のように、ピチピチと弾けていく〝大人の女性の中に眠る若さ〟を引き出してくれる〝魔法のピーチ=ファジーネーブルに溺れる香り〟とも言えます。まさに素肌と心にうるおいを与えてくれる〝若返りのジャドール〟です。
キャンペーン・モデルは、2004年からの〝ミス・ジャドール〟シャーリーズ・セロンです。撮影は、ジャン・バプティスト・モンディーノです。ピーチゴールドのジャドール・ボトルも香りのイメージを見事に表しています。
香水データ
香水名:ジャドール イン ジョイ
原名:J`Adore In Joy
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:30ml/7,150円、50ml/11,000円、100ml/15,950円
トップノート:フルール・ド・セル(天日塩)
ミドルノート:ジャスミン・サンバック、マダガスカル産イランイラン、チューベローズ、ネロリ
ラストノート:ピーチ