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【グタール】ガーデニア パッション(アニック・グタール)

アニック・グタール
©Goutal Paris
アニック・グタール
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ガーデニア パッション

原名:Gardenia Passion
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1989年
対象性別:女性
価格:日本未発売

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アニックが、京都の日本庭園で遭遇した梔子の香り

©Goutal Paris

1980年代に夫と京都を訪れたアニック・グタールが、高台寺の日本庭園でガーデニア(クチナシ)に遭遇し、一瞬にしてこの花の不思議な魅力に取り憑かれました。すぐに滞在先のすぐ傍の塀の上にもこの花が咲いていることを知り、夫に「この花は本当に素晴らしい」と話していると、なんと彼は塀によじ登り、そのクチナシをアニックに手渡したのでした。

エッセンスが抽出できない〝ミュート(無言)の花〟と呼ばれるガーデニアをテーマに、1989年に生み出したのが「ガーデニア パッション」でした。

雨上りの新緑の中に咲く白いくちなしの花の風情からこの香りははじまります。それは朝露を含んだ葉のみずみずしい苦味とアーシィーなオークモスと共にやって来ます。そこに華やかな気分にさせるインドールの効いた明るく酔わせてくれるジャスミンも加わります。

すぐに朝霧が晴れるようにグリーンノートが薄れる中、チューベローズがバターのようなクリーミーさとナッツのような香ばしさを放ちながら、くちなしそのものの甘さを解き放ちます。さらに、フレッシュなオレンジ・ブロッサムが溶け合いソーピィーな感触も感じさせてくれます(記憶の片隅に存在する新緑の輝きのように、トマトの葉の香りも息を吹き返します)。

やがて、肌の上に完全に着地したホワイトフローラルの輝きは、ミルラとバニラにより、しっとりとした甘さを湛えながら肌を洗練された情熱で磨き上げてくれるのです。

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雨上りのガーデニア=梔子そのものの香り


「ガーデニア パッション」は、アメリカでのみベストセラーです。アメリカの女性はガーデニアが大好きで、それは現地でもよく見られる花です。また、ローズもそうです。一方、日本に行くと、ローズの美しさは好きだけど、重い香りは好きじゃないと言う方も多いです。

ブリジット・テタンジェ(アニック・グタールCEO、1991~2012)

気品の中に潜む妖艶さを感じさせてくれるチューベローズ=ガーデニアの香りです。メタリックな甘いバニラが、シルクのような滑らかさを伴い、クリーミーでゴージャスな香りを広がらせていく、そんな本物のガーデニアの〝空気感〟を見事に捉えています。

オールド・ハリウッドの白黒映画時代のホワイトドレスを着た女優の姿を連想させるゴージャスさを感じさせる一方で、日本の京都の雨上りの庭園をも感じさせる、まさに洋服を着た60年代の司葉子様の〝きらめくような清潔感の中から感じる芯の強さ〟そのものの香りです。

晴れやかな笑顔の似合う女性が、ニュールック風のワンピースを着ているような清潔感に満ちています。その清清しさは、無菌状態の人工的に作られた〝クリーン〟な感じではなく、自然の庭に咲く白い花の甘い空気感から生み出されている清清しさです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ガーデニア パッション」を「野菜風チューベローズ」と評し、「ボンドナンバーナインの創業者ローリス・ラメは、長年アメリカでアニック・グタールの販売をしていたことがある。あるとき、グタール側にアメリカ人女性向けにこのフレグランスを作るようすすめた。アメリカの女性はガーデニアが好きだからだ。」

「ところがアニックは、言うとおりにしなかったらしい。ガーデニアパッションの蓋をあけてみればチューベローズ。しかもいいかげんに苦いグリーンの葉でおおってごまかしたのだ。赤いサテンのドレスをまとった招かれざる客が、シダの茂みをくぐって潜りこもうとしているみたい。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ガーデニア パッション
原名:Gardenia Passion
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1989年
対象性別:女性
価格:日本未発売


トップノート:ガーデニア、ジャスミン
ミドルノート:チューベローズ、オレンジ・ブロッサム
ラストノート:バニラ