ファンフェア イヴニング
原名：Funfair Evening
種類：オード・トワレ
ブランド：メゾン マルジェラ
調香師：ジャック・キャヴァリエ、マリー・サラマーニュ
発表年：2012年
対象性別：女性
価格：10ml／4,180円、30ml／9,020円、100ml／18,150円
1994年のサンタモニカの移動遊園地の香り
©Maison Margiela
移動遊園地の雰囲気は最初にひと吹きした瞬間から現れます。 柔らかく広がっていくスイーツの香り、それはキャラメルとオレンジ・ブロッサムで作られたマシュマロアコードに、アップルとスターアニスのノートが溶け合い現れます。
本当に美味しそうな、生き生きとしたグルマンの香りを生み出すためには、コントラストが豊かでなければなりません。ここでは、ムスクやアンバーのような香りと安らぎを与えるほろ苦いプチグレンがファンフェアの夜を彩ります。
オレンジ・ブロッサムが、主にグルマンノートとして使用されているのは、その水が何世紀にもわたってアラビア料理に使用されてきたことを考えると興味深いものです。 この軽やかにフローラルでほんのり柑橘系のフレッシュなノートに、スターアニスなどのお菓子の香りを入れると、すぐに溶けこみます。 仕上げはこれらすべてのスイーツにコットンとアンバーの背景を与えることです。それは心地良い記憶を引き出してくれることでしょう。
ジャック・キャヴァリエ
メゾン マルジェラの「レプリカ」（Line③）フレグランス第二弾として、2012年10月10日に発売された3種類の調香師は、すべてジャック・キャヴァリエとマリー・サラマーニュです。
それぞれの香りが、人生のさまざまな瞬間を思い出させる、「ある年」の「ある場所」をテーマにした香りになっています。そのうちのひとつ「ファンフェア イヴニング」は、1994年のアメリカ合衆国・ サンタモニカの夜の移動遊園地をイメージした、甘い空気を感じさせる香りは、始まりから終りまで徹頭徹尾スイーツビュッフェを連想させる香りです。
ちなみに1994年という一年は、2月にリレハンメル冬季オリンピックが開催され（トーニャ・ハーディングとナンシー・ケリガンの騒動が話題に）、4月から100日間で100万人が大虐殺されるというルワンダのジェノサイドが起こりました。
5月1日にはアイルトン・セナがサンマリノGPで事故死し、10日には、ネルソン・マンデラが南アフリカ共和国初の黒人大統領となりました。さらに6月27日には、オウム真理教による松本サリン事件が起こり8人の死者を出しました。
ルイ・ヴィトンの「カリフォルニア・コレクション」へと続いていく…
サンタモニカの夜の遊園地
〝ファンフェア イヴニング＝移動遊園地の夕べ〟は、綿菓子のような美味しそうなマシュマロ（キャラメルとオレンジ・ブロッサムによる）と砂糖を振り掛けたポップコーンの甘さからはじまります。パウダリーとクリーミーが絶妙な甘いバランスの中から、だんだんとスパイシーなスターアニスやフルーティなトフィー・アップルと洋ナシが感じられるようになります。
すぐにやさしくふんわりとフルーティなグルマンに導かれる夏の夜の温かい遊園地に浮かぶカラフルなネオンを思わせる陽気なムードの中に、ピンクのローズウォーターが注ぎ込まれてゆきます。
やがてリップスティックを思わせるローズと、クリームソーダを思わせるチューベローズの香りが広がり、サンタモニカのムスクの潮風に乗って聞こえる笑い声を思わせる享楽と官能の渦で満たしてくれます。
「レプリカ」のフレグランスに共通していること、それは、香りが主役ではないということです。あくまで香りは記憶を呼び覚ますスイッチなのです。そのため香りは、あえて複雑に変化しないように作られています。心地よいムードの中でまどろむように香りの余韻を楽しむ類のフレグランスなのです。
この香りでジャック・キャヴァリエは、若い世代にしてオレンジの香りを作る名手マリーと競演したことにより、彼女から感化を受け、ビターオレンジの愛し方をより深く知るようになるのでした。
そのレジェンドになってもなお若い世代から吸収すようとする謙虚な姿勢が、ルイ・ヴィトンの専属調香師として後に生み出すオレンジの傑作「ルジュール スレーヴ」と「カリフォルニア ドリーム」、「メテオール」へと紡がれていかれるのでした。
香水データ
香水名：ファンフェア イヴニング
原名：Funfair Evening
種類：オード・トワレ
ブランド：メゾン マルジェラ
調香師：ジャック・キャヴァリエ、マリー・サラマーニュ
発表年：2012年
対象性別：女性
価格：10ml／4,180円、30ml／9,020円、100ml／18,150円
トップノート：プチグレン、アップル、洋ナシ、スターアニス、ネロリ
ミドルノート：モロッコ産ローズ、チューベローズ、オレンジ・ブロッサム
ラストノート：アンブロキシド、ホワイト・ムスク、タヒチアン・バニラ、キャラメル