エデン ロック
原名:Eden-Roc
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:40ml/19,140円、125ml/39,600円、250ml/55,880円
公式ホームページ:ディオール
〝岩の上の楽園〟と呼ばれる、コートダジュールの名門ホテルの香り
ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」という3種類の香りからはじまりました。そして、2009年に「アンブル ニュイ」が発売され2017年までコンスタントに新作がリリースされていました。
このコレクションが、2018年に「メゾン クリスチャン ディオール」として一新されました。そして、2021年7月9日に南仏・コートダジュールの名門ホテル「オテル・デュ・キャップ エデン=ロック(岩の上の楽園)」の150周年を記念して「エデン ロック」が発売されました。
地中海の開放的なムードの中、海からホテルへ向かう道のりをロマンティックに表現するこの香りは、ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。
オテル・デュ・キャップ エデンとディオールのつながり
アンティーブ岬にあるこのホテルは、ロシア人の貴族によって1870年2月26日に、芸術家や作家の隠れ家を作ろうという目的で作られました。しかし、何年か経ち、放置されていたこの大邸宅を1889年に、若きホテル経営者アントワーヌ・セラが、「オテル・デュ・キャップ」の名でリニューアルオープンしました。
クロード・モネもこの頃訪問し、このホテルに魅了されました。1914年に海辺にエデン・ロック・パビリオンを作り、マハラジャや芸術家達に愛されるようになりました。この〝エデン・ロック〟の名は、1868年に作家のジョルジュ・サンドがかの地を訪れた時、「私たちはエデンの園にいる…詩人の楽園だ」と書き記したことから命名されました。
この頃から冬の避暑地だったフレンチ・リビエラは、夏にも適した避暑地だと考えられるようになりました。ジョージ・バーナード・ショーやアーネスト ヘミングウェイ、F. スコット フィッツジェラルド、マルク・シャガール、マレーネ・ディートリッヒ、リタ・ヘイワースなどにも愛され、さらに映画俳優のタイロン・パワーもフランス人の当時の妻である女優アナベラの影響でかの地を愛しました。
1987年に「オテル・デュ・キャップ エデン=ロック」に改名されました。そして、この年第14回フランス・アフリカ首脳会議の開催の栄誉を授与された際、フランス大統領フランソワ・ミッテランとフランス首相ジャック・シラクが宿泊しました。
2011年には、〝このホテルは世界でも最もラグジュアリーなホテルの一つだ!〟と断言したカール・ラガーフェルドにより、シャネルの2011/2012クルーズ・ショーの舞台としてこのホテルが貸し切られました。
さらに同年ディオールは、ジュード・ロウを主人公に「ディオール オム スポーツ」キャンペーンフィルムの舞台としてこのホテルを選びました。
2015年には、同じくディオールの「ミス ディオール」のミューズ、ナタリー・ポートマンを主役にしたキャンペーン・フィルムの舞台としては、束縛されることを嫌う自由な精神を持つミューズが、ウエディングドレスを脱ぎ捨て、公園を横切り、ヘリコプターに乗り込み、きらめく地中海の上を去ってゆく映像が作られました。
反論の余地のないシンプルさで、自然の美しさを表現する
海からホテルへと到着する光景をイメージしながら、新作フレグランス「エデン ロック」を創りました。塩、太陽、白い岩、青々とした緑の庭園がインスピレーションの源。これはアンティーブ岬の類いまれなロケーションを描写した香りです。そのアコードには、潮風、花々、シトラスフルーツ、アロマティックな香り、そして海辺の松の木といった地中海のストーリーが綴られています。
オテル・デュ・キャップ エデン=ロックはラグジュアリーの伝説であり、その空気には極上の洗練と優雅なシンプルさが息づいています。香水は肌に纏うことでいきいきと香り立ち、美しい場所もまた人がいて初めて息吹が吹き込まれるもの。エデン ロックよ永遠に!
フランソワ・ドゥマシー
地中海で、肉体が愛される三つの要素、それは太陽の光と、涼やかな松の木、そして心の澱みを洗い流してくれる海の水、それらを三つの彩やかな色=イエロー、グリーン、ブルーに託し生み出されたのが「エデン ロック」です。何よりもこの香りが大切にしているのは、ラグジュアリー・リゾートに絶対必要な要素である〝静けさ〟です。
ラグジュアリーがラグジュアリーである所以は、照明を暗くしてリュクス感を演出したりすることが出来ない、陽の当たる場所で、隅から隅まで遮るものなく、なにひとつ隠すことが出来ない突き抜けた解放感にあります。つまりは、この香りの精神は、〝遮るもののない風通しの良さ〟なのです。
ブルーサファイアやターコイズ、ブルーガーネット、パライバトルマリン、タンザナイト、ラピスラズリ、アイオライト、ブルートルマリンといった青い宝石の輝きをちりばめたような、紺碧の地中海とひとつになるインフィニティ・プールが反響し合うように、(レモンかベルガモットかオレンジか認識できない)エデンの園の柑橘が弾ける、涼しげな潮風と穏やかな波のしぶきの香りからこの香りははじまります。
まさにブランドが発信するイメージである〝舌の先に置かれた海塩の結晶〟という表現がぴったりな幕開けです。ここから〝ファー・ニエンテ・アコード〟とドゥマシーが名付けた香りが到来します。ちなみに〝ファー・ニエンテ〟とは、イタリア語で〝何もしない心地良さ〟を意味します。
すぐに純粋でリラックスした、雲ひとつない太陽を思わせる甘いココナッツとパウダリーなジャスミンが、ソルティーなシトラスとひとまとめになりミネラルを含んだ香りを、素肌の上にゆったりと着地させてゆきます。
まるで地中海の太陽に温められた岩の上の楽園と呼ばれるこのホテルで、美しくハンサムな給仕が持って来てくれた冷たいマリブが入ったトロピカルカクテル片手に、休暇を過ごしているような感触に満たされていきます。
やがてホテルを取り囲むアレッポマツの庭園(実際のホテルには100人の庭師が雇われています)のアロマティックな香りがラブダナムのナッツのような甘さをほんのり従えながら、〝反論の余地のないシンプルさで、自然の美しさを表現する〟そんな涼やかな余韻で包み込んでくれます。
余裕のある大人のための香りです。
香水データ
香水名:エデン ロック
原名:Eden-Roc
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:40ml/19,140円、125ml/39,600円、250ml/55,880円
公式ホームページ:ディオール
トップノート:シーソルト、ミネラルノート、シトラス
ミドルノート:ジャスミン、ココナッツ
ラストノート:パインツリー、ラブダナム