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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ディオールオム(オリヴィエ・ポルジュ/フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
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ディオール オム

香水名:ディオール オム
原名:Dior Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2005年
対象性別:男性
価格:50ml/7,350円

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エディ・スリマンのディオールオム革命

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(1995年から2004年にかけて)ディオールのパルファム部門のグローバル・マーケティング・ディレクター、サビーナ・ベッリは、1999年に「ジャドール」により見事アメリカ市場を再度席巻することに成功しました。その勢いの中、1997年に「デューン プールオム」が果たせなかった、メンズ・フレグランス市場へ再挑戦したのが、2001年に発売された「ハイヤー」でした。しかし、期待していた成功を収めることは出来ませんでした。

あまり知られていないのですが、2001年(2001-2002秋冬のパリコレクションから)よりクリスチャン・ディオール初のメンズ・ライン、ディオール・オムをスタートさせたエディ・スリマンがこの香りに深く関わっています。彼は元々1997年にイヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュのメンズラインのクリエイティブディレクターに抜擢されるも、2000年にイヴ・サンローランがグッチ・グループに買収され、ディオールに移籍することになりました。

ディオール・オムが社会現象と言えるほどに大旋風を巻き起こし、2003年夏に3年間の契約延長をし、メンズフレグランスのクリエイティブ・ディレクターも兼任することになりました。かくして「ハイヤー」に引き続きエディ・スリマンが関わった香りが、ディオール・ラ・コ レクシオン・プリヴェの「ボア ダルジャン」、「オー ノワール」、「コロン ブランシュ」の3つのユニセックスの香りでした。

そして、この延長線上で生み出されたディオール・オム初のメンズ・フレグランスが「ディオール オム」でした。それはエディが調香界の若き貴公子オリヴィエ・ポルジュとタッグを組み「21世紀に新たに付け加えられた男性にとってのエレガンスの最後のアイテムとしてのコロンの一提案」として創造されました(IFFにより製造された)。

アイリスを男性用フレグランスのために使用すべく、シャネルのNo.19からヒントを得た画期的な香りであり、アイリスの女性らしさとベチバーの男性らしさが巧みにブレンドされています。まさにメンズ・フレグランスにフローラル旋風を巻き起こすきっかけになりました。

それは、それまでメンズ・フレグランスにおけるフローラル(この香りまで10の香りしか存在しない)と言えば、ラベンダーとローズしかなかったフローラルにおける「第三の男」を生み出した瞬間でした。

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女性の接吻を受けた後の男性の香り

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21世紀に、男性のメトロセクシャルを牽引したディオール・オムのブラックスーツの美学。それは、細身の男性が、肩パッドを入れ、体格を良く見せていた従来のスーツの美学を超越し、細身の肉体を生かした、砂時計のようなニュールックのシルエットを、男性のスーツに落とし込んでいったのでした。

この女性の美しさを、男性の美しさへと昇華させていったディオール・オムのファッションの精神の延長線上で作られたのがこの香りです。

とても冷ややかなアイリスとカルダモンの妖しい香りが流れるようにやってきます。隙なくブラックスーツにホワイトシャツ、ブラック・ナロータイを身に付けたスタイリッシュな男性が、すっとあなたの心に入り込んでくるような洗練されたパウダリーでシルキーな花の香りが広がってゆきます。

と同時に、アールグレイのようにきらめくベルガモットと澄み渡るラベンダーとセージが注ぎ込まれてゆきます。明るくハーバルなアイリスに満たされていきます。

やがて、甘くスパイシーなカカオとパチョリ、アンバーが、クリーミーなレザーとドライなベチバーとひとまとめになり、スモーキーなタバコとバニラのようなコクのあるカカオが絶妙なバランスでアイリスを包み込んでいくように、柔らかくもエレガントな余韻を残してくれるのです。

このアイリスの余韻の美しさは、まるできちんとメイクアップした女性の接吻を受けた後の男性に残る、ミステリアスな愛の残り香のようです。

エディ・スリマンの4つ目のフレグランス。そして、彼は、この香りにより、香水業界においてもメンズ・ファッション革命を起こしたのでした。

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全てにおいて革新的なメンズ・フレグランス

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ボトル・デザインはキヤマツトムによるものです(シリンダーがシルバーのものがオリヴィエ・ポルジュ・オリジナルで、ブラックのものが、フランソワ・ドゥマシーによるアレンジ・バージョン)。

キャンペーン・モデルとしてソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』(2006)でフェルセン公爵に扮し、2015年『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』で注目されたファッション・モデル・ジェイミー・ドーナンが起用されました。

さらに2010年にリローンチ・キャンペーンが行われ、ジュード・ロウを主役に、相手役はファッション・モデルのミカエラ・コチアノヴァで、ガイ・リッチーにより撮影されました。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「フルーティ・アイリス」と評し、「ディオールオムのボトルは心を打たれるほどかっちりしていて、驚くほど美しい。女性用の香水を入れてもいいくらいだ。たいへん質のいい香水なので、ディオールオムの新しいクリエイティブ・ディレクターであるエディ・スリマンはこれを広めたいと思った。」

「中身の方は、シャネルの調香師ジャック・ポルジュの息子オリヴィエ・ポルジュが手がけたもので、近年の男性用ベスト6に入る。」

「ヒューゴ・ボスの「バルデサリーニ」にあるような現代風の複雑な名人の技と、シャネルの「エゴイスト」に似た、甘いフルーツの抑えた香りがある。違うところは、パウダリーでくすんだアイリスのトップノートのおもしろさと、「チャンス」をもっと弱くしてタバコの香りを加えたようなドライダウン。洗練されていて心地よく、何よりもトップダウンの計画が成功したいい例である。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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ディオール オム(2005年)の香水データ

香水名:ディオール オム
原名:Dior Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2005年
対象性別:男性
価格:50ml/7,350円


トップノート:ラベンダー、セージ、ベルガモット、グアテマラ・カルダモン
ミドルノート:トスカーナ産アイリス、アンバー、カカオ
ラストノート:パチョリ、レザー、タヒチ産ベチバー

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ディオール オム<2011年バージョン>

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2011年に「ディオール オム」は、ディオールの専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより、パチョリとレザーが取り除かれた、少しだけアレンジされた形でリニューアルされました。アイリスのパワーが少し弱まり、カカオとバニラのマリアージュに身も心もほだされるこの香りでも、オリヴィエ・ポルジュの天才性はまったく損なわれていません。

キャンペーン・モデルとして 『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンが起用されました。

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ディオール オム(2011年)の香水データ

香水名:ディオール オム
原名:Dior Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2011年
対象性別:男性
価格:50ml/9,020円、100ml/13,200円


トップノート:ラベンダー、セージ、ベルガモット、グアテマラ・カルダモン
ミドルノート:トスカーナ産アイリス、アンバー、カカオ
ラストノート:タヒチ産ベチバー