ブロッサム ラブ
原名：Blossom Love
種類：オード・パルファム
ブランド：アムアージュ
調香師：ナタリー・ローソン、エリス・ベナ
発表年：2017年
対象性別：女性
価格：日本未発売
『シークレットガーデン・コレクション』とは？
©AMOUAGE
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オマーン帝国から誕生した高級香水ブランド・アムアージュが世界的なブランドになったのは、2007年にクリエイティブ・ディレクターに就任したクリストファー・チョン（元々バリトン歌手）の手腕によるものでした（2019年5月1日に辞任）。
2016年に発表した『シークレットガーデン・コレクション』は、アムアージュの独特な美学をより分かりやすく伝えてくれる
- ライラック ラブ（2016）
- ブロッサム ラブ（2017）
- ラブ チューベローズ（2018）
- ラブ ミモザ（2019）
の四つの香りから成ります。「ブロッサム ラブ」は、2017年にナタリー・ローソンとエリス・ベナにより調香されました。
ディサローノ アマレットとチェリーシュトゥルーデルの香り
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このアムアージュの刻印が押された桜吹雪が、たゆたうように穏やかでフレッシュな春の情景を生み出さないことだけは、吹きかける前から容易に想像できます。
そんな期待に応えてくれるように、この香りは、スプレーから解き放たれた瞬間、灼熱の太陽の光を想わせる輝かしいベルガモットが弾ける中、パウダリーなアーモンドを思わせるヘリオトロープが全身に降り注ぐようにしてはじまります。
すぐに甘酸っぱいマラスキーノ・チェリーと気高くリッチなローズリキュールが注ぎ込まれてゆきます。それはあたかも満開の桜が軽やかに青空に向かって一斉に花びらを開花させてゆくように香りを広がらせてゆきます。
そしてヘリオトロープとチェリーは、（杏仁豆腐のような）ディサローノ アマレットによって酔わされていくのです。
やがてミルキーなイランイランが注ぎ込まれた時、あなたの中のピンク色の何かが堰を切ったように流れ出してゆくのです。クリーミーなサンダルウッドとトンカビーン、バニラと一緒に溶け合い、いよいよアマレットが芳醇さを増してゆくのです。
まるでチェリーシュトゥルーデルとバクラヴァのクリーミーなスイーツの情熱的な甘い〝春のファンタジー〟に包み込まれていくのです。
オマーンと日本を結ぶ恋の物語
大山清子
英国の保護下にあったブーサイード朝オマーンの第12代スルターンだったタイムール・ビン・ファイサル（1886－1965、在位1913－1932）が、かつて愛した女性が日本人でした。
第一次世界大戦と第二次世界大戦前の激動の時代にスルターンとなり、部族間の争いや、英仏・トルコといった大国に翻弄され、タイムールは、精神的に疲れ果てていました。そんな彼にとって、かつてオマーンで面会した地理学者・志賀重昂から聞いた、日本の桜に対して大いなる憧れを持っていました。
そして、1932年に退位した後、1935年に48歳にして念願の日本の地を踏むのでした。
その時、神戸のダンスホールで踊っていた、160cmのすらっとした女性に一目惚れし、結婚を申し込みます。当時19歳の大山清子は神戸税関の職員として働いていました。
しかし清子の母は、素性の知れない中年のアラブ人であるタイムール（実は祖国に6人の妻と5人の息子、そして1人の娘がいました）に対して、日本に永住するのなら結婚を許すという条件を出しました。そして翌1936年5月5日に、二人は日本式の結婚式を挙げ、神戸に300坪もの洋館を建て、新婚生活をおくったのでした。
オマーンの元スルターンという身分を隠し、日本で清子と暮らした日々はタイムールにとって、激動の人生の中で、最も心安らいだ日々でした。そして、二人の間にブサイナ（1937－）という娘をもうけました。
しかし、タイムールの息子であり当時のオマーン国王であるサイード・ビン・タイムールが妹の誕生祝いにやって来て、清子は夫の素性を知ることになるのでした。そして、太平洋戦争前夜の1939年11月に清子は結核で23歳の短い生涯を終えるのでした。
この香りは、そんな清子に捧げられた香りでもあります。たとえ短い人生であろうとも、幸せいっぱいに生きた清子のように、桜の短い生命が、永遠に続く〝情熱的な香りのロマンス〟へと昇華していくことを肌の上に教えてくれるのです。
香水データ
香水名：ブロッサム ラブ
原名：Blossom Love
種類：オード・パルファム
ブランド：アムアージュ
調香師：ナタリー・ローソン、エリス・ベナ
発表年：2017年
対象性別：女性
価格：日本未発売
トップノート：チェリーブロッサムネクター、ローズリキュール
ミドルノート：アマレット、イランイラン、バニラ
ラストノート：トンカビーン、サンダルウッド、カシュメラン