最後に、第五の男=アンソニー・マイケル・ホール
ブライアン・ルック カジュアル・ルック
- 焦げ茶色のブルゾン
- 黄色のマフラー
- グリーンのニット
- カーキのチノパン
- 青と黄色のラインの入ったホワイトソックス
- ブルーのナイキのインターナショナリスト
- カシオのデータバンク
- 緑色のリュックサック
- ラミーサファリL217のボールペン
さて、こう考えてみよう。私たちは、車で送られる側から、車で送る側に変わり、世界はどういう風に見えるのだろうか?周りと同じように生きていることにとにかく感謝し、世間体だけを気にして、異質なものはなるべく自分の生活から遠ざけているうちに、毎日が、ただなんとなく過ぎていくようになってないだろうか?
あまりにも精神的な成長を放棄した毎日を過ごしているために、暇を持て余し、女子高生よりも、外面を良く見せることに終始し、充実生活をSNSやブログでアピールすることを日課としている30歳以上の女性が現在増加中です。
それはまさに大人になったクレアの姿なのかもしれません。もしかしたらアリソンのように虐げられて生きてきた人だけが、大人になっても、自分の弱さを感じながらも、弱者の気持ちを理解し、感受性を失わずに生きていけるのかもしれません。それは、現在のファッション・シーンにも通じる感覚です。その過敏なまでのセレブ崇拝嗜好は全く創造性の欠片もない陳腐なものに成り果てています。
この作品は、ファッションの真の意味を忘れかけているアパレル販売員及びラグジュアリー・ファッションに関わる人々にこそ、「今見るべき作品」のひとつなのでしょう。ファッションの本質とは、崇拝ではなく、反逆精神にあるということを今こそ思い出すべきなのです。牙を抜かれたストリート・ファッションにも、エレガンスをカジュアルに置き換えたラグジュアリー・ファッションにも、過去のファッションが持ちえた反逆精神は欠片も存在していません。
ブランドロゴやアイコンの氾濫は、結局のところ、値札をつけて歩いている人々が、沢山現れているに過ぎないのです。そういった人々のためのブレックファスト・クラブはどこにあるのでしょうか?