【エルメス香水聖典】ケリーとバーキン、華麗なる一族の香り

エルメス
エルメスブランド香水聖典
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エルメス

Hermes ティエリー・エルメスにより、1837年にパリで創業されたエルメスが、最初の香水を創造したのは、100年以上後の1943年のことでした。1951年に最初の一般販売向けのフレグランス「オー ドゥ エルメス」が誕生。そして、1961年に、エルメス初の女性向けフレグランス「カレーシュ」が発売され、1979年には、エルメス最初のコロン「オーデ  コロン ドゥ エルメス」が発売されました。

第5代エルメス社長ジャン=ルイ・デュマの指示の下で、2003年にジャン=クロード・エレナが調香した「地中海の庭」が発売され〝エルメスの香りのものがたり〟が世界中の人々の心を揺り動かしてゆきます。

2004年エレナをエルメスの初代専属調香師に抜擢し、以後「庭園のフレグランス」「コロン エルメス」「エルメッセンス」といった人気コレクションを定着させていきます。そして、2014年には、2代目専属調香師にクリスティーヌ・ナジェルが就任し、今に至ります。

代表作

オー ドゥ エルメス(1951)
カレーシュ(1961)
ヴァンキャトル フォーブル(1995)
イリス(1999)
地中海の庭(2003)
オー デ メルヴェイユ(2004)
ローズ イケバナ(2004)
ナイルの庭(2005)
テール ドゥ エルメス(2006)
ヴォヤージュ ドゥ エルメス(2010)
ジュール ドゥ エルメス(2013)
ギャロップ ドゥ エルメス(2016)
ツイリー  ドゥ エルメス(2017)
ラグーナの庭(2019)
H24(2021)

人気シリーズ

エルメッセンスの全て

庭園のフレグランスの全て
コロン エルメスの全て

歴代調香師

ジャン=クロード・エレナ 香水を芸術に変えた調香師
クリスティーヌ・ナジェル エルメスの専属調香師

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ひと目でわかる、エルメス香水史年表

年表で見るエルメス香水の歴史
  • 1837年
    エルメス創業
    ティエリー・エルメスがパリで創業する。
  • 1943年
    最初の香り誕生
    エルメス初の香水「」が誕生する。
  • 1951年
    「オー ドゥ エルメス」
    最初の一般販売向けのフレグランス「オー ドゥ エルメス」を発売する。
  • 1961年
    「カレーシュ」
    エルメス初の女性向けフレグランス「カレーシュ」を発売する。
  • 1979年
    エルメス最初のコロン
    「オーデ  コロン ドゥ エルメス」を発売する(2009年に「オー ドランジュ ヴェルト」として生まれ変わる)。
  • 1984年
    日本人が調香した唯一のエルメス
    バーキンが誕生したこの年、10年ぶりの新作「パルファム ドゥ エルメス」がアキコ・カメイ(亀井明子)により調香される。
  • 1995年
    「ヴァンキャトル フォーブル」
    ダイアナ元妃が最後に愛した香り「ヴァンキャトル フォーブル」がモーリス・ルーセルにより調香される。
  • 1999年
    「イリス」
    20世紀最後の香りとしてオリヴィア・ジャコベッティが「イリス」を調香する。
  • 2003年
    「地中海の庭」
    ジャン=クロード・エレナが調香した「地中海の庭」を発売する。
  • 2004年
    エレナ、初代専属調香師に就任
    庭園のフレグランス」「エルメッセンス」といった人気コレクションを定着させていく。
  • 2005年
    「ナイルの庭」
    エルメスの香水ブームが「ナイルの庭」により生み出される。
  • 2006年
    大地を揺るがす香り
    テール ドゥ エルメス」が発売され、エルメス史上最も売れているメンズ・フレグランスとなる。
  • 2009年
    「コロン エルメス」
    コロン エルメス」コレクションはじまる。
  • 2013年
    「ジュール ドゥ エルメス」
    〝エルメスの光〟を投影した「ジュール ドゥ エルメス」を発売する。
  • 2014年3月
    二代目専属調香師決まる
    2代目専属調香師にクリスティーヌ・ナジェルが就任し、今に至る。
  • 2016年
    「ギャロップ ドゥ エルメス」
    同年エレナ退職後、ナジェルの調香による「ギャロップ ドゥ エルメス」を発売する。
  • 2017年
    「ツイリー ドゥ エルメス」
    エルメスのシルクスカーフ〝ツイリー〟からインスパイアされた香り「ツイリー  ドゥ エルメス」を発売する。
  • 2021年
    「H24」
    境界線を超えるフレグランス「H24」を、約15年ぶりのメンズ・フレグランスの新作として発売する。
  • 2024年
    エルメス初のシプレ
    ブランド初のシプレ系フレグランスとして「バレニア」を発売する。
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エルメスの香水のものがたりのはじまり

エルメスと言えば、グレース・ケリーとケリーバッグ。

©Hermès

エルメスというブランドについて説明する時、長々と説明するよりも、かつての専属調香師ジャン=クロード・エレナの一文を借りたほうが、端的にエルメスについて教えてくれるでしょう。

フレンチ・ラグジュアリーの頂点。モード(ファッション)のメゾンではなく、馬具、絹、皮革製品、女性モード、男性モード、靴、ジュエリー、食器類、そして、香水づくりなど多くの分野で物づくりを行うメゾンであろうとする。「長持ちするものをつくる」ことを忘れない。

ティエリー・エルメスにより、1837年に創業されたエルメスが最初の香水「」を創造したのは、1943年のことでした。さらに翌年1944年に香水史上最も謎の多い「オー ドゥ ヴィクトリア(Eau de Victoria)」が、パリの本店でVIPのお客様へのプレゼントとして調香されました(調香師は不明)。

そして、第3代エルメス社長エミール・モーリス・エルメスの下でジャン=ルネ・ゲランによりエルメスに香水部門が設立されました。エミールこそ、エルメスの商品を乗馬及び馬車関係のものだけでなく、ハンドバッグやスカーフへと拡大していった人です。

1925年にはスエードのゴルフジャケットをプリンス・オブ・ウェールズのために作っていました(エルメス初の衣料品であり、エルメスがRTWに乗り出すのは1966年のこと)。

そんなエミールの念願は、彼の死後、第4代エルメス社長としてロベール・デュマ・エルメスが就任した1951年に達成されました。記念すべき初めての一般販売向けのフレグランス「オー ドゥ エルメス」の誕生です。

さらに、1961年に、エルメス初の女性向けフレグランス「カレーシュ」が発売され、香水部門を独立させました。そして、1979年には、エルメス最初のコロン「オーデ  コロン ドゥ エルメス」が発売されたのでした。

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エルメスの二人の専属調香師

ジャン=クロード・エレナ ©Hermès

クリスティーヌ・ナジェル

21世紀に入り、香水部門の売り上げがぱっとしない状況に対して、第5代エルメス社長ジャン=ルイ・デュマは、シャネルのように香水で成功するためには、ジャック・ポルジュのような専属調香師が必要だと考えました。

そして、2003年に、ジャン=クロード・エレナに「地中海の庭」の調香を依頼しました。この香りは、当時の香水業界においては、画期的な〝マーケティング調査を一切無視〟した〝芸術性とフレグランスを融合〟させるというコンセプト=〝旅〟で生み出された香りでした。

香水のトレンドに左右されないという強い意志表明となった「地中海の庭」のセールスが快調な中、矢継ぎ早に第二弾を発売することが決定し、2004年にジャン=クロード・エレナがエルメスの専属調香師に就任することになりました。

以後、「庭園のフレグランス」「コロン エルメス」「エルメッセンス」といった人気コレクションを定着させ、2006年には、テール ドゥ エルメスが、エルメスの史上最高の売り上げを記録することになります。そして、エルメスは、2004年の香水売り上げが6500万ユーロだったのに対して、2009年には、1億3800万ユーロと約2倍の売り上げを上げることに成功したのでした。

私がクリスティーヌを後継者として推挙したのは、私の後を継ぐのは女性であってほしかったからです。比較されたりすることがない環境で思う存分新しいエルメスの世界を作り上げてくれる、私のスタイルを模倣しない、強い筆跡を持つ調香師が何よりも必要でした。

クリスティーヌの作品は、どちらかというと「肉感的」なスタイルで、調香師学校で枠にはめられたスタイルではなく、彼女の忍耐と持久力の賜物であるオリジナルのスタイルを持っているところが気に入っています。危険に身をさらすことを恐れない女性なのです。

ジャン=クロード・エレナ

2014年には、エルメスの2代目専属調香師にクリスティーヌ・ナジェルが就任し、2016年までの2年間を、W調香師システムを取りながら、引継ぎを済ませ、エレナは調香師を引退しました。2016年以後、クリスティーヌが、エルメス唯一無二の専属調香師として、今に至り、話題作を発表しています。

2014年のエルメスの売上高は41億2000万ユーロでした。そのうち5.6%が香水によるものでした。